“PS5の機能実装が遅い”との言説に、元開発者が苦言を呈す。従業員の健康優先のためだった

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは9月7日、PlayStaition 5に向けて新たなシステムソフトウェアアップデートを配信した。1440p解像度での HDMI映像出力や、ゲームリストなどの機能が追加されている。一方でこのゲームリスト機能が今になって配信されたのは、とある事情があるようだ。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)は9月7日、PlayStaition 5(以下、PS5)に向けて新たなシステムソフトウェアアップデートを配信した。ゲームリストなどの機能が追加された。一方でこのゲームリスト機能が今になって配信されたのは、とある事情があるようだ。PlayStation LifeStyleが伝えている。

このたびPS5に追加されたゲームリスト機能では、ゲームライブラリーの「あなたのコレクション」タブに最大15個までゲームリストを作成可能。各ゲームリストには100タイトルまでゲームを追加できる。ディスク版、デジタル版、ストリーミング版など形態に関わらず追加できるほか、同じゲームを複数のゲームリストに追加することも可能。より簡単にゲームを管理できる。なおPS4においても、本機能と同様のフォルダー機能が備わっていた。

本機能が今になって実装された理由を、Steven Trombetta氏が明かしている。SIEにて6年以上にわたりプロダクトマネージャーなどの役職を務めてきた人物だ。同氏は、今回のPS5システムソフトウェアアップデートを取り上げた海外メディアKotakuの記事タイトルに反応。同記事を引用する形でその背景を説明している。

Trombetta氏はKotakuによる「PS5に発売時備えているべきであった機能がようやく実装された」という記事タイトルについて、「失礼(rude)」であると言及。お手柔らかに願いたいとの旨を伝えつつも、実装が遅くなった理由について説明している。

同氏は、PS5が世界的なパンデミックの真っ只中に開発されていたことに言及。同氏にとっては従業員の健康が最優先事項であり、それを守ることができてよかったと続けている。長期間にわたる強制的な長時間労働、いわゆるクランチを避けるためにも、PS5発売時にはゲームリストが実装されなかった運びなのだろう。

さらにTrombetta氏は、ゲーム開発者とするユーザーからのリプライにも返答。「そもそもゲームリストは必要かどうか」という根本的な疑問について回答している。

PS4のフォルダーおよびPS5のゲームリスト機能の必要性を尋ねられたTrombetta氏。同氏は、そうした機能を必要だと感じるユーザーは少ないとの見解を示している。同氏いわく、一般的なプレイヤーがリストなどで固定化したいと考えるゲームは、定期的に遊ぶ3作品ほどだという。ゲームをすべて整理するユーザーもいるものの、そうしたユーザーは珍しいとのことだ。これはTrombetta氏自身の見解ではあるものの、そうした傾向を理由にして、PS5のゲームリスト機能が“優先度低め”にされてしまった可能性はありそうだ。

PS5発売から1年半以上の時を経て、ようやく実装となったゲームリスト機能。PS4も備えていた機能の実装が遅くなった背景には、パンデミックによる影響とともに、開発者の健康第一の方針があったようだ。パンデミック下でのクランチを避けるためにも、PS5発売時には実装する機能が絞りこまれた形なのだろう。


いずれにせよ、先日のアップデートでゲームリスト機能は晴れてPS5に実装された。映像出力解像度1440pに対応するなど、そのほかにも新たな機能が用意されている。今回のPS5システムソフトウェアアップデートの詳細についてはこちらの公式サイトを確認されたい。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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