『PowerWash Simulator』には「邪魔ありの破壊サンドボックス」になりかけた過去あり。開発者が明かすゲームプレイ守られた理由とは

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高評価洗浄シム『PowerWash Simulator』には、パブリッシャー探しに苦心していた過去があるようだ。その際、パブリッシャーへの売り込みにおいて、ゲームプレイの魅力を台無しにしかねない要素の追加を求められることもあったという。開発者がGameIndustry.bizのインタビューにて明かしている。


「圧倒的に好評」な洗浄ゲーム

『PowerWash Simulator』は一人称視点の高圧洗浄シミュレーション。イギリスのデベロッパーであるFuturLabが開発し、スクウェア・エニックスが販売を手がける。プレイヤーは洗浄業者となり、多彩な洗浄依頼を粛々とこなしていく。洗う対象はバイクや車などの乗り物から、公園や豪邸などの建造物までさまざまだ。ゲームプレイとしては、高圧洗浄機でひたすら汚れに水を浴びせかけるだけ。顧客の要望に答えられるよう、広い壁面もタイルの隅も、シミひとつ残さぬよう丹念に洗い上げていくのだ。

本作は早期アクセス配信時から非常に高い評価を集めており、正式リリースに至った現在ではSteamユーザーレビューにおいて2万3515件中97%が好評とする「圧倒的に好評」のステータスを獲得している。本作の気持ちの良いゲームプレイは、気楽に遊べてストレス解消になるだけでなく、汚れの種類によって効率的な対処法が変化する奥深さも備えている。また、プレイヤーの意見を取り入れた精力的なアップデート姿勢も評価されているのだろう。


パブリッシングの挫折、早期アクセス配信へ

そんな本作は、itch.ioにて2020年に配信されたデモ版から始まったタイトルだ。本作はデモ版からすでに、多くのユーザーから評価を受けて注目を集めていたという。しかしながら、開発元であるFuturLabのCEOを務めるJames Marsden氏は、開発当初パブリッシャーを見つけるのに苦心していた旨を語っている(GameIndustry.biz)。同氏によると、同スタジオが売り込みをかけたパブリッシャーの多くは、本作に敵が存在しない点に懸念を抱いていたとのこと。パブリッシャーは本作に、脅威や挑戦、敗北や克服といった、一般的なゲームにおいて基礎となる要素を求めていたようだ。

それでもMarsden氏は粘り強くパブリッシャー探しを続けた。itch.io向けデモ版でのユーザーからの好評は、同氏にとって大きな自信になっていたという。そして同氏は、最終的に本作に興味を示すパブリッシャーを2社見つけ出すことに成功した。しかしやはり彼らは、本作に何かしらの変更を望んだそうだ。同氏はパブリッシャーから提案された変更をいくつか例として挙げている。サンドボックス要素や、オブジェクトの破壊のほか、洗浄した場所を再び汚してしまう車などの追加を求められたという。


Marsden氏はitch.ioでのフィードバックから、プレイヤーたちが本作に、脅威や敵対心、そしてストレスのまったく存在しないゲームプレイを望んでいると強く認識していたそうだ。一方でパブリッシャーからは、同氏の考えに反する要素の追加を求められ続けた。その結果、意気を大きくそがれてしまったと同氏は振り返っている。

その後、同氏はパブリッシャー探しに時間を費やすことをやめ、Steamでの早期アクセス配信を検討するに至ったという。パブリッシャーから資金を調達するのではなく、ユーザーが購入してくれたお金で開発を継続しようと考えたのだそうだ。同氏の願いどおり、ユーザーたちは早期アクセス配信版の本作を購入し、正式リリースに向けた開発を支えてくれることとなった。


早期アクセス配信がもたらした恩恵

FuturLabはもともと、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと提携関係にあったスタジオ。過去には『Velocity 2X』など、PS Vitaなどに向けたタイトルを開発していた。そうした過去の開発体制と比較しても、早期アクセス配信での開発は非常にポジティブなものであったとMarsden氏は述べている。以前までの開発例では、いかに良いと思えるゲームであってもプロジェクトが終わりに近づくにつれて、自らの取り組みに対して気力を失っていたという。さらに発売に至ったとしても、レビュースコアや売れ行きが気がかりで仕方なく、作品の完成を喜ぶことも叶わなかったそうだ。

一方で、早期アクセス配信ではユーザーからのフィードバックによって、そうした開発上のネガティブな面が大きく緩和されていたとのこと。FuturLabが小規模チームということも相まって、早期アクセス配信という形態は開発プロセスに大きな恩恵を与えてくれたとMarsden氏は語る。

本作は、最終的にスクウェア・エニックスのパブリッシングにて販売されることになった。同社との契約によって、かなり早期にコンソールへの導入が可能になったとMarsden氏は述べている。他方、FuturLabのチーム人数は昨年で 2 倍以上に増え、約 57 人の従業員を擁するに至ったという。早期アクセス配信という決断は、スタジオに素晴らしい結果をもたらしたようだ。


なお、FuturLabは現在パブリッシャーThunderfulとの契約のもと、『Velocity 2X』の後継作の開発を予定しているとのことだ。Marsden氏いわく、『Velocity 2X』は会心の出来栄えだったにもかかわらず、商業的には成功をみなかったタイトルだという。そのためこちらも、以前はパブリッシャーが見つけられなかったのだそうだ。『PowerWash Simulator』の成功を活かし、次なるタイトルの開発にも野心的なFuturLab。同スタジオが世に放つ新たなタイトルにも注視していきたい。

『PowerWash Simulator』はPC(Steam/Microsoft Store)およびXbox One/Xbox Series X|S向けに発売中。PC/Xbox Game Passにも対応する。

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なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。