多種多様ソリティア『The Zachtronics Solitaire Collection』Steamにて9月7日配信へ。人気パズルゲーム開発スタジオ、閉鎖前の集大成


デベロッパーのZachtronicsは8月31日、『The Zachtronics Solitaire Collection』を9月7日に配信すると発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。

『The Zachtronics Solitaire Collection』はさまざまなシチュエーションでソリティアを楽しめるゲーム。本作を手がけるのは米国に拠点を置くZachtronicsだ。同スタジオはこれまで多数のハードコアパズルゲームをリリース。アセンブリ言語を使ったガジェット開発ゲーム『SHENZHEN I/O』や、錬金術工学であらゆる物を作り出す『Opus Magnum』などを生み出してきた。本作は、同スタジオ作品にはほぼ必ずミニゲームとして仕込まれていたソリティアをまとめたタイトルになるようだ。


本作には7種類のソリティアが収録。麻雀牌をカードとしたShenzhen Solitaire、株札を用いるKabufuda Solitaireなど、バラエティ豊かなソリティアが登場する。Windowsプリセットアプリのソリティアとして親しみ深い、クロンダイク(Klondike)のルールを再考したSawayama Solitaireなるルールも収録。通常とはひと味違うソリティアを楽しめるだろう。

過去作品から収録される6種のソリティアのほか、Fortune’s Foundationと呼ばれるルールも収録されるとのこと。タロットカードのデッキを使用する、斬新で挑戦的なソリティアとなるそうだ。また、過去作からの収録ソリティアを含めて、ゲームは4K解像度に対応。美麗なグラフィックでZachtronicsの手がけてきた多彩なソリティアのビジュアルを堪能できる作品となりそうだ。


Zachtronicsの手がけたタイトルはいずれの作品もSteamでは軒並み「非常に好評」~「圧倒的に好評」ステータスを得ており、ファンも多い。同スタジオの最新作である『Last Call BBS』は7月に早期アクセス配信が開始。同作は同スタジオの「最後の作品」になると伝えられており、開発元ツイートには悲しみの声が寄せられていた。

本作『The Zachtronics Solitaire Collection』は、そんな『Last Call BBS』に続いてリリースされることがあらかじめ発表されていた。本稿執筆時点でZachtronicsは『Last Call BBS』および本作以降の作品の開発を予定しておらず、スタジオの閉鎖が決定している(GameIndustry.biz)。

スタジオ創設者のZach Barth氏は、ここ数年間は開発しているゲームがそれぞれ同じように感じられたと語っており、毎日の“仕事”としてのゲーム開発に飽き飽きしていたという。一方でチームを存続させるためには、ビジネスとしてゲームを作り、稼ぎ続ける必要もあったそうだ。同氏は続けてインディーゲーム業界の厳しさも語っており、常に“失敗”と隣り合わせであったとの見解を示している。Zachtronicsの閉鎖は、いずれ訪れるかもしれないスタジオの倒産や財政破綻を免れるための決断だったのかもしれない。


なお、Zachtronicsの会社自体は存続されることが伝えられている。過去のタイトルは当面Steam上から削除されることはなく、できる限り販売と維持を続けていくとのことだ。またBarth氏を含め、今後Zachtronicsのチームメンバーたちは友人として別々の道を歩むという。再び全員一緒にゲームを作る見込みは薄いものの、何らかの形でたがいに協力する可能性は高いそうだ。同氏は、「何も計画がない」という広い視野をもてる状態に興奮しているとのこと。Zachtronicsの閉鎖は、ネガティブな側面ばかりではなさそうだ。今後のメンバーたちの活躍を楽しみにしておこう。

『The Zachtronics Solitaire Collection』はPC(Steam)向けに9月7日配信予定だ。