Nintendo Switch向け海賊版防止サービス「Nintendo Switch Emulator Protection」発表。実際にはエミュ利用からプロテクト【UPDATE】
テクノロジー企業Irdetoは現地時間8月24日、同社が提供するゲーム向けセキュリティソリューション「Denuvo」のサービスとして、「Nintendo Switch Emulator Protection」を発表した。その名の通り、Nintendo Switch向けタイトルの「エミュレーター上でのプレイ」を防ぐのが主眼のサービスとなるようだ。
「Denuvo」は、コピーガードを中心としたゲームタイトル向けのセキュリティ・ソリューションだ。PC向けゲームの海賊版利用を防ぐ「Denuvo Anti-Tamper」のほか、近年はチート対策技術「Denuvo Anti-Cheat」や、DLC向けの海賊版対策技術「Denuvo SecureDLC」などを提供している。いずれも基本的にはPCタイトルを対象としており、国内外の大型ゲームタイトルを中心に採用例も多い。
そして今回、新たなサービスとして「Nintendo Switch Emulator Protection」が発表された。こちらはDenuvoとしては珍しく、コンソール向けタイトル用の海賊版対策技術となっている。発表によれば、本技術はPC向けNintendo Switchエミュレーターでの、不正なゲーム作動防止を主眼に置いているようだ。
Irdetoによれば、マルチプラットフォーム展開ゲームの場合では、PC版にて海賊版に対する保護がなされていたとしても、Nintendo Switch版にて比較的早期にエミュレーターなどで海賊版がプレイ可能になってしまう背景があるという。「Nintendo Switch Emulator Protection」は、そうしたエミュレーターでのソフトの動作を阻止し、ゲームの発売直後の時期の収益を上昇させるとしている。
また、「Nintendo Switch Emulator Protection」は、ほかのDenuvo技術と同様に、ビルドツールチェーンに統合されて提供されるとのこと。ゲーム体験に影響を与えることなく、エミュレーター上でのゲームプレイをブロックするとしている。いずれにせよ、コピーされたソフトのNintendo Switch実機での動作を防ぐのではなく、あくまでもNintendo Switchエミュレーター上での動作を防ぐことが主眼となっているようだ。
そして、どうしても気になるのがパフォーマンス面の影響だ。というのも、Denuvoはかねてより「ゲームの動作に悪影響を与えるのでは」との議論の的。タイトルとしては、『ファイナルファンタジーXV』や『バイオハザード ヴィレッジ』などが検証対象となった過去がある(関連記事1、関連記事2)。また、タイトルごとの実装にもよるものの、Denuvo採用タイトルは一時的にであれオンライン認証が必要となるのが一般的。「Nintendo Switch Emulator Protection」においても、完全オフライン環境でのプレイが可能かどうかは心配の種とはなりえるだろう。
しかし、海賊版が氾濫する以上、メーカー側が対策講じるのは当然である。また、パフォーマンスなどへの影響についても、ゲーム側のコピーガード実装に依る部分が多い。「Denuvo Anti-Tamper」にまつわる懸念を、そのまま「Nintendo Switch Emulator Protection」に抱くのも早計だろう。同技術がユーザーの気づかぬうちにゲーム会社の売上を守ってくれるよう、今後のタイトル採用例を待ちたい。
【UPDATE 2022/8/26 22:15】
Denuvoの広報は現地時間8月25日、海外メディアKotakuに対し「Nintendo Switch Emulator Protection」採用ソフトが実機において完全オフライン環境で動作するとの旨を伝えた。また任天堂は同技術の展開に関わっておらず、サードパーティーの要望に応えるかたちで開発されたとのこと。そして正当に購入されたソフトだとしても、PC上エミュレーターでの動作を防止することを明かしている。