Steam高評価スローライフ『Dinkum』約1か月で売上35万本突破。破格の売れ行きを見せる個人開発作の人気の理由とは

個人開発者James Bendon氏は、『Dinkum』の売上が配信後約1か月で35万本を突破したとインタビューの中で明かした。現在Steam向けに早期アクセス配信中の本作の人気は、とどまるところを知らないようだ。GameDiscoverCoが伝えている。

個人開発者James Bendon氏は、『Dinkum』の売上が配信後約1か月で35万本を突破したとインタビューの中で明かした。現在Steam向けに早期アクセス配信中の本作の人気は、とどまるところを知らないようだ。GameDiscoverCoが伝えている。

『Dinkum』は、見下ろし型のサンドボックスゲームだ。舞台となるのはオーストラリアをモチーフにした未開の島。プレイヤーはテントを設営して島に人を呼び寄せ、大自然を開拓する。そして町を建設し、農業・狩猟・釣り・採掘などを通して生活を営んでいくのだ。なお本作は、オンラインでの最大4人までのマルチプレイにも対応する。

本作は7月14日の早期アクセス配信開始直後から順調に人気を高めており、先週はピーク時の同時接続プレイヤー数が連日1万人を突破。直近でも6000~8000人の同時接続プレイヤー数を保っている(SteamDB)。また開発者であるBendon氏によると、現時点での本作販売本数は35万本とのこと。個人開発のタイトルとしては、大成功を収めているといえる。プレイヤーの評価も非常に高く、Steamユーザーレビューにおいては6325件中95%が好評とする「圧倒的に好評」のステータスを獲得している。

こうした人気を受けて、GameDiscoverCoのSimon Carless氏は開発者であるJames Bendon氏に対してインタビューを実施。本作の人気の理由について見解を聞いている。


まず、本作のSteamストアページでのフォロワー数は、発売前時点で6000人ほどの堅調だったという。GameDiscoverCoによると、配信前タイトルのフォロワー数としては上位2.5%に含まれるという。Bendon氏は発売までじわじわとフォロワー数が伸びていた理由を、公式サイトのDevlog(開発報告)やTwitterでのクリップ投稿によるものだと考えているそうだ。さらに本作は、6月に「IGN Summer of Gaming」「Future Games Show」にも出展していた。そうしたオンラインショーケースも、マーケティングを支えてくれたと同氏は語っている。

Steamでのウィッシュリスト登録者数については、上述のような知名度を高めるイベントの以前でも3万5000人ほどであったという。一方、配信開始時点では約8万人に増加していたという。Bendon氏はウィッシュリスト登録者増加の理由のひとつとして、早期アクセス配信前に投稿されたYouTube動画を挙げている。同氏と友人は事前に、動画配信者などに本作のSteamキーを送信していたそうだ。そうした試みが功を奏し、本作は早期アクセス配信前に人気YouTubeチャンネルであるRaptorなどに取り上げられている。

GameDiscoverCoは、本作が表面的に『どうぶつの森』のような性質を備えている点も人気の理由ではないかと分析している。本作には虫や魚の収集や部屋の装飾といった要素があり、ユーザーレビューにおいても『どうぶつの森』に似ている点として挙げられている。GameDiscoverCoはSteamでは『どうぶつの森』に似たゲームが珍しいとの見方を示した。そうした物珍しさも、ユーザーの注目を集めているという見解だろう。

また同誌は、本作が『牧場物語』および『Stardew Valley』のように、農業・料理・採掘・スタミナ・時間サイクルなどを備えている点も特徴として挙げている。開発者Bendon氏は、『Dinkum』がそうした作品に比較してサンドボックス色が濃い点について言及。本作の広大なマップ上には、バイオームや生息動物の違いが見られる。ペナルティなどを気にせず、そうしたマップ上のどこにでも拠点を築ける要素なども、プレイヤーに楽しんでほしい部分だと語った。『どうぶつの森』的な部分だけでなくクラフト系ゲームや生活系ゲームなど、さまざまな人気ジャンルの持ち味が活かされていることが、人気と好評の理由なのだろう。

そのほか、プレイヤーたちの大部分が本作を長時間遊んでいる点にも言及された(Steam Scout)。同誌はその理由を、本作のコンテンツ量の多さとそれらの楽しさにあると分析。Bendon氏も「(今後の)新しい要素をあまり計画していなかったので、(既存の)コンテンツは幅広く取り揃えられていると思います」と回答していた。

さらにBendon氏は、閃きから実装して上手く機能した要素としてMetal detecting(金属探知)を挙げている。一方、Animal trapping(動物用の罠)にように早期アクセス配信直前に調整が必要となった要素も存在するそうだ。プレイヤーの反応を考えて、作業が必要な部分を検討しながら本作の開発は進められてきたとのことだ。


個人開発のタイトルとしては非常に高い人気を誇っている『Dinkum』。人気ジャンルの持ち味を組み合わせたゲームプレイや、コンテンツ量の多さなどが好評の理由となるようだ。そうした本作の成功は、次々と新しい要素の開発を予定するのではなく、取捨選択をおこなってプレイテストを重ね、着実に実装を重ねてきた結果なのだろう。また人気YouTubeチャンネルの動画によって、発売直前のマーケティングが功を奏した点も興味深い(関連記事)。

本作は早期アクセス配信中にさらなる要素を追加するアップデートも計画されている。こまめに不具合修正などもおこなわれており、正式リリースに向けてさらに磨き上げられていくことだろう。

『Dinkum』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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