『Destiny 2』開発元スタッフが「ユーザーとの対話減らしている」と明かす。一部ユーザーの中傷・脅迫が、開発元とユーザーの断絶深める

『Destiny 2』開発元Bungieのスタッフが、掲示板上にて「ユーザーとの対話を減らしている」との現状について明かした。その背景には、ユーザーからの中傷や脅迫などの行為があるようだ。

Destiny 2』開発元Bungieのスタッフが、掲示板上にて「ユーザーとの対話を減らしている」との現状について明かした。また、『マインクラフト』などほかタイトルでも、同様にユーザーコミュニティとの対話を避ける傾向が強まっている。その背景には、ユーザーからの中傷や脅迫などの行為があるようだ。

近年のゲーム開発・運営においては、プレイヤーコミュニティの意見を取り入れる開発姿勢が多く見られる。継続的にアップデートがおこなわれるライブサービス型ゲームでは特に顕著だ。意見交換にはRedditやTwitterなどのSNSも利用されており、ユーザーと積極的に交流をおこなう開発者も散見される。そうしたコミュニケーションが、開発の一助になっている側面はあるだろう。

『Destiny 2』を手がけるBungieも、プレイヤーとのコミュニケーションに積極的なゲーム開発会社のひとつ。公式ホームページでは毎週「今週のBUNGIE」としてユーザー向け情報が掲載。SNS上での開発者とユーザーのやりとりも活発におこなわれていた。

https://youtu.be/PYM7KDrx_Ho


そうした交流のなかで、時にはゲーム開発方針がユーザーの反感を買うこともある。本作のサンドボックスデザインリードを務めるKevin Yanes氏は5月末に、前作『Destiny』において人気装備であった薄暮の守備隊(Twilight Garrison)を復刻しないという旨をツイート。これを受けて、ユーザーの不満が噴出した。Kotakuによると、同氏のもとには辛辣な意見が数多く寄せられ、一時的にアカウントを閉鎖せざるをえなくなったという。

*薄暮の守備隊は戦術的空中支援(空中での回避能力)を付与する装備であった

そしてBungieには、悪意ある一部ユーザーによりさらなる受難がもたらされることとなった。標的となったのはBungie本社、およびシニアコミュニティーマネージャーを務めるdmg04ことDylan Gafner氏だ。Polygonによると、『Destiny 2』において不正行為を繰り返していたLuca Leone氏が、BungieおよびGafner氏への脅迫を示唆するツイートをおこなった旨を伝えている。Leone氏は、Bungieに対して本社への放火さえ仄めかしていたという。そうした悪行を受けて、BungieはLeone氏を告訴するに至っている。

そしてこの一件の後、BungieはRedditをはじめとするSNS上でのユーザーとのコミュニケーションを減らしてしまうこととなった。そうした状況を受けて、ユーザーがReddit上にスレッドを投稿している。

Redditの本作コミュニティでは、Bungieの開発者が返答したスレッドに“Bungie Replied”のタグが付与される。上記の投稿は、そうしたスレッドが見られなくなったことを寂しく感じたユーザーによるものだ。本スレッドには、Gafner氏もコメント。Bungie開発者がユーザーとの交流を減らした原因を語っている。

Gafner氏によると、Bungieがユーザーとのコミュニケーションを控えつつあるのは、やはり先日の「スタジオに対する現実的な脅威」が原因となるそうだ。開発側からのコミュニケーションの減少は、プレイヤーと従業員にとって最善の道を考慮した結果であるとしている。一方でRedditスレッド自体は、開発チームの多くが毎日確認しており、フィードバックについて話し合いがおこなわれているとのことだ。なお、ユーザーたちとの新たなコミュニケーション方法を検討していることも明かされている。

ユーザーとのコミュニケーションがトラブルを招いた事例は、ほかのタイトルでも見られる。『マインクラフト』においては6月21日、バージョン1.19.1における本作Java版へのチャット報告システムの導入が発表された。今までJava版になかったシステムの導入に、本作コミュニティからは懸念の声も。文脈を無視したBAN処罰や、プライバシー面を心配する意見も寄せられた。同システムはプライベートサーバーにも適用されるものの、常にチャットを監視するわけではなく、プレイヤーからの報告がないかぎりモデレーターの介入はおこなわれない旨が明かされている

しかし、一部ユーザーは本システム導入を受けて、「#SaveMinecraft」のハッシュタグのもと抗議を開始した。本作のコミュニティマネージャーを務めるMojangMeesh氏はこの動きに対してRedditの『マインクラフト』公式ニューススレッドにコメント。フィードバックについてはありがたいとしたものの、新たなチャット報告システムの導入を中止する予定はないことを明かした。

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byu/xilefian from discussion
inMinecraft

さらにMojangMeesh氏は、一部ユーザーがReddit上にてMojang開発者たちに“つきまとう”ような行動をしていることを指摘。チャット報告システムと無関係のスレッドにおいて、開発者に対して同システムに関する意見を投じる行為が横行していると伝えた。同氏はこうした行為をやめるように呼びかけるとともに、この種の嫌がらせのような行為は、Mojang開発者たちの望む建設的でオープンな対話の妨げになるとの見解を示した。また、そうした行為は開発者たちをコミュニティとの対話に消極的にさせるとも伝えている。そして同氏は、『マインクラフト』について強い思いがあるならば、フィードバックは適切なスレッドで知らせてほしいとしている。

以上のように、ゲーム開発におけるユーザーとのコミュニケーションの問題は、深刻化を辿るケースもあるようだ。それを避けるために、今後プレイヤーコミュニティとの対話に消極的な姿勢をとる開発スタジオが増える可能性もあるだろう。ユーザー対話を差し控える開発元の例としては、『Battlefield 2042』でも、コミュニティマネージャーがRedditで返信しない旨を明かしている(関連記事)。また、国内メーカー向けにもユーザーによる中傷・脅迫などはあり、リスク回避の観点から同様の傾向になる可能性はあるだろう。

TwitterやRedditといったSNSは、手軽に不特定多数のプレイヤーの生の声を取り入れられる一方で、匿名性の高さから本稿で紹介したような問題が起こるリスクは高い。こうした問題が続くかぎり、ユーザーとの対話を避ける傾向は、今後拡大していくかもしれない。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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