『マインクラフト』にて「世界のすべてをまとう牛」が爆誕。子どもが作ったカオスより、超越存在が生まれる

Image Credit: @hassyX on Twitter

マインクラフト』にて、「ゲーム内のあらゆるテクスチャを体にまとった牛」が偶然誕生。SNS上に画像が投稿され、その異常な姿が注目を浴びたようだ。この存在は、子どもが作り出した“Modの混沌”から発生したという。弊誌はその詳細について、画像の投稿者に話を聞いた。

『マインクラフト』における通常の牛

『マインクラフト』は、人気サンドボックスゲームだ。プレイヤーはさまざまな環境(バイオーム)や生物(Mob/モブ)が存在する世界にて、気ままに建築/クラフトや冒険などの活動を楽しめる。また、本作はModやアドオンなどによる拡張性も魅力。とりわけJava版『マインクラフト』では、幅広いModが存在。新たなゲームプレイ要素やシステムを追加するModから、多種多様なアイテム・モブ・バイオームなどを実装するModまで盛んに制作されている。プレイヤーは、そうしたModを本作に適用してゲームをカスタマイズできるのだ。しかし、Modを導入しすぎた「カオス状態」からは、予想だにしない不具合が発生することもある。

そして先日、そうしたカオス状態から奇跡的に発生したモブが、Twitter上でユーザーの注目を浴びたようだ。Twitterユーザーの@hassyX氏は7月27日、『マインクラフト』のモブの一種である牛についてツイートした。同氏によると、牛の体表において「ゲーム中に存在するすべてのテクスチャがびっしりと整列している」状態に見受けられるという。投稿された画像を見てみると、たしかに牛と無関係なブロックやモブなどのテクスチャが、所狭しと牛の体表を覆っている様子だ。

牛の表面をさらにじっくりと観察してみると、テクスチャが恐るべき密度でみっちりと整列していることがわかる。たしかに、全テクスチャが集結しているといわれても頷けそうだ。小さいものでは豆粒ほどの数ピクセルとなるため、判別はなかなか困難。しかし、見つめていると吸い込まれてしまいそうで、不気味さと神秘性を併せもっている。いずれにせよ、人間が見てはいけないものを見てしまったような印象だ。

こうした姿を目撃したTwitterユーザーたちは、「世界のすべてを内包する牛」「アカシックレコード牛」などと表現している。アカシックレコードとは、この世のあらゆる事象が記録されているという存在の概念。『マインクラフト』世界のテクスチャを一身にまとう牛は、たしかに神獣の如き超然とした佇まいを見せている。そしてこの「世界牛」は、@hassyX氏のお子さんが約150個のModを導入した結果生まれたのだという。同氏に詳しい話を聞いた。

まず、Mod大量のカオス状態はなぜ発生したのだろうか。@hassyX氏を通じてお子さんに話を聞いてみると、どうやらカオス状態は望むところだったようだ。お子さんはアイテム複製を可能にするMod「ClickManaita」なども利用しているようで、Mod数個だと飽きてしまうとコメント。Modごちゃ混ぜ状態による「カオスな状態になるのが楽しくて入れまくった結果」としている。

お子さんはお気に入りのModとして、バイオームを拡張する「Biomes O’ Plenty」や、ダンジョンやモブを追加する「The Twilight Forest」などを挙げている。また、なぜか牛の表面にやたら緻密な生肉のテクスチャが見られるのは、国産Mod「匠Craft」の影響と見られる。こちらは、本作登場モブであるクリーパー大量追加のほか、多数コンテンツを盛り込んだMod。そのなかに、瑞々しい生肉のテクスチャが含まれていたわけだ。牛にふさわしい肉テクスチャが混入したのは偶然なわけである。お子さんの好むModの傾向から察するに、新しい刺激を追い求めるタイプのようだ。

Image Credit: @hassyX on Twitter

実際に世界牛を目の当たりにした際、親子はどのような気持ちになったのだろうか。@hassyX氏によれば、お子さんは「ちょっと興奮した感じで」同氏に世界牛の誕生を伝えにきたという。また、お子さん自身は「バグは大好物ですしよく見慣れているので、怖くはありませんでした」とコメント。恐れはなく、むしろ笑いと発見への興奮があったという。世界牛への若干の恐怖が拭えない筆者より、肝が据わっている。@hassyX氏によれば、お子さんは普段は静かなものの、ゲームが本当に大好きだそうだ。

また、@hassyX氏には男児ふたり、女児ひとりで計3人のお子さんがいるとのこと。世界牛を誕生させたのは長男であり、もっと幼い頃から上手に『マインクラフト』を遊んでいたという。また、現在幼稚園児の下のお子さんも含め、クリエイティブモードで建築するなど『マインクラフト』をエンジョイしているそうだ。@hassyX氏自身はプログラマーであり、子供の頃から相当コアなゲーマーだったそう。お子さんがゲーム好きなのも「遺伝なのかもしれません」と語っている。脈々と受け継がれたゲーマーの血が、世界牛生誕に繋がった可能性はありそうだ。

なお、ゲーム内で世界牛を視界に入れた際には、特にパフォーマンス面への影響はなかったとのこと。フレームレートも安定しており、ゲームは通常動作していたようだ。明らかになにか不具合を起こしそうな見た目とは裏腹だ。また、前述の「匠Craft」作者のTom Kate氏もこの世界牛に反応しており、牛テクスチャの異変の原因についてコメント。導入されたなんらかのModが、牛の表面に新たな描画レイヤー(階層)を追加する際に、表示するテクスチャの指定をミスした結果ではないかとの見解を語っている。

子どもによる自由な環境構築から、まるで神獣の如き存在が誕生してしまった今回の一件。『マインクラフト』開発元Mojangはもとより、Mod開発者も予期しなかった挙動だろう。しかし、混沌から奇跡的に発生した「世界牛」は、お子さんにとって特別な存在となりそうだ。


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