『Apex Legends』とある大会で“味方を煽った”罰として参加者が永久追放に。スポーツマンシップを説く運営、深まる溝

『Apex Legends』の非公式トーナメント大会におけるとある煽り行為が、物議を醸している。スポーツマンシップを欠くとする大会運営者と、参加者の認識のすれ違いは、埋まることのない溝を作ってしまったようだ。

Apex Legends』の非公式トーナメント大会におけるとある煽り行為が、物議を醸している。スポーツマンシップを欠くとする大会運営者と、参加者の認識のすれ違いは、埋まることのない溝を作ってしまったようだ。

『Apex Legends』においては、 非公式大会もしばしば開催されている。今回問題となったのは、Fate Legion主催の『Apex Legends』非公式トーナメントでの出来事だ。参加者のひとりであったDilly選手はチームメイトを失いながらも、相手チームとの戦闘に勝利。その直後におこなったDilly氏の一瞬の“煽り行為”が、Fate Legionの運営者であるAndrew Antle氏 の目に留まってしまったのである。

https://twitter.com/dillykami/status/1548153761150824451


Dilly氏が投稿した上記の動画は、Antle氏の大会運営配信時の映像を録画・編集したものだ。動画の2~3秒ごろに問題のシーンが収められている。Dilly氏とみられるプレイヤーはデスボックスの上に飛び乗り、数回しゃがみアクションを繰り返している。この動作は Teabaggingと呼ばれ、FPSゲームなどでは煽り行為と認知されている。これを目撃したAntle氏はすぐさま「Dillyは失格だ」と漏らし、この行為を容認できないと語った。

しかし、Dilly氏はこれを受け入れなかった。今回のTeabaggingは敵チームではなく、Dilly氏自身のチームメイトであるdaftwalrus55氏に向けた煽り行為であったからだ。いわば、仲のいいチームメイト同士の「じゃれあい」だったと主張しているのだ。現に上記の動画の内容からは、Teabaggingを受けたとされるdaftwalrus55氏が、Dilly氏を擁護するために自ら編集したものとみられる。

動画でDilly氏よりTeabaggingを受けたデスボックスは、バナーから辛うじてパスファインダーのものと判別できる。daftwalrus55氏は大会でパスファインダーの使用者が自分1人しかいないため、そのデスボックスが自身のもので間違いないと動画内にて指摘。さらに、大会主催者側を揶揄するような演出を加えている。


同動画のなかでは、Antle氏が「Teabaggingの相手は味方だった」との事実を告げられる様子も見られる。しかしながら同氏は、Teabaggingの相手がチームメイトであっても「関係ない」と一蹴。スポーツマンシップに基づくのであれば、たとえチームメイトであってもTeabaggingをおこなってはならないという見解を示した。

そうした見解を受けてDilly氏は、そもそも大会に一般的な煽り行為(toxicity)に対するルールが設けられていなかったと反論。くわえて、即興のルールを作ったのであればプロ意識に欠けるうえ、そんなルールによって将来すべてのトーナメントで失格にするのは馬鹿げていると主張した。

https://twitter.com/dillykami/status/1548343356358504449


こうした経緯は、上記の動画と共にインフルエンサーであるJake Lucky氏によって拡散。本作のプロ選手であるDroppedことMark Thees氏のほか、人気クリエイターであるHitchことDavis Edwards氏 などが、リプライを寄せている。Thees氏は、「チームメイトにもTeabaggingしちゃいけないなんて」と大会主催者Antle氏のルールに懐疑的。Edwards氏は2008年当時の『Halo』シリーズ作品対戦での煽りあいの酷さを引き合いに出し、過剰反応しすぎであると示唆している。


大騒動へと発展するなか、Fate Legionアカウントは本日、大会主催としての公式声明を投稿。誤った情報が出回っているとして、事実関係を説明している。まず、Antle氏は動画での出来事において「その場で熱くなって失格処分を下してしまった」のであり、あくまでも正式な失格処分ではなかったと主張している。

https://twitter.com/FateLegion1/status/1549211593166266368


そのため、Antle氏および主催者側の言い分としては、何かしらの証拠が提出されれば失格処分を取り下げるつもりであったとのこと。 しかしながら、Dilly氏のチームはカスタムマッチ内のチャットにて、「Dilly氏がチームメイトに対してTeabaggingした」以上の情報を伝えず証拠も示さなかったため、正式な失格処分に踏み切ったとの旨を主張している。

主催者側はAntle氏の熱に任せた発言や、曖昧な大会ポリシーについて反省しつつも 、本作を展開するElectronic Artsのユーザー契約に違反しているなどとしてDilly氏らの対応を非難。さらに、Dilly氏のチームは証拠を大会運営に提出する代わりに、意図的に大会主催者側を貶めるようなクリップを作成し、拡散するに至ったとして非難を重ねている。主催者側における、Dilly氏のチームを自身らの主催する大会から追放するという意思は固いようだ。他方で、Dilly氏はこの声明をまともに取り合っていない様子。両氏が今後和解する望みは薄そうである。

https://twitter.com/dillykami/status/1549254208490274819


FPS競技シーンにおけるスポーツマンシップの重要性は、いまだプレイヤー間で確固たる共通認識が確立されていないのが現状だといえる。そうしたなかで起きた今回の騒動は、コミュニケーションのすれ違いだけでなく、曖昧な大会ポリシーが原因とも考えられる。今回のDilly氏の行動 がスポーツマンシップに反するかどうかはさておき、大会においては現状を踏まえた明確な規定は必要とされるところだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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