『バイオハザード7』に関するとある数字が、先日海外コミュニティの注目を浴びた。PS4版『バイオハザード7』をプレイした実に9%のユーザーが、ゲーム開始時のトロフィー(実績)を取得していないというのだ。つまり、イントロムービーすら見ずゲームを止めたというのである。トロフィー(実績)取得率の見方を変えると、ほかにも興味深い傾向が見えてきた。
実績は、ゲーム内で達成したマイルストーンに応じてプレイヤーに与えられる勲章のようなもの。PlayStationでは「トロフィー」、SteamやXboxでは「実績」など呼称は変わりつつも、各プラットフォームで類似のシステムが採用されている。得られる実績の種類も多様で、ゲームクリアややり込み要素のコンプリートのほか、「10年間ゲームを起動しない」などの一風変わった取得条件もある。また、ストーリーなどの進行で順次アンロックされる実績は「どれだけのプレイヤーが作品をどこまで進めたか」の目安にもなりうる。例として、高難度で知られるフロム・ソフトウェア発アクションRPGでは、序盤ボス撃破の実績取得率がしばしば話題になる(関連記事)。実績取得率は、さまざまなプレイ傾向の手がかりにもなるわけだ。
そんな実績取得率の興味深い見方を伝えるスレッドが7月8日、海外掲示板Redditに立てられた。PS4版『バイオハザード7』のトロフィー取得率データを示して、「9%のユーザーが、ゲーム開始時のカットシーンを見終わる前にプレイをやめている」とする投稿だ。この投稿は現在モデレーターにより削除されてしまっているものの、6746件のUpvote(評価)を集め、反響のコメントも多数投稿された。
同作では、新規ゲーム開始後に2分強のカットシーンが始まる。「失踪した妻の手がかりを追うため、主人公が田舎に向かう」との設定を提示する内容だ。そして同カットシーンが終わると、ストーリー最初の実績である「悪夢の始まり」が自動的に獲得できる。実際にPlayStation Network(PSN)上での本作PS4版トロフィー取得率を確認すると、「悪夢の始まり」の取得率は91%。たしかに9%、約10人に1人のユーザーは最初のカットシーンを最後まで見ていない計算になる。また、PSNでのトロフィーデータは、ゲームを起動した際に生成されると見られる。9%のユーザーは単に本作を買って触っていないのではなく、「起動したものの遊んでない」とも考えられるわけだ。
そして気になるのが、ほか機種での「悪夢の始まり」実績取得率だ。ある程度正確な数値が確認できたのは、PS5版での92.3%、Steam版での96.3%、Steamの本作「グロテスクVer.」の95.5%となる。いずれもPS4版よりは取得率が高いものの、全体の中央値としては93.9%。今年3月31日時点で本作の売り上げが1080万本であることを考えると、実に66万本の『バイオハザード7』がほぼプレイされず眠っている計算になる。ただし、本作はほかのプラットフォームにも展開しているため以上は概算となる。起動してみて怖くなったのか、気が乗らなかったのか、あるいはもっと別の事情があるのか。ともかく、「『バイオハザード7』をもってはいるけど遊んでない」プレイヤーは意外と多く存在するようである。
ほかに興味深い例としては、『ネプテューヌ』シリーズの「ゲーム開始実績」がある。同シリーズ作品の多くには、ゲームを開始した後に自動的に手に入る実績が存在。たとえばPS3でリリースされた『神次元ゲイム ネプテューヌV』では、「NEW GAME」を選択・開始した直後に実績「ネプテューヌ起動」が解除される。つまり、ちょっとでも遊ぼうとしたなら必ず所持しているはずの実績なわけだ。ところが、同作のPSN実績データを見てみると、取得率は95.1%。4.9%のユーザーはNEW GAMEすら押していないわけだ。また『ネプテューヌ』シリーズは、ややニッチな作風でもある。それを入手しておきながら触れない事情というのは、かなり想像を掻き立てられる。
ゲームの実績取得データは、実績自体のレア度を示すのみでなく、ユーザーの興味深い傾向をも示してくれる。ほかの例としては、前述の「10年間ゲームを起動しない」実績を、作品発売直後に不正取得するユーザーが出現。開発者がユーモアを交えて叱りつけた珍事があった(関連記事)。実績取得率をじっくり眺めてみれば、ほかにも浮かび上がってくる意外な発見があるかもしれない。