Steam無料パロディパズル『The Looker』ユーザーレビューで「圧倒的に好評」。『The Witness』への愛とユーモアが溢れる本気のおふざけ
デベロッパーのSubcreation Studioは6月18日、『The Looker』をSteam向けに無料配信開始した。本作に散りばめられた“ある要素”が、数多くのユーザーに好評のようだ。
『The Looker』は一人称視点のパズルゲームだ。プレイヤーはステージ内の各所に配置されたボードなどに、ルールに則って線を描きこみ、パズルを解いていく。ルールはシンプルながら、閃きによって解決する爽快感も味わえる作品だ。
本作で基本となるルールはひとつだけ。各ボードにはSTARTとENDという文字など、開始点と終点が表記されており、この2つが繋がるように線を引くとクリアだ。要するに、一筆書きを完成させるだけである。線が途切れてしまう仕切りも存在し、それらが迷路を形作っているなどのひねりも。ただし、かならずしも正攻法が解決に繋がるわけではない。パズルの種類は、チェスを絡めたものやアーケードゲームのようなものまで幅広く登場。クリアまでは約2時間程度とボリュームは控えめなものの、バリエーション豊かなパズルを楽しめる。
本作の配信が始まったのは、6月18日のこと。記事執筆時点で3959件のユーザーレビューが寄せられ、その98%が好評とする「圧倒的に好評」のステータスを獲得している。配信からわずか2週間で、数多くのプレイヤーから好評を受けているわけだ。そしてレビュー投稿の多くが、パズル以外の要素にも言及している。
というのも本作には、人気パズルゲーム『The Witness』、およびその作者であるJonathan Blow氏の他作品のオマージュが数多く散りばめられているのだ。まず、「一筆書きを完成させる」という基本ルールは『The Witness』とほぼ同じであり、ローポリゴン調のグラフィックスタイルも類似。近未来的なトンネルから始まる導入部分や、電子パネルとパズルが配置された美しい廃墟を探索する点も似通っている。雰囲気などの再現性はかなり高く、“オリジナル”へのリスペクトさえ感じる仕上がりだ。
『The Witness』の再現も多くみられる一方で、『The Looker』はジョークが多く比較的お気楽にプレイできる。たとえば、各所に配置されたボイスレコーダーで録音が聞けるのも、『The Witness』にも存在した要素。しかし、意味深な格言や引用が聞けた『The Witness』に対して、『The Looker』のそれは意味不明な戯言ばかり。これは、「なんとなく哲学的な雰囲気だけ真似をしている」という意図的なユーモアなのだろう。ほかにも、プレイヤーや『The Witness』を茶化すようなジョークが散見される。
以上のように、『The Looker』は『The Witness』をオマージュ、あるいはパロディ化しつつ、ユーモアが散りばめられている。これも、本作がユーザーから好評を受けている理由のひとつだろう。『The Witness』で苦労したユーザーも、本作のジョークで笑いに変えてしまえるわけだ。
『The Looker』を手がけたのはデベロッパーのSubcreation Studio。開発者のBradley Lovell氏による個人スタジオだ。本作は、同氏が専門とするUnityによって開発されている。Lovell氏の公式サイトを見てみると、多種多様な作品を手がけているようだ。バラエティに富んだパズルの各所に、同氏の培った開発手腕が発揮されていることが確認できる。おふざけの多い本作だが、再現性の高いグラフィック面を含め、同氏の技術を活かしてまじめに開発されているようだ。これも『The Witness』の美しい情景やゲームプレイへのリスペクトなのかもしれない。
『The Looker』はPC(Steam)向けに無料配信中だ。