『エルデンリング』楽曲の歌詞は意味をなさないとするユーザー主張。世界観の手がかりを巡って激論がほとばしる
『エルデンリング』におけるボス戦楽曲のコーラス。その歌詞のほとんどが意味をなしていないと、あるユーザーが主張している。海外メディアEurogamerなどが伝えている。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPG。本作の特徴のひとつは、熾烈なボス戦だ。また、強大な敵との戦いを盛り上げるBGMも魅力である。壮大なボス戦BGMは、『ダークソウル』シリーズや『Bloodborne』など同スタジオ過去作から恒例。そうした曲にはしばしば荘厳なコーラス盛り込まれ、ボスとの死闘を盛り上げてくれる。
また、過去作から通じて、ファンによるコーラス歌詞の分析や考察の試みも盛ん。先日には『エルデンリング』における「神肌のふたり」戦における楽曲の、ラテン語歌詞を英訳したとされる動画が公開。黄金樹への恨みや、肌をよこせといった内容を綴った歌詞であるとされ、話題となった。
しかしながら、こうした分析に対して物申すユーザーが海外掲示板Reddit上に現れた。言語学を専攻する学生であるという、MAGISTER-ORGANI氏だ。同氏は、神肌のふたり戦BGMにおけるコーラスが、正確なラテン語だとは思えなかった様子。10年間ラテン語を学んだという別のユーザーも、語尾がラテン語というよりポルトガル語のようだと投稿。同氏の考えを支持している。
さらにMAGISTER-ORGANI氏は、本作の音楽プロデューサーや作詞家などの関係者たちに交渉を敢行したとまで主張している。同氏は、ほとんどの関係者は歌詞を提供してくれなかったとしつつも、粘り強い交渉のすえに、『エルデンリング』の音楽に携わったスタッフから歌詞を入手したとしている。真偽は不明なものの、同氏は開発スタッフとのやりとりであるとする動画をReddit上に投稿。YouTube上でも、そうした歌詞を元にしたとする分析動画を投稿している。
MAGISTER-ORGANI氏によると、本作においてラテン語で歌われている楽曲はただひとつ。ハーピィのような姿をした敵が歌う曲「Song of Lament(嘆きの歌)」のみであったという。美しい声についつい引き寄せられ、歌声の主に驚愕してしまう、あの歌だ。ほかの楽曲については、ほとんどがラテン語として意味をなさず、いわば出鱈目なことばで綴られていると主張している。
意味のない歌詞が採用されている理由についてMAGISTER-ORGANI氏は、古代言語の表現ではないかと考えているようだ。本作には、稀人(Numen)と呼ばれる異界の民の末裔が存在。彼らの操る言葉として、自動生成による理解不能な言語が作られたという予想だ。同氏は、歌詞はもともと正しいラテン語であったものを、意図的に崩して作られているとの見解を述べている。
ほかにも、MAGISTER-ORGANI氏はBGMに関する多数の考察を投じている。一方で、同氏の主張に反発するユーザーも少なくない。同氏側も、開発スタッフとのやりとりであるとの文面を公開するなど、意固地になっている側面もある。フロム・ソフトウェア作品における考察は、ユーザー間で大きな議論に発展する場合もしばしば。今回の一件も、そうした騒動のひとつといえるだろう。
楽曲のコーラスが、意味をなさない言葉であったとされる今回の投稿。『ダークソウル』シリーズにおいては、一部楽曲の歌詞はラテン語ではなく造語であるとの制作者による証言もある。制作者が変わっても、そうした方針が『エルデンリング』に受け継がれている可能性はある。ただ、MAGISTER-ORGANI氏の主張の真偽については、開発に携わったスタッフしか知る由もない。
なお、同氏は、歌詞に意味がなくとも、本作の楽曲は素晴らしいものだとコメント。ラテン語であろうとなかろうと、本作の楽曲がボス戦を盛大に盛り上げてくれたことはたしかだ。今いちど、本作のサウンドトラックでデミゴッドたちとの死闘を振り返ってみるのもいいかもしれない。