NASA公開の“天体投入ゲーム”が混沌。ブラウザで遊べる、天体物理学に基づく星系づくり

NASAの運営するAstronomy Picture of the Day(APOD)は6月19日、ブラウザゲーム『Super Planet Clash』をサイト上で公開した。惑星系に天体を投入していくゲームだ。

NASAの運営するAstronomy Picture of the Day(APOD)は6月19日、ブラウザゲーム『Super Planet Clash』をサイト上で公開した。

『Super Planet Clash』は、惑星系に天体を投入していくゲームだ。投入された天体は公転を始めるが、その軌道はほかの天体の引力による影響を受ける。そのため、考えなしに天体を投入していくとそれぞれの軌道が狂ってしまう。そして、天体同士が衝突する、またはひとつでも天体が軌道から離脱すると、ゲームオーバーとなる。プレイヤーは天体の軌道をなるべく維持しつつ、1000年続く星系を作ることを目指す。

天体は、星系内の任意の位置をクリックして投入可能。投入できる天体のサイズはEarthと、Ice giant/Giant planet/Brown dwarf/Dwarf starの計5種類。それぞれEarthと比べて15/300/5000/3万倍の質量を有している。サイズの大きな天体を投入すれば獲得スコアが高くなるものの、ほかの天体への影響も強くなる。


本作を手がけるのは、天文学者を中心に構成されたデベロッパーの SAVE/Point。天体物理学の博士号をもつStefano Meschiari氏がチームを率いている。海外メディアSpace.comによると、本作はSystemic Consoleと呼ばれるソフトウェアパッケージを使用して開発されているそうだ。同ソフトウェアパッケージは、望遠鏡などから得られた膨大なデータから、実際に太陽系外の惑星を分析するために用いられるものだという。

そうした天体物理学のノウハウをフル活用して開発された本作。ハイスコアを目指すだけでなく、さまざまな“実験”をおこなうことも可能だ。Twitter上では、本作で天文学的な遊びをしている様子が見られ、なかなかの話題となっている。たとえば、ドップラー法と呼ばれる太陽系外惑星の検出方法。この方法は、惑星の引力による恒星のふらつきを観測して、周囲の惑星の存在を検出するというものだ。本作ではその逆に、「ドップラー法で検出されるであろう恒星のふらつき」を自分で 再現できるのである。

ほかにも、ケプラー11/ケプラー18/HD 80606といった実在の恒星およびその星系に、さらなる天体を投入していくモードが用意。6つもの惑星が周回するケプラー11や、極端な楕円軌道を描く惑星が周回するHD 80606の様子が再現され、それらの絶妙なバランスを確認可能だ。そして、そこに天体を好きなだけ投入することができる。我々が住まう太陽系の奇跡的バランスに思いを馳せつつ、破壊を恐れず楽しもう。


『Super Planet Clash』は、APODおよび開発チームの公式サイト上でプレイ可能だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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