『VALORANT』新パッチ5.0情報解禁。新マップ・新ランク区分の追加、マップ「スプリット」の実質的な削除など、内容盛り沢山の大型アプデ

Riot Gamesは6月17日、『VALORANT』新パッチ5.0のパッチノートを公開した。新マップ「パール」の追加や、マップ「スプリット」の実質的削除、そして新ランク区分「アセンダント」の追加など、さまざまな変更が実施される。

Riot Gamesは6月17日、『VALORANT』新パッチ5.0のパッチノートを公開した。新マップ「パール」の追加や、マップ「スプリット」の実質的削除、そして新ランク区分「アセンダント」の追加など、さまざまな変更が実施される。同パッチは日本時間6月23日配信予定。

新マップ「パール」


まずは、今回のアップデートの目玉でもある新マップ「パール」について確認していこう。パッチノートには新マップの内容について記載はないが、YouTube公式チャンネルではすでに公式トレイラーが公開されており、動画にて「パール」の雰囲気を掴むことができる。どうやら、新マップはポルトガルの海底都市がテーマとなっているようだ。

Riot GamesコンセプトアーティストリードのBrian Yam氏は、新マップ「パール」について「水中をテーマにした古いコンセプト案と、気候変動で水没した大都市をテーマにした新しいコンセプト案から、インスピレーションを得て生まれました」と説明している(TheGamer)。また、「これら2つのアイデアを元にコンセプトが作られ、ロケ地をポルトガルにしたところ、その歴史的で建築的なビジュアルの可能性に、(アートチームの)皆が興奮したのです」として、ポルトガル現地で受けた感銘を語っている。

またYam氏は、「パール」の舞台となるのが オメガアース(『VALORANT』のストーリー内に登場する、もう一つの地球のこと)であることに言及。オメガアースにて、同地の組織である「キングダム・インダストリーズ」がいかに気候変動にアプローチしたか、その様子をいかに視覚的に伝えるかを検討したとのこと。結果として、「水中で都市を維持している」とのビジュアルの方向性が定まったようだ。同氏は、キングダム・インダストリーズの建造物とポルトガルの古い建造物が共存する様子も魅力だとしている。

特殊なポリカーボネートで街全体が覆われている
ポルトガル語で書かれた看板がいくつか見える

プレイヤーにとってもっとも気になるのは、新マップが実際のゲームプレイではどのようなものになるのかだろう。公式トレーラーが公開された1時間後、Riot GamesはTwitch公式チャンネルにて開発チームによるハングアウト配信を開始。配信内での説明によると、「パール」は「バインド」にあるようなテレポートや、「ブリーズ」や「フラクチャー」にあるような開閉できるドアなどといった、これまで多くのマップに存在していたギミックは存在しないマップだという。

『VALORANT』マップチームのデザインリードを務めるJoe Lansford氏は、前述のTheGamer記事にて「アイスボックス、ブリーズ、フラクチャーの後、もう少しわかりやすいマップを作りたかったのです」とコメント。「新マップ“パール”では、ドアやアセンダー、テレポーターのようなローテーションや移動のサポートがありません」「そのため、戦略的には意外と単純なものとなっています」と続けて説明している。一方で、「とはいえ、『VALORANT』のマップに期待されるような “ひねり” と “深み” があります」とも語っている。

また、パッチノートによると、パッチ5.0にて新マップ「パール」限定のキュー(アンレート)が2週間限定でプレイ可能になるようだ。その期間終了後、「パール」は通常どおりコンペティティブのマッププールに追加されるとのこと。

マップ「スプリット」の実質的な削除

『VALORANT』クローズドベータ当初から存在していたマップ「スプリット」が、次回アプデからアンレートおよびコンペティティブのマッププールから一時的に削除される。以下、公式サイトの説明概要である(「VALORANT マッププールの変更」から引用)。

概要:

  • パッチ5.0(6月22日)より、コンペティティブおよびアンレートのマッププールから「スプリット」を除外 ── 再実装の日程は未定
  • 新マップ「パール」がパッチ5.01(7月12日)コンペティティブキューに導入されるまで、一時的にマッププールが6マップに
  • 8月に開催されるLCQ(ラストチャンス予選)を最後に、eスポーツイベントのマッププールから「スプリット」を除外
  • 「スパイクラッシュ」やカスタムゲームなどの他のゲームモードでは引き続きプレイ可能
  • 新規および復帰プレイヤーが楽しめる、バリエーションと習熟度を両立させたマッププールに

なぜマップ数を調整するのか

新マップ「パール」の登場により、『VALORANT』のマップは全部で8種類となる。ここからマップを1つ削除して7種類にするのに、果たしてどのような意図があるのだろうか。Lansford氏がその背景について説明している。同氏は、タクティカルシューターにおいてもっとも難しい要素のひとつは、新しいマップを覚え、その上で習熟することだと言及。覚えるマップが多すぎるとプレイヤーが圧倒されてしまい、深く習熟する機会がなくなってしまうとの見解のようだ。

そして、マップチームがマップの「バリエーション」と「習熟度」の両立を考えた時に、マップの数は「7種類」がもっともバランスの取れたスイートスポットだと結論付けたとのこと。Lansford氏は、この数は新規プレイヤーにもプロチームにも習熟しやすく、かつ刺激的なプレイ環境であるとして、利点をアピールしている。

マップの種類が増えると、そのマップの各種名称だけではなく、各エージェントのスキルを使う箇所(いわゆる「定点」)など、組み合わせて覚えることも多くなる。これは新規プレイヤー参入の妨げにもなるだろう。さらに、eスポーツイベントにおいてはBO5 (Best of 5 / 3本先取制) 形式を採用しているトーナメントも多い。BO5形式は最大で5試合を実施することになるので、それよりもマップ数が多い現在の『VALORANT』ではマップのバン(試合で使用禁止にするマップを決めること)が必要になる。前回の世界大会ではマップが7種類であったおかげで、お互いのチームが1つづつマップのバンを選択することができた。つまり、この「7」はプロシーン的にもキリが良い数字ということになる。

それでは、なぜマップ「スプリット」が削除対象に選ばれたのだろうか。公式サイトでは、不満に思うプレイヤーに理解を示しつつも「さまざまな要因を考慮して決めた」としている。プレイヤーの感想や、同マップリリースからの経過時間などの多数要素のほか、新マップ「パール」の位置づけも加味した熟慮の末に「スプリット」が選ばれたそうだ。ただ、同マップはいつかふたたび実装されるそうで、その際にはいくつかの調整も施される可能性があるそうだ。

新ランク区分「アセンダント」

次に、コンペティティブのアップデートについて確認していこう。次回アプデから新ランク区分「アセンダント」が、現在のダイヤモンドとイモータルの間に追加される。パッチノートの説明によると、新ランクの導入理由は、開発チームが考えている理想のランク分布に近づけるためとのこと。詳細は以下のとおり。

新たなランク:アセンダント

  • ダイヤモンドとイモータルの間に新たなランク「アセンダント」を追加
    • 現在、低ランク帯、特にブロンズとシルバーに分布するプレイヤー数が多すぎると考えています。しかしランク分布を調べてみると、もし一部のプレイヤーをこれらのランクから昇格させた場合には、プラチナやダイヤモンドが人口過剰になってしまうことがわかりました。そこで新たなランクを追加することによってランクごとの人口の偏りの問題を解消し、高ランクの権威を保ちながらも各ランクのスキルレベルをより明確にすることにしました。
  • 新ランク「アセンダント」の追加により、アセンダント以下の全ランクのランクMMR目標が引き下げられ、イモータル1、2、3およびレディアントのランクMMR目標は引き上げられることに
    • MMR目標とはランク到達に必要なMMRを示す境界値のことで、RR獲得量を判定し、ランクをMMRに適合させるためのものです。
  • つまり、アセンダントより下位にいるプレイヤーは、この調整によりランクが上がります。
  • VALORANTにおける最高ランク帯であるイモータル以上のプレイヤーにとって、以前のEpisodeでのランクに戻ることは容易ではなくなるでしょう。これは、すべての地域においてリーダーボード上のイモータル人口が減少することも意味します。
  • シーズンリセットにより、Episodeの開始時点では、ある程度頑張らなければランクアップできないかもしれません。ですが、このリセットは前回のEpisodeでのリセット時に比べれば”さほど厳しくない”ものであるはずです。アセンダントのランクを埋めるためにプレイヤーベースを上に押し上げているので、今回のリセットがプレイヤーに与える影響はそれほど大きくはありません。
  • ただし次回のリセットでは、おそらく多くのプレイヤーのランクが今回のEpisodeのリセットよりも下がることが予想されます。この”さほど厳しくない”リセットはアセンダント導入によるもので、今回のEpisodeに特有のものであることを覚えておいてください。
  • アセンダントのプレイヤーがグループを組む際の制限は、アセンダントのプレイヤーの上下3ランク以内に
    • これはプラチナ以上のグループ分けに関する規定にも適合します。
  • 振り分け戦によって振り分けられる最高ランクがアセンダント1に変更(従来はダイヤモンド1)
  • 5人のプリメイドグループへの25%のRRペナルティーはイモータル1から適用(従来はダイヤモンド3)
  • ソロ/デュオ/5人のプリメイドに関する制限はイモータル1から適用(従来はダイヤモンド3)
    • これまではダイヤモンド3以上はソロ、デュオ、5人のプリメイドのみに制限されていましたが、今後はこの制限はイモータル1から適用されます。
    • 新ランクの追加により、5人のプリメイドグループへのペナルティーとソロ/デュオに関する制限をイモータルに押し上げることが可能になりました。イモータルはリーダーボードへの掲載が始まるランクなので、自らの順位についての責任をプレイヤーにより明確に持ってもらいたいと考えています。
  • 新ランクの登場により名称の重複が発生するため、セージのエージェント契約書のティア8でアンロックされるタイトルを「果断」に変更
    • タイトル変更は容易な判断ではありませんでした。しかし検討を行った際、これはセージの人物像やテーマにさらなる深みを持たせる機会になると考えて、変更を決定しました。

不具合修正

そして、不具合修正について確認していこう。詳細は以下のとおり。

マップ

  • 「ヘイヴン」のAガーデン内にある壁にスプレーが使用できない不具合を修正

エージェント

  • ジェットが「テイルウィンド」使用中に武器を装備できる不具合を修正
  • ソーヴァの「リコンボルト」またはフェイドの「ホウント」で位置を特定されたエージェントが、わずかな間ミニマップ上で誤った場所に表示されることがある不具合を修正
  • チェンバーの「ツール・ド・フォース」で照準を合わせる際、スコープのビジュアルエフェクトが消えることがある不具合を修正

ゲームシステム

  • アルティメットポイントのオーブを使用している際、または最も遠い距離でスパイクを解除している際に、吸収や進行度を示すバーのアニメーションがちらつく不具合を修正
  • 対戦中に接続が切れた後に再接続した際、詠唱進行度バーが更新されない不具合を修正
  • 一部の武器を装備した際、誤った速度で装備アニメーションが表示され、発射可能なタイミングが適切に表示されない場合があった不具合を修正。この不具合による影響を受けていた状況は以下の通りです:
    • サイファーが「スパイカメラ」を終了する時
    • アルティメットポイントのオーブを獲得する時
    • スパイク設置のキャンセルおよび完了時

以上が、パッチ5.0の内容となる。新マップ「パール」の追加や新ランク区分の追加など、多くのプレイヤーにとっては喜ばしい内容となっていると思われる。一方で、これまで慣れ親しんだマップ「スプリット」が実質的に削除されるなど、少し寂しい面があるのも事実だろう。なお、新マップ「パール」を含んだパッチ5.0は、日本時間6月23日にリリース予定とのこと。

『VALORANT』は、Riot GamesからPC向けに基本プレイ無料にて配信中。

Shinichiro Nakamura
Shinichiro Nakamura

シューターとRPGをこよなく愛するゲーマーです。シューターは『VALORANT』と『CS:GO』が特に大好きです。RPGは『ファイナルファンタジー』シリーズが好きです。

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