「ゲーム配信規約データベース」が注目集める。配信者やVTuber向けに、配信や収益化の可否を5000件以上まとめ
現在、「ゲーム配信規約データベース」が注目を集めているようだ。配信者を中心に認知度が上がってきている。
近年は配信プラットフォームや機器の普及により、個人でも手軽にゲームプレイの様子を配信できるようになった。YouTuberやVTuberとして、日々どんなゲームを配信するかアンテナを張っている人も少なくないだろう。一方、ゲーム実況をおこなう上で、無視できないのが配信規約の存在だ。どんなゲームも、自由に配信していいとは限らない。メーカーごとに配信できる範囲に制限をかけていたり、あるいは配信そのものが禁止されていたりする場合もある。作品によっては、ユーザーが配信で内容を知ってしまうことで買い控えが起こる可能性もあるためだ。最近では、大手メーカーは自社のゲームに配信者向けの規約を設けているケースが増えている。
となると、配信者はゲーム配信をおこなうために、各社・各作品の配信規約を調査してから取り扱いの是非を判断することになる。しかし、タイトルごとにバラバラに設定された規約をいちいち調べるのは骨の折れる作業だ。そんな配信者に向けて用意されたサイトが、「ゲーム配信規約データベース」である。
同サイトでは、各タイトルに設定されている配信規約をデータベースとして集積。タイトルを検索することで配信の可否や注意事項の有無を確認することができる。ほか、収益化の可否といった条件でタイトルを絞り込んで詳細検索することも可能だ。ただし、サイトから確認できる規約内容はあくまで“目安”。データベースをもとに配信できそうなタイトルの目星をつけ、さらに自分でも最新の規約を確認して配信可否を判断することが求められている。
たとえば、2019年に発売されたNintendo Switch版『ドラゴンクエスト』の配信規約を見てみよう。同作については、「大手動画投稿・配信サイト(YouTube、ニコニコ動画、Twitch等)での配信、または大手動画投稿サイトを含む多くのサイトで投稿・配信が可能」「大手サイトが提供しているパートナー機能を使用した収益化などが可能、または、制限や注意事項などが少ない可能性がある」との目安が記載。実際にスクウェア・エニックスが公開している配信規約ページへのリンクも掲載されている。
一方、同じく2019年に発売された『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』の配信規約については、「収益化をすることが出来ない可能性がある」「配信するにあたり、なんらかの配信方法に制限がある」「配信するにあたり何らかのストーリー制限がある」といった記載あり。実際に『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』は動画配信について非営利での利用のみに制限しており、配信禁止区間をゲーム中の「12月24日以降~エンディング終了」までに設定。配信方法については「プレイ動画をPlayStation 4のシェア機能で利用できる動画共有サイトに配信する」といった制限を設けている。ゲーム配信規約データベースを利用することで、こうした配信規約をスムーズに確認できるようになっているわけだ。
今回弊誌は、ゲーム配信規約データベースを運営するRiskRoyalCollection氏にお話をうかがった。同氏は、自身でもゲーム配信や実況、「叩いてみた」動画などを投稿するストリーマーだ。RiskRoyalCollection氏がデータベースを立ち上げたきっかけは、友人と話し合っていた際、「配信規約がまとまったサイトがあったら良いな」という一言があったことだという。RiskRoyalCollection氏としては、昔から「自分の作ったもので誰かの役に立ちたい」という思いがあり、高校時代にプログラミングを学んだ経験もあったことから、誰かに使ってもらえるサイトの立ち上げに関心があったそうだ。自身も配信者として配信規約探しに苦労した経験もあることから、ゲーム配信規約データベースの立ち上げに取り組んだという。
今年6月14日時点で公開されているゲームの件数は5354件とのこと。RiskRoyalCollection氏が手作業でゲームと配信規約を確認し、データを結び付けながら公開数を増やしているそうだ。サイト公開当初は月10PV程度を見込んでいたものの、Twitterで拡散されたことがきっかけで、注目を集めることに。サイト宣伝ツイートを合計すると、現時点で約2万いいね・約1万RTを集めているとのことだ。想像以上の反響には「驚きしかない」と語る。実際に配信活動をしているユーザーから「探しやすくなった」「配信可能なタイトルの目星をつけやすくなった」といった声が届いているそうだ。
今後優先的に実装したい機能としては、「一つのゲームに対して複数の配信規約を表示できる」ようにすることを挙げている。現時点でのサイトでは、一つのゲームに対して一つの規約しか表示できない。しかし複数の権利元が絡む作品の場合は、それぞれの規約を確認する必要がある場合もある。今後は複数の規約を表示できるようにすることで、より的確な情報を提供できるように目指しているそうだ。
なお RiskRoyalCollection氏は利用者に向けて、自分でも配信規約や公式サイトなどを参照して間違いがないか、自分で判断しながら、最終的には自己判断と責任で配信をおこなうように要請している。「配信規約探しの足掛かり」「規約を探す前の目安」としてデータベースを活用してほしいとのことだ。利用者に少しでも使いやすく、配信活動のゲーム選びの負担を少しでも軽減できるようにアップデートやメンテナンスを続けていきたいとの意欲を語ってくれた。
ちなみにゲーム配信規約データベースでは、ユーザーからの情報をもとにしたゲーム登録も受け付けている。現在はコンソール作品の登録が多いものの、情報提供があった作品を優先的にSteamなどのインディー作品にも手を広げていきたいとのことだ。ゲーム開発者本人からの申請も受け付けており、ぜひ情報提供してほしいとのことだった。
ゲーム配信規約データベースはこちらから閲覧可能だ。利用の際は、ゲームが公式に発表している最新の配信規約を確認することを忘れないようにしたい。
※ The English version of this article is available here