人気海外YouTuberがゲームへの不満を「Unityのせい」にして識者から即ツッコミ。エンジンは悪くないと即謝罪

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海外YouTuberが、特定のゲーム作品への不満について、ゲームエンジン「Unity」の問題であると雑に指摘。この発言に対してゲーム開発者から即座にツッコミが入り、当のYouTuberも素早く謝罪するに至っている。

*Unityを利用したフルCGデモ「Enemies」の一幕

Unityは、アメリカのUnity Technologies が提供するゲームエンジンだ。Unreal Engineと並び、さまざまな規模やジャンルのゲームタイトル制作に利用されている。活用例としては、『Inscryption』のようなインディータイトルから『原神』のような大型タイトルまでさまざまだ。そんなUnityを利用したリメイク作品への不満をめぐって、ひと悶着あったようだ。そのリメイク作品とは、『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』である。本作は『スーパーモンキーボール』『スーパーモンキーボール2』『スーパーモンキーボール デラックス』の3タイトルをまとめてフルリメイクした作品であり、Unityを利用して開発されている。

その『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』に物申したのが、海外YouTuberのScott Wozniak氏だ。Wozniak氏は、任天堂を中心としたゲームの話題を扱い、軽快なトーク動画で人気を博している人物である。同氏6月8日、Nintendo Switch発売5周年にまつわる動画を投稿。同機で発売された多数作品について2時間にわたって語っている。そのなかで取り上げられたのが、『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』だったのだ。

『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』

同氏は『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』の話題に入ると、ゲーム概要について軽く説明。しかし、同作の出来栄えについては、「しっかり制作されている」としつつも、不満がある様子。その理由を説明しはじめた同氏は、「このゲームはまんまデフォルトのUnityエンジンを使ってるんだ」と発言。突然Unityの話をし始めたのだ。

どうやら、「Unityエンジンを使っているのが原因で、ゲームプレイに違和感がある」というのが、Wozniak氏の主張のようだ。同氏はUnityについてパワフルなエンジンであると前置き。しかし、オリジナル版のゲームプレイを再現する目的には向いていないとコメントした。また、Unityが採用された理由については「安くて簡単に扱えるからではないか」と推測。「Unityの性質に、操作性の違和感の原因がある」と主張している。さらに、作品自体はよいゲームだとしつつも、「エンジンの制約によく対処した」とUnityに否定的なコメントを重ねている。まとめると、Wozniak氏は「Unityは利用料が安くて開発が簡単ゆえに、機能がいまいち」との私見に基づいて、「Unityのせいでゲームプレイが悪化した」という旨の意見を投じているのだ。

*該当のトーク部分は動画1時間27分11秒頃から


ところが、この発言は動画公開後すぐさまツッコミを受けることとなった。たしかに、『たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク』については、Steamユーザーレビューなどでも「操作性がオリジナル版と比べ違和感がある」との旨の意見は投じられている。しかし、その原因をUnityに求めるのは論拠に欠いている。Wozniak氏は発言にあたり、技術面での分析などの根拠は述べていない。つまり、個人的な印象に基づいて、なんとなくUnityのせいにしてしまった様子なのだ。

Unity以外にも数多くのゲームエンジンがあり、それぞれ得意分野が分かれる面はあるだろう。しかし、Unityにおける操作の実装については、極めて広範な調整やカスタマイズが可能。操作感は、主に開発者の設計および調整に依存している。それは、『モンキーボール』シリーズの「物理演算を使った玉転がし」という特殊な操作性でも同様だ。技術上はUnityでオリジナル版の操作感の再現は可能なはずであり、そこに変更があったとしても、開発ディレクション上の判断だろう。「Unityだから操作性が悪化した」というのは、いささか短絡的すぎる思考だ。

Wozniak氏の発言に、すぐさまツッコミを入れる人物がいた。Kenney Vleugels氏である。同氏は本作には携わっていないものの、ゲーム開発者でもあるほか、無料ゲームアセット配布サイト「Kenney」を運営。Twitterでは6万人以上のフォロワーがおり、多くのゲーム開発者を支えている人物として一定の影響力がある。Kenney氏はWozniak氏の動画投稿当日に、すぐさま一連の問題発言を抜粋。自身のTwitterアカウントに引用投稿して、困惑を示している。根拠に欠いた状態でUnityに罪を着せる発言が、ゲーム開発に携わる人間として理解しがたかったのだろう。

Kenney氏のツイートには、リプライと300件を超える引用RTで多数の意見が寄せられている。主にゲーム開発者からWozniak氏への批判的な意見が目立っており、「Unityに悪印象がつくことで、Unityを利用する開発者に悪影響があるのでは」などの意見も出ている。一方で、「Unityには技術的制約がある」「やはりUnityが作品に合っていなかったのではないか」など、Wozniak氏に同調する者も。しかし、具体的な論拠を示す者は見当たらず、Kenney氏やほかの開発者たちによる反論を浴びている。Wozniak氏と同様に、「Unityは良くない」とのぼんやりした偏見をもってしまったユーザーたちだろう。一方で、ゲーム開発に理解がある者たちにとっては、Wozniak氏の発言は受け入れがたい様子だ。

ただ、当のWozniak氏はすぐさま自分の発言を謝罪している。同氏は今回の動画コメント欄にて「とてもバカな発言だった」とコメント。「少なくとも操作性については、Unityが悪いわけではなかった」として、謝罪している。またWozniak氏は、Kenney氏のツイートに対してもリプライで謝罪を投稿。「なぜゲームに違和感があるか考えた時に、Unityをその理由として利用してしまった」と伝えている。

Unityはユーザーの年間売上に応じてライセンス料が変わる料金モデルであり、コスト的には参入は容易だ。また、Unityを使ったインディーゲームは日夜数多くリリースされており、その質も玉石混交。そうした点で、「Unity 利用作品は低品質」との偏見がついた面もあるだろう。Wozniak氏も、そうした印象のまま、深く考えずにUnityを批判してしまったのかもしれない。今回の一連の出来事は、公にゲームを語る際、特に批判的な文脈の場合には、しっかりと論拠をもつべきという一例だった。我々メディアにとっても、忘れてはならない教訓である。

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