『The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、スカイリム)』向けに、NPCがプレイヤーのプロポーズを断ってくれるModが登場しているようだ。内容や音声まで作り込まれた、多彩な「ノー」を突きつけるNPCの態度は、厳しくも面白い。海外メディアGamesRadar+が紹介している。
『スカイリム』は、Bethesda Softworksが手がけたオープンワールドアクションRPG。本作には「結婚」システムがある。これは結婚可能なNPCひとりと婚姻を結べるシステムで、ゲームプレイ上のさまざまな恩恵も受けられる。ひとたび婚姻を結べば後の変更は不可能なほか、キャラ属性やいわゆる好感度(気質 /Disposition)も結婚条件に関わってくる。 この好感度を上昇させるため、実質的に関連クエストクリアなどが前提条件が必要になる。一方で、条件を満たしていない場合や結婚できないNPCには結婚を持ちかけることはできない。つまり、ダイアログが出現する=必ず婚約OKであり、一声かければ結婚式へ一直線となる。ゲームの基本状態では、プロポーズで失敗することができないのだ。
そんな成功の見込みのないプロポーズを可能にしてくれるModが「Immersive Rejections」である。手がけたのは、Mod制作者のJaySerpa氏。同氏は本Modのほかにも「Immersive Interactions」や「Dirt and Blood」などの人気『スカイリム』Modを多数作り上げた人物だ。
「Immersive Rejections」は、5月18日に公開されたばかり。人気Mod制作者の新作なわけだ。本Modを導入することで、結婚できる条件を満たしていない、あるいはそもそも結婚できない相手にもプロポーズが可能に。さらには、相手NPCの拒否の言葉も細かく作り込まれている。多彩な拒否バリエーションがあるほか、フルボイスで求婚を拒否してくれる。既存ボイスの丁寧な組み合わせによって、自然な婚姻拒否ボイスを実現したそうだ。ほかにも、相手の好感度に応じて断り方が厳しくなったり、ちょっと優しくなったりもするそうだ。
具体的な本Modでの求婚拒否の様子は、JaySerpa氏自身がYouTubeで公開している動画に取りまとめられている。温度感もさまざまで、「ごめんなさい……」と申し訳なさげに断ってくれるキャラもいれば、「ノー!」と嫌悪感をあらわにしてプレイヤーを拒絶するキャラも。勝ち気な女性盗賊のヴェックスなどは「気でも狂ったか?笑わせるな」と致命傷になりかねない断り方をしてくる。一方で、情に厚いホワイトランのバルグルーフ酋長などは「なんだって?無理だ!申し訳ないがそれはできない。……そんな目で見ないでくれ!」と困り果てている。さらには、ドラゴンであるパーサナックスにまで求婚が可能。独特の言い回しで断られた主人公は、そのあと世界のノドからダイナミックに身を投げている。たしかに、ドラゴンほどの異種族を、求婚するほど愛し、そしてしっかり断られるのはショックであろう。いずれもボイスまで自然に作られており、キャラクター性に合わせた自然な“お断り”だ。並々ならぬ作り込みを感じる。
なお、筆者はエンブリーの「そこまで酔ってねえよ!」とオルフリッドの「なに?お前?ハッハッハッハ!無理だ」が個人的なお気に入りである。
JaySerpa氏が「Immersive Rejections」を制作した理由としてふたつをあげている。ひとつ目は「単に面白そうだったから」。ふたつ目は「誰かに嫌われていたとしても、その事実を受け入れるべきだから」としている。同氏は『スカイリム』にリアルさを足し、没入感を高めるModを中心に人気を集めている。本Modについても、ゲーム内に現実感を持ち込もうという意図があったのかもしれない。また、JaySerpa氏は「パートナーを見つけるのに苦労しているあなたへ、必ずいい人が居ますよ」と、ゲーム内についてか現実についてかわからない励ましの言葉を述べている。
「Immersive Rejections」は、本稿執筆現在で5700回以上のユニークダウンロード数を記録している。あえてプロポーズを断られたい人も多いということだろうか。たしかに、100%成功確定のプロポーズよりも、何度もアタックした末に結ばれる方が嬉しいかもしれない。なお、本Modを導入しても結婚できる対象や結婚可能タイミングは変化しない。プロポーズ条件を満たしていなくとも求婚できるようにする仕組みだ。また、対応は英語のみである点にも留意されたい。それでも、求婚を断られる胸の痛みを感じたい方は、このModを導入してみてもいいだろう。