『エルデンリング』の、メディアによるPvPガイド動画に批判殺到。「グリッチをおすすめするな」と総ツッコミ

米IGNが公開した『エルデンリング』PvPのガイド動画に、海外ユーザーからの批判が殺到している。『エルデンリング』のグリッチ(不具合)と見られる挙動が、PvPテクニックとして紹介されてしまったのだ。

米IGNが公開した『エルデンリング』PvP(対人戦)のガイド動画に、海外ユーザーからの批判が殺到している。同動画にて、グリッチ(不具合)と見られる挙動が、PvPテクニックとして紹介されてしまったのだ。


『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPGだ。本作にはマルチプレイシステムがあり、ほかプレイヤーとの協力プレイのほか、対人戦闘も可能。インターネットを通じて、それぞれの好きな育成・装備でPvPによる腕試しができるのだ。本作には数多の装備や戦技(スキル)、祈祷/魔術などが存在するため、戦術も幅広い。しかし、継続的なパッチ配信により修正されてはいるものの、一部戦技や魔術には、PvPにおいて不公平に有利になりえる不具合も散見される。そうした不具合の利用は、倫理的観点から当然利用を避けられるべきである一方、悪用するユーザーも絶えない状況だ。

正々堂々と勝ちたいプレイヤーたちが日夜研鑽を重ねるなか、米IGNは5月26日にYouTube動画「Elden Ring: PVP Build Guide(『エルデンリング』対人戦ビルドガイド)」を公開した。多くのPvP好きプレイヤーが、勝利への手がかりを求めて同動画を閲覧したことだろう。しかし、同コンテンツ内では大手メディアによるガイドにあるまじき内容が含まれていた。それは、グリッチとおぼしき挙動を利用した、禁断の技である。


米IGNが紹介したのは、敵に接近するだけで状態異常を与えられるようになるグリッチだ。詳細は割愛するものの、とある祈祷をベースにし、別の状態異常武器や祈祷などを組み合わせると、その状態異常を与えるオーラを纏えてしまう挙動だ。このグリッチについては過去のバージョンアップで修正を受けている。しかし、一部祈祷などとの組み合わせでは、まだ同様のグリッチが発生している。このグリッチは本作コミュニティでも広く知られている部類に入り、これをネタにしたYouTube動画コンテンツなども後を絶たない。しかし、ある程度周知であるとしても、グリッチはグリッチだ。

『エルデンリング』オンラインサービス利用規約には「ソフトの不具合を利用して、開発元が意図しないゲームプレイをする行為」の禁止も条項として盛り込まれている。大手メディアが禁じられたグリッチ利用行為をPvP向けに奨励してしまったことは、ユーザーたちの批判を巻き起こした。上述のPvPガイド動画の低評価数(ブラウザ拡張機能を利用して確認)は本稿執筆時点で3400件以上となっており、約470件の好評をはるかに上回る。

また、動画コメント欄には約700件の意見が寄せられ、内容はほぼ批判一色。「グリッチを紹介するな」との総ツッコミが入っているほか、米IGNの姿勢や、ガイドの正確性そのものを疑問視する声も散見される。また、解説者が動画のなかでグリッチについて「回避を連打する“巫女無し”のプレイヤーを倒すのにうってつけ」と、誹りを交えて紹介している点も問題視されているようだ。ここでいう「巫女無し」はゲーム内設定用語から派生した、一種の罵倒語である。どちらが“巫女無し”かといえば、グリッチを使って勝つ方が“巫女無し”との誹りを受けるべきだろう。

米IGNのPvPガイドに対する批判はTwitterなどのSNSにも波及したほか、『エルデンリング』や『ダークソウル』シリーズなどの動画コンテンツで人気を集めるOroboro氏も、批判ツイートを投稿。PvPガイドにひたすらツッコミを入れる批判動画を公開している。グリッチ推奨に対する反感は、コミュニティ内で募る一方のようだ。

オフラインのPvEであれば、グリッチの利用は必ずしも咎められることではない。不具合をそれとして楽しむプレイヤーもいるほか、グリッチを利用してのRTAなども、立派な文化のひとつだ。一方で、倫理的にも規約においても公正さが求められるPvPでのグリッチ利用は、あってはならない行為。あまつさえ、大手メディアが動画コンテンツでグリッチ利用を推奨してしまった点は残念である。一方で、弊誌も多くの読者に情報を届けるメディアとして無関係ではなく、発信する内容には気を配っていきたい。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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