『メタルギア ライジング リベンジェンス』のプレイヤーが“実績を取得しまくっている”との報告。意味不明なネットミームが発端か

『メタルギア ライジング リベンジェンス』の実績取得が突如として盛んになり、あわせてプレイヤー数も増加を見せたようだ。この人口増について、『メタルギア ライジング リベンジェンス』関連ネットミームの影響が指摘されている。

メタルギア ライジング リベンジェンス(以下、MGR)』の実績取得が突如として盛んになり、あわせてプレイヤー数も増加を見せたようだ。海外のプレイデータトラッキングサイトは、この人口増について、ネットミームの影響を指摘している。


『MGR』は、『メタルギアソリッド』シリーズのスピンオフ作品だ。主人公はサイボーグの体をもつ男、雷電。『メタルギアソリッド2』でメインキャラを務め、以降のシリーズでも活躍を見せたキャラクターである。タクティカル・エスピオナージ・アクションとしてステルスを重視しているメインシリーズとは対照的に、『MGR』では雷電のサイボーグの体を活かした、ド派手な闘いが魅力だ。障害物などのオブジェクトはもちろん、ミサイルや敵兵士までも自在に切断できる自由切断システムを搭載。ステルス(スニーキング)要素も盛り込みつつ、メタルギア含む兵器との白兵戦闘や、狂気じみた戦闘力をもつボスたちとの超人的バトルなど、爽快感溢れるアクションに焦点を絞っている。

本作はもともと『メタルギア ソリッド ライジング』として発表されていたものの、のちに改題。開発に『ベヨネッタ』や『VANQUISH』などのアクションゲームでも知られるプラチナゲームズが参加し、現在のゲーム内容となった。なお、本作が展開するPC/PS3/Xbox 360版は、いずれもMetacriticにて好評。100点満点のメタスコアでは80点以上を獲得し、ユーザー評価でも10点満点で8以上。メインシリーズとはまた違う魅力で、ファンの支持を獲得したわけだ。

ただ、『MGR』は2013年にリリースされた作品。発売から約9年の時を経ていることもあり、近年のSteam版(国内アクセス不可)におけるピーク同時接続者数は、日間100人前後で推移していた(SteamDB)。しかし、昨年2021年末から異変が発生。12月にはピーク時で900人以上が本作を遊ぶようになり、先月から現在にかけては毎日最大2000人前後がプレイするなど、大幅な人口増を見せているのだ。海外ゲームプレイデータトラッキングサイトPlayTrackerはこうした傾向を取り上げ、「全プラットフォームにて過去最高レベルで『MGR』の実績取得が盛んになっている」とも報告。その背景にあるのは、本作にまつわるネットミームの流行であると分析している。

本作のプレイヤー数増加を後押ししたのは、「Jetstream Sam Thinking(ジェットストリーム・サムが考える)」なるネットミームの流行だろうとのこと。ジェットストリーム・サムは強敵でありながら、DLCにおいては主人公も務めたキャラクターだ。ブラジリアン剣術ホドリゲス新陰流の使い手であり、銃の発砲メカニズムを応用し極限速度の抜刀斬りを可能とするムラサマブレードを振るう。戦闘狂でありつつも、信念に忠実な男として描かれている。本作における雷電の最大のライバルといえる存在で、作中での存在感もあり屈指の人気キャラだ。そしてKnow Your Memeによれば、上述の「サムが考える」ネットミームは今年始めにも、海外掲示板Redditにて大きな注目を集めたようだ。内容としては、思案深げなサムの動画に「キンタマを硫酸に漬けてみるべきかな」とのキャプションを入れた投稿である。

サムが意味ありげにあごをさすりながら意味不明なことを言う内容が受けたのか、この投稿は1万5000件を超えるUpvote(高評価)を獲得。のちに「サムが考える」ネットミームのバリエーションが多数投稿された様子が見られる。たしかに、こうした投稿を見かけて『MGR』をふと思い出して遊びたくなったユーザーも存在することだろう。一方で、昨年9月にはTwitterで別のサム関連のネットミームが流行していた様子も見られる。プレイヤー数増加が昨年末から起きている点も加味すると、「サムが考える」のみならず、一連のネットミームがそれぞれ『MGR』への再訪や新規ユーザー開拓を担ったと考えるのが自然だ。また、今年3月からはTwitchにおける『MGR』実況プレイ視聴者数の急増傾向も見られる。こちらもさらなる後押しとなっただろう。


『MGR』発のネットミームは、ほかにも多数存在する。本作のキャラクターたちはとにかく濃く、そしてミームにし甲斐のあるシーンや演出がふんだんにあるためだろう。代表的な例としては、作中曲「Rules of Nature」を、無関係な動画にのせる「“Rules of Nature”はなんにでも合う」なるネットミームなどがある。また、ネタバレを避けるため詳細は伏せるものの、本作に登場する「アームストロング上院議員」も、政治家として異様な肉体をもち、常軌を逸した言動をするため、とにかく人気が高い。本作関連のネットミームは最近にかぎらず、海外コミュニティ上ではしばしば見かける存在だ。根強いファンも多く、作品自体の認知度も高いわけである。

最近見られた実績取得率の高さとプレイヤー数増加は、元を辿れば、多数のミームを生み出した本作のユニークさと、ゲームそのものの質の高さに起因するもののようだ。本稿を見て『MGR』が気になった方は、是非一度触れてみてほしい。ただ、本作PC(Steam)版は残念ながら国内からは入手できない。Xbox 360版も国内展開されておらず、リージョンフリー海外版の利用となる。PS3版は、国内展開されている。

【UPDATE 2022/5/24 22:00】
Xbox 360版についての記述を修正

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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