Unreal Engine 5で描かれたサイバーパンクシティが超クール。極彩色のネオンが乱反射
海外アーティストがUnreal Engine 5(以下、UE5)にて、リアルなサイバーパンク風の都市を作り上げたようだ。UE5のパワーを活かし、圧巻の光景を作り出している。
UE5は、Epic Gamesにより今年4月に正式リリースされた次世代ゲームエンジンだ。負荷を軽減しつつ、緻密な環境光描写などを可能にする「Lumen」や、大量の高精細3Dモデルなどの描画を助ける「Nanite」などの新機能を盛り込んでいる。同エンジンによる制作も盛んになっており、開発中新作のエンジンをUE5に移行するとしたスタジオも現れ、ユーザーによる試験的な作品の制作などもおこなわれている。今月頭には、日本の富山県の駅をリアルに再現したアーティストが現れ、注目を集めた(関連記事)。
今回サイバーパンク風都市を制作したのは、海外アーティストのSaher Tarek氏。ライティングとルックデブ(3DCGモデルの見た目を決める工程)を専門とするシニアアーティストだ。映像を見てみると、圧倒的な情報量で都市が構築されていることが分かる。街にはあちこちでネオンが輝き、ビビッドな景観を構築している。
特筆すべきは反射表現だ。地面の照り返しや、停められた車両表面の反射が、環境のカラフルな光を色鮮やかに映し出している。17秒という短い映像でありながら、濃厚な世界観を感じさせる動画にまとまっている。Tarek氏は本作を制作するうえで、『サイバーパンク 2077』から影響を受けているという。アセットはUE マーケットプレイス、CG Trader、KitBash3Dで販売されているものを利用しているそうだ。
Tarek氏は、サイバーパンクテーマの短い映像作品を継続的に発表している。2021年9月には、「3:00AM at Cyber Street」と題した映像を公開。こちらもUE5で表現されており、夜もとっぷりと深まったサイバーシティのネオン街が活写されている。注目すべきは、雨が降りしきっている点だろう。濡れた地面が環境光を反射し、なまめかしく照り返している。UE5のパワーと、ライティングアーティストであるTarek氏の技術が遺憾なく発揮された作例といえるだろう。
下記の動画は、ネオンの瞬くストリートを疾走する車の姿を捉えた作品だ。Unreal Engine 5のプレビュー版を用いて制作されており、緻密な環境光描写などを可能にするLumenやレイトレーシング、パストレーシングを利用してレンダリングされている。
本映像でも、アセットは各種ストアから調達しているそうだ。ArtStationの記載によれば、制作にあたってはUVを30%程度編集したほか、テクスチャを取り替えている。また街並みはUE マーケットプレイスで入手した道路自動生成ツールを使用して作成したようだ。さらに、UE5内のモデリングツールで編集し、パストレースでレンダリングしているという。ライティングやシェーディング、カメラアニメーションは、自身のデータによるモーションキャプチャーデータを利用しているとのことだ。
今年4月の正式リリース以来、数々のアーティストにより作品が生み出され続けているUE5。今後ますますゲーム開発の現場で活用されることも期待したいところだ。