『エルデンリング』のゲーム内マップは、実のところけっこう修正されていたようだ。海外YouTuberがそうした変化をまとめあげ、動画として発表している。普段あまり意識しない細かな変化が浮き彫りになる、興味深い内容だ。本稿には『エルデンリング』のネタバレとなりうる要素が含まれるため、留意されたい。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPGだ。本作の舞台は広大なオープンフィールドである狭間の地。どこまでも広がるようなこの地を旅するため、プレイヤーは土地の全容を見渡せるゲーム内マップを利用できる。各地に散らばった地図断片を入手することで、新たな地域のマップがアンロックされる仕組みだ。マップには地形や建造物を反映した丁寧な描き込みがなされているほか、発見したロケーションのアイコンなどが上乗せで追加される。ちょっとした絵画のようで見ていても楽しく、マップ上で気になる場所にはだいたいなにかが存在する仕組みになっているのだ。
そんなプレイヤーの旅のお供であるマップも、実は本作のアップデートとともにちょこちょこ変化していたようだ。illusory wall氏は5月11日、隠れたマップの変化や実際の地形との違いを取りまとめた動画を自身のYouTubeチャンネルにて公開した。同氏は、フロム・ソフトウェア作品を分析・調査し深く掘り下げるコンテンツで知られている人物である。
illusory wall氏によれば、本作のマップは各バージョンによって細かく描き込みが変化しているという。ゲーム内に存在するオブジェクトが追加で描かれた場合もあれば、実際には存在しない道やオブジェクトが消された例などもあるようだ。
マップに描写が追加されたケースの顕著な例としては、リエーニエの「エビ茹でのボロ家」がある。動画ではバージョン1.02と1.04のマップ画像を比較。すると、このボロ家はバージョン1.02段階ではマップ上に描写されていなかったことがわかる。しかし、バージョン1.04からはマップ上でもその位置が確認できるよう描き込まれているのだ。同ロケーションのヒントは、近隣のNPCであるラーヤがくれる。しかし、彼女がくれる情報は「この先の空き家」との曖昧な内容。筆者は「この先とはどの先ですか」となり、しばらく周辺を彷徨った記憶がある。ボロ屋のマップ追記は、そうした手間を省いて遊びやすさを向上するための変更かもしれない。ほかにも、小屋など小さな建造物が追加で描き込まれた例は複数あるようだ。
そして、マップ描き込みが消えた例としては、リエーニエ南西岸部の出っ張りがあるそうだ。バージョン1.02では、リエーニエ地域南西の端っこには、地図上では魚のしっぽのような特徴的な出っ張りが存在した。しかし、バージョン1.03ではしっぽ様の部分がごっそりと消え、海になっている。なお、動画によればパッチ以前からこの場所にはなにもなかったという。つまり、地図を制作していた段階ではなにかが存在しており、リリース前に消失したために地図上の記述だけが残ったとも考えられる。
ほかにも、リエーニエ地域のマップにはとある罠が存在した。「カーリアの城館」南部エリアの「存在しない道」である。製品版でのカーリアの城館は、王家領の廃墟より一本道で到達するようになっている。両ポイントの間にはこの一本道しかなく、枝分かれなどもしていない。しかし、バージョン1.02時点での地図では、この道は枝分かれして描かれていたのだ。ただ、実際には枝分かれした道は存在しない。実際の地形でどうなっているかといえば、絶壁の崖である。筆者はこの修正前の様子をはっきりと憶えている。なぜなら、地図を頼りに枝分かれした道を進もうとし、きっちり転落死したからである。こちらも、リリース前に変更された地形が地図上にだけ残り、罠となってしまったパターンだろう。
動画の最後にillusory wall氏が注目のスポットとして挙げているのが、「壺村」に至る道である。壺村北側の道は、地図上でははっきりと描画されているにも関わらず、そこは断崖絶壁。壺たちの隠れ里を守るようにして道が途切れているのである。このマップと地形の相違には、気付いたユーザーも多いのではないだろうか。illusory wall氏はこの相違について単純なミスのほか、「意図的な可能性もある」との見解を示している。危険な崖側からの壺村到達を促すための、誘導などの意図があるのではないかとの考えだ。しかし、その真意を知るのは開発側のみ。今後のアップデートで注目のスポットだろう。
illusory wall氏による動画では、ほかにも多数のマップ変更点が同氏とコミュニティの手により洗い出されている。なぜ変更したか不明な変更もあるものの、地形に対する正確性の向上や、地形の誤解を招く描写の修正および視認性の改善などが数多くなされている。こうした変化には、遊びやすさを向上させるほか、開発の変更点を洗い出す史跡としてのおもしろさもある。『エルデンリング』アップデート後は、壺村への道をはじめとして、さまざまなマップ変更点に気を配ってみるのも面白いだろう。
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