カプコン、カプコンU.S.A.のゲームコンテンツ事業などを譲受。『ストリートファイター』シリーズの権利も日本で一元管理か
カプコンは5月11日、2022年3月期(2021年4月1日~2022年3月31日)の連結業績を発表。このなかで同社は、米国の連結子会社であるカプコンU.S.A.が運営する事業の一部を、2021年4月1日に譲り受けていたことを報告した。明確に言及はされていないが、『ストリートファイター』シリーズの権利を、日本で管理するかたちに変更したものと考えられる。
『ストリートファイター』シリーズは日本で生まれた作品だが、ある時からその知的財産権がカプコンU.S.A.に移されたものとされている。カプコンから正式に発表されてはいないようだが、同シリーズのキャラクターデザイナーを務めた“あきまん”こと安田朗氏が2004年11月に、「カプコンはストリートファイターの権利をカプコンU.S.Aに売っちゃったらしいから、これから画集とかだすのも難しくなるね」と自身のブログにコメントしたことで、ファンのあいだに広く知れ渡った(現在は削除済み・アーカイブ)。実際、多くのシリーズ作品では「©CAPCOM U.S.A., INC.」との権利表記が確認できる。
今回カプコンは決算短信にて、先述したカプコンU.S.A.からの事業譲渡について報告した。譲り受けた事業の内容としては、「カプコンU.S.A.,INC.のゲームコンテンツ事業と商品化権事業」と記載。金銭を対価として譲受されたそうだが、金額は明かされていない。
カプコンは、上述の両事業を日本の同社に集約し、一元的なコンテンツ管理体制を構築することを目的にしたものだとコメント。また、同社の“ワンコンテンツ・マルチユース戦略”の一層の展開を図り、さらなる収益拡大とブランド価値向上の実現を目指していくとした。
カプコンU.S.A.がゲームコンテンツ事業と商品化権事業を手放したという点や、カプコンが一元的なコンテンツ管理体制の構築をおこなうとしている点から、今回の事業譲渡には『ストリートファイター』シリーズの権利も含まれる可能性がありそうだ。もちろん明言されたわけではないため断定はできない。
ただ、『ストリートファイターV』向けトレイラーに記された権利表記を確認してみると、最初の発表時からずっと「©CAPCOM U.S.A., INC.」とされていたが、2021年8月に公開された「オロVSあきら スペシャルマッチトレーラー」を境に「©CAPCOM CO., LTD(日本カプコン)」に変更されている。また最新作である『ストリートファイター6』の権利表記も「©CAPCOM CO., LTD」となっている。このことから、昨年4月をもって『ストリートファイター』シリーズの権利も日本に戻されたという見方は妥当だろう。これまで海外主導でおこなわれることもあった同シリーズの関連ゲームやコンテンツは、今後は日本主導で展開されていくことになりそうだ。
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