『Apex Legends』のコンソール版マッチにおいて、PC版チーターと遭遇したとする動画が話題となっている。本来、PC版プレイヤーはコンソール版マッチに参加することはできないはずで、何らかの不正行為による“乱入”であると思われる。海外メディアPC Gamerなどが伝えている。
『Apex Legends』は、PC(Steam/Origin)およびコンソール(PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch)向けに配信されている。さまざまな機種で配信中の本作には、2020年10月よりクロスプラットフォームプレイが導入された。これによって、PC版および各コンソール版でのクロスプレイが可能となった。ただし、PC版のプレイヤーが部隊内に存在する場合は、パーティーはPC版のマッチングに参加することになる。したがって、コンソール版のマッチには、PC版プレイヤーが入ってこない仕様となっている。
PC版の本作については、チートツール利用者の存在がしばしば問題となっている。一方で、コンソール版については、PCとは違ってユーザー作成プログラムを実行することに高い技術を要求されるなどの理由により、チートを実装するためのハードルが高い。つまり、「コンソール版プレイヤーだけでパーティーを組めばチーターと遭遇しない」という認識があったのだ。
しかしながら、その認識を脅かすかのように、コンソール版マッチングにおいてPC版チーターと遭遇したプレイヤーが動画を投稿し、話題を集めている。動画を投稿したのは、eスポーツチームFNATICのコンテンツクリエイターであるRevengeful氏だ。動画には、コンソール版のプレデター帯ランクマッチにおいて、チーターと遭遇した際の一部始終が収められている。あくまでもいちプレイヤーによる証言ではあるものの、著名プレイヤーによる信憑性の高い証拠映像となっているわけだ。なお、画面の点滅を伴うシーンを含むので、視聴の際は注意されたい。
はじめにチーターの犠牲者となったのはチームメイトのオクタンだ。彼は不自然な速さでダウンさせられたため、ボイスチャットで「こいつチート使ってるよ!」と何度も叫んでいる。続いて、Revengeful氏も相手を様子見するのだが、1秒にも満たないとんでもない速さでダウンさせられてしまった。同氏の装備していたアーマーは白(レベル1)かつ、猛者の集うプレデター帯とはいえ、通常から逸脱したキル速度だといえる。確定的なチート行為の雰囲気に、チームメイトは爆笑を抑えられない様子だ。
しかも、このチーター、厚顔無恥にもフィニッシャーを連続でキャンセルする、煽り行為までおこなっている。キル後に表示されたチーターのプロフィールからは、プレイヤーレベルが23であることが確認できる。現在、ランクマッチへの参加が可能となるのはレベル10からであり、かなり低めのレベルといえる。つまり、新しめのアカウントを使い、チート利用によって凄まじい勢いでランクを駆け上がってきたことがうかがえる。そもそも、このチーターのランクはプラチナ4だ。通常であればプレデター/マスター帯のランクマッチに出没していること自体が不自然だといえる。Revengeful氏は、迷わず「エイムボット/オートエイム」として、この不正者を通報した。
さらに、驚くべきことがある。チーターのプロフィールの左側に小さく表示された白いアイコンからは、このチーターがPC版プレイヤーであることが確認できるのである。チームメイトもそれに気づき、「PCチーターだ」とRevengeful氏に呼びかけている。同氏のパーティーは、全員がPlayStation版プレイヤーだ。先述のように、PC版のプレイヤーとマッチングすることはありえないはず。このチーターは、何らかの不正行為によって、コンソール版のマッチングに乱入してきたことになる。
さて、ここからはチーターの観戦画面となる。チーターはRevengeful氏のデスボックスを撃って、さらに煽り行為を重ねた後にジャンプタワーで飛び立っていく。不正行為の影響か、空中での挙動が少しおかしく、獲物を探すかのように周囲を見渡している。壁や障害物の向こうの相手を透視するチートである、ウォールハックを併用しているのかもしれない。そして、降り立った先の相手を、これまた一瞬の射撃で倒してしまうチーター。あまりの暴虐ぶりに、Revengeful氏たちは呆れて笑うしかない。
チーターはその後も、精度が悪化するはずの腰撃ち射撃で遠距離の相手を瞬殺するなど、とんでもないプレイを重ねていた。銃口の向きと関係なく銃弾が相手に吸い寄せられているため、ホーミングと呼ばれるチートを利用していたものと思われる。
そして、チーターによって台無しとなったこのマッチは、ラウンド2の途中で残り4部隊の最終局面に突入。チーターはこの時点で、20キル4000ダメージを叩き出しており、意気揚々と次のリングへ向かっていく。……のだが、ここで観戦画面が別のプレイヤーへと移行した。タイミング的に、恥知らずの不正者は試合に勝利することなく、アカウント停止されたと見られる。
実は、コンソール版にPCチーターが出没したのは、今回が初めてではない。昨年6月ごろにも、コンソール版にPCプレイヤーが乱入し、チートを利用して暴れまわっているとのユーザー報告がなされていた(関連記事)。ただ、それ以降は話題となることがなかったため、開発側の対策が功を奏していたとも考えられる。しかし、今回のチーターの出没によって、再びコンソール版マッチの平和は脅かされたことになる。しかも今回の動画は、以前には報告が見られない、英語圏のサーバーに対する乱入を示すものだ。不正者たちの間で、新たな乱入の手法が編み出されている可能性がある。
とはいえ、今回の動画では、マッチ中に通報が集まったからか、迅速なBANがおこなわれた様子も見られる。コンソール版マッチへの乱入というあからさまなチート行為は、検証の必要もなく、対処が比較的容易なのかもしれない。もし怪しいプレイヤーと遭遇した場合、また本来コンソールマッチに存在しないはずのPC版プレイヤーであった場合は、迷わず通報機能を活用したいところだ。
『Apex Legends』では、明日5月11日から新シーズン「救世主」が開催される。また、新シーズンでの配信となるかは現時点で不明ながら、次世代機版は将来のアップデートでリフレッシュレート120hzなどに対応することも発表されている(関連記事)。次世代機版のアップデートを待ち望むプレイヤーが多い中で、比較的安全だと思われていたコンソール版マッチの平和は、今後も保たれていくのだろうか。運営元Respawn Entertainmentによる早急な対応が願われる。