『SEKIRO』叱責ネットミームが久々に発動。新作ADVの“10年スキップ”で実績不正解除したユーザーを開発元が戒める

『The Stanley Parable: Ultra Deluxe』開発元が、不正をしたユーザーに厳しい叱責の言葉を投げかけた。しかしその言葉は『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』に端を発するネットミームだった。

The Stanley Parable: Ultra Deluxe』開発元が、同作にて不正な実績解除をしたユーザーに厳しい文面で叱責の言葉を投げかけた。とはいえ、その真意は本気で怒っているかどうかわからない。というのも、同開発元が投じたのは、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(以下、SEKIRO)』に端を発するネットミームだからだ。


『The Stanley Parable: Ultra Deluxe』は、2013年にリリースされ高い評価を得た『The Stanley Parable』のリメイク版だ。開発を手がけるのは、ドイツを拠点とするスタジオCrows Crows Crowsである。本作オリジナル版には、とある「悪名高い実績」があった。それは、ゲームを5年間にわたりプレイ“しない”ことで解除される実績「Go Outside」だ。そして、今回のリメイク版ではあろうことか同実績がパワーアップして再登場。10年にわたりプレイしないことでやっと解除される実績「Super Go Outside」となって帰ってきたのだ。開発元の悪ふざけ、あるいは挑戦状のようなこの「Super Go Outside」は、本来は現在解除不可能である。というのも、本作は2022年4月27日に発売されたばかり。正当に同実績を解除しようと思えば、最短でも2032年までは待つ必要があるからだ(関連記事)。

しかし、Steamにおける『The Stanley Parable: Ultra Deluxe』実績データを参照してみると、3.4%の本作Steam版プレイヤーが「Super Go Outside」を解除している様子が見られる。これはどうした訳だろうか。実は10年待つ以外の正当な解除方法があるのだろうか。否である。この3.4%のユーザーは、PCの時計に細工をすることによって、不正に10年間を“スキップ”したと見られるのだ。「10年待て」との解除条件もひどいものの、不正は不正である。

この行為に対して、開発元Crows Crows Crowsも反応。怒り心頭の文面によるコメントを公式Twitterアカウントに投じた。同スタジオはこうした不正をするユーザーに対して、「お前はゲームだけでなく己自身も欺いた」と叱責。続けて「お前は成長も上達もなく、ただ何も得られない近道をしただけだ」などと厳しくなじっている。この文面だけ見れば、よほど本気で怒っているように見えるかもしれない。しかし、この文面は実のところ、記事冒頭で述べた『SEKIRO』絡みのネットミームなのである。

同ネットミームは、もともととある海外メディア編集者に向けられた叱責の言葉だった。「チートを使って『SEKIRO』のラスボスを倒した」とする編集者に対して、ユーザーから投げかけられた批判コメントだったのである。その痛烈さが受けたのか、同コメントの文面はまたたく間にネットミームとして拡散。真剣な議論へも波及しつつその一方で、ズルをしたゲームキャラをNPCが責めるコミカルなネタとして一時人気を博した背景がある(関連記事)。また、同スタジオはオリジナル版『The Stanley Parable』のSteamストアページにイタズラをしたと主張するなど、ユーモラスな言動も目立つ(関連記事)。つまり、Crows Crows Crowsの今回の投稿は本気の抗議ではなく、ネットミームを使って不正ユーザーを茶化すような“ネタ投稿”だったと考えられるのだ。

https://twitter.com/Fetusberry/status/1114364382606053378
Crows Crows Crowsが引用したオリジナルツイート。文面が一言一句同じである。

Crows Crows Crowsによる叱責ツイートは、上述のネットミームを知るユーザーたちの笑いを誘ったようだ。一方で、同ツイートを真剣に受け止めたと見られるユーザーの反響も見られ、同スタジオに対して真面目な反論ツイートを投じる者も。たしかに、「10年待て」と無茶振りしておきながらの開発元の叱責に、怒るのも無理はない。ほかにも、チートで実績を取ったことを自白し「嘘つきよりは正直者として死にたい」として、Steamの実績を削除する方法を求める真摯なユーザーまでも出現。こちらは“ネタ”かどうか判然としないものの、本気であれば素直な心根の持ち主と見える。

なお、Crows Crows Crowsのおふざけツイートはほかにも多数ある。今回のツイートに寄せられた「タイムトラベラーに対する侮辱である」との意見に対しては、タイムトラベラーが「Super Go Outside」を解除するために必要な手順を真剣に吟味して反論。かと思えば、いきなり『Call of Duty: Modern Warfare II』のロゴのパロディを投稿したりと、ひねくれたユーモアセンスを遺憾なく発揮している。

そうしたユーモアセンスも作中ににじみ出た『The Stanley Parable: Ultra Deluxe』は、PC(Steam)および海外PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに発売中。過去に弊誌がCrows Crows Crowsに問い合わせたところ、日本語にも対応予定とのコメントをもらっている。国内コンソール版も今後展開するようである。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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