NVIDIAが「仮想通貨需要を隠していた」と指摘受け、約7億円の罰金に合意。米連邦政府機関がツッコミ


米国証券取引委員会(SEC)は現地時間5月6日、同機関によるNVIDIAへの告発と、NVIDIA側が550万米ドル(約7億1000万円)の罰金支払いに同意したことを発表した。SECによれば、NVIDIAは仮想通貨関連による売り上げへの影響を、不正に隠蔽していたという。


NVIDIAはアメリカを拠点とする半導体メーカー。ゲーマーにとっては、GeForceシリーズなどのGPUでお馴染みだろう。一方で、GPUはゲーマー以外からの需要も根強い。GPUは設計上、仮想通貨のマイニング(採掘)に向いていることから、仮想通貨の隆盛に伴いGPUおよび搭載グラフィックボードの品薄なども取り沙汰された。同社はそうした風潮を受け、ゲーマー向け製品においてマイニング利用時に性能が減少する仕様などを盛り込んだ。他方では、マイニング専用GPUなども展開している。ゲーム用、マイニング用と住み分けをしながら、双方に製品を展開してきた。仮想通貨マイニングは、同社の業績を支える需要の源となっているわけだ。

今回のSECによる発表によれば、NVIDIAは2018会計年度において、増収における仮想通貨マイニングの影響を隠匿していたとしている。同社はSECへの提出が義務付けられている、四半期業績報告書(Form 10-Q)のうち、2018会計年度分のふたつにおいて情報を隠匿。ゲーム関連事業が仮想通貨マイニングの影響で増収しており、同社がその状況を把握していたにもかかわらず、その開示をしなかったとしている。またSECは、NVIDIAがゲーム関連以外の部門については仮想通貨関連の影響を開示していたとしている。つまり、マイニングによる需要という変動性の高いファクターを隠して、「NVIDIAのゲーム事業は安定している」との印象を与えようとしたとの指摘だ。


また、SECはNVIDIAの一連の動きが、同国1933年証券法および1934年証券取引所法に抵触しているとした。NVIDIA側はSECの調査結果について認否を明らかにしていないものの、同様の行為を停止する命令および、罰金550万米ドルの支払いに同意したとのこと。NVIDIAの動きについて、SECのKristina Littman氏は「NVIDIAの重要マーケットにおけるビジネスを評価するための、重要な情報を投資者から奪った」とコメント。事業者は正確かつ完全で、タイムリーな情報開示をしなければならないと強調している。