『Stardew Valley』のModコミュニティにて、現在「おじいさんを改造する」Modがブームになっているようだ。にわかに発生した謎の流行はおじいさんを激しくもてあそび、大喜利の様相を呈している。海外メディアPolygonなどが伝えている。
『Stardew Valley』は、ConcernedApeが手がけた農場ライフシムゲーム。都会の生活に疲れた主人公が、かつておじいさんが過ごした田舎の古い農場を受け継ぐところから、物語は始まる。プレイヤーは農場を再生しつつ、村の人々と親交を深めつつ、村の行く末までも左右していくのだ。前述のとおり、おじいさんは本作の物語のきっかけとなったキーパーソンのひとり。物語開始時点で亡くなっており、出番自体は少ない。しかしながら、ゲーム冒頭ではベッドに入り、プレイヤーに向けた手紙を携えた姿で登場。思い出や手紙を通してプレイヤーに優しく語りかけてくれる愛すべき祖父である。
しかし、そんなおじいさんが『Stardew Valley』のModコミュニティで大変なことにされている。ゲーム冒頭におけるおじいさんの姿を、ゲーム内で好き勝手に改造するModが続々と登場しているのだ。Mod投稿サイトNexus Modsの本作ページを見てみると、実際にさまざまな形でおじいさんの寝姿がいじくり回されている。おじいさん改造Modが突然増えたのは、どうやら今年4月19日にリリースされたMod「Slightly Worse Grandpa Bed（ちょっと酷くしたおじいさんのベッド）」が契機となっているようだ。こちらのModでは、オリジナル版でさえ少々頼りなかったおじいさんのベッドの足が、ボッキリと折れてしまっている。
さらに24日からは、おじいさんを利用してボケるModが連日投稿されている。おじいさんをベッドから消してしまう「Grandpaless Bed」や、いっそおじいさんを手紙の封筒に入れてしまう「Grandpa’s Bed Is The Envelope」などが存在。果ては“おじいさんをベッドにする”という常軌を逸した逆転の発想で作られた「Grandpa is the bed」などのModが公開されている。ほかにも、無関係なカービィにおじいさんがベッドごとほおばられてしまう「Grandpa’s Bed Mouthful Mode」もつい先日公開された。おじいさんをなんだと思っているのだろうか。
ほかにも、クリエイティブな思考をおじいさんにぶちまけた作品が投稿されている。NPCであるロビンが、主人公を搾取する計画のためおじいさんに化けていたとする「Robin tricked you as grandpa to buy buildings」などの手の込んだModも登場。変わり種としては、本作の舞台であるペリカンタウンの住人であるジョージとエブリンがゲスト登場し、おじいさんの真上でピンポンラリーを繰り広げる「Playing Ping Pong On Grandpa’s Bed」が公開されている。お年寄りがお年寄りの上で激戦を繰り広げる様子はなにかの幻覚のようである。ちなみに、あろうことかこのModはアニメーションする。プレイヤーたちもYouTubeなどでこの様子を共有しているようだ。
なぜおじいさんが突然おもちゃにされたのか、その発端は不透明だ。しかし、本作コミュニティでは、以前から「おじいさんのベッドがひどい」との話題が散見されていた様子が見られる。オリジナルのおじいさんのベッドは、たしかにやや長机のようにも見える、寝心地の悪そうなデザインではある。そのためか昨年10月には、おじいさんをちゃんとしたベッドに寝かしてあげるMod「Intro-Decent bed for Grandpa」が登場している。つまり、おじいさんやベッドに関心が寄せられる素地はあったようだ。
また、コンテンツクリエイターのyahiamice氏は4月24日に、やや貧相に改造されたおじいさんのベッドをTwitter上で話題にし、コミュニティの注目を集めていた。ちょうどおじいさん改造Modが急増する前後の出来事であり、流行を後押しした可能性はありそうだ。また、おじいさん改造は海外掲示板Redditの本作コミュニティにも波及。おじいさんが「トランスフォーマー」のごとく、ベッドと一体型のロボットに変形するネタ動画などが投稿されている。おじいさん改造は、もはやModの題材を飛び越えてネットミームと化したようだ。
優しいお年寄りを好き勝手おもちゃにする様子は、少々不謹慎ともいえる。しかし、そもそもおじいさんがキャラとして愛されていなければ、これほどMod制作者やコミュニティの注目は集めなかったであろう。願わくば、もうちょっとおじいさんに優しいModが増えてくれると嬉しいところだ。
