『マリオカートWii』にて、14年越しの新“超ショートカット”実現。いまだ深まる本作TAS研究
『マリオカートWii』にて、発売から14年越しに新たなショートカットが実現されたようだ。長年研究が進められてきた本作ながら、未だ探究の途上のようである。海外メディアThe Gamerが伝えている。
『マリオカートWii』は、国内では2008年4月10日にWii向けにリリースされた作品だ。本作は現在に至るまで、熱心なユーザーたちにより長年の研究が続けられている。そして、今回のショートカット達成に利用されたのはTAS(Tool-Assisted Speedrun)と呼ばれる手法である。ツールを用いることにより、人の手では再現の難しいバグなどをフル活用して、ショートカットに利用できる奇妙な挙動を引き出す方法だ。TASを利用した本作研究は根強く、昨年にも新しく本作の奇妙な挙動が報告されている(関連記事)。
今回、本作の新たなショートカットを実現したのはTASユーザーのJellopuff氏。舞台となったのはコースのひとつ「ルイージサーキット」だ。本作にはウルトラショートカットと呼ばれるショートカット群が存在する。これは通常のショートカットではなく、仕様の隙間やバグを突いて大幅にタイム短縮を図るもので、今回実現されたのもウルトラショートカットにあたる。Jellopuff氏によれば、これは『マリオカートWii』にて22番目に発見されたウルトラショートカットとのこと。また、同氏は今回のショートカット実現のため、2年以上にわたり推論を重ねたという。
実際に動画を確認してみると、今回の手法では最初の1ラップ目を“準備”と思しき操作に費やしている様子がわかる。操作されるファンキーコングはコースアウトすると壁にめり込み、そのままコースを1周。2ラップ目に入るや否や、突如逆走して壁の向こうに飛んでいってしまう。ジュゲムによってコースに連れ戻してもらうと、壁にぶつかる挙動を挟みゴールへ。するとなぜか第2ラップゴールとなった。謎の儀式の連続のような目まぐるしい動きである。1ラップ目に長時間を費やしているため、この記録はflap(fast lap)と呼ばれる、単一ラップでの最速記録となるようだ。Jellopuff氏は「ゲームで何かを達成するのに、これほど感情を動かされたことはない」とYouTube動画説明欄で語り、喜びをあらわにしている。
なお昨年2021年には、「人間の手では不可能に近い」と見られていた本作ウルトラショートカットが、TASではなくまさに人の手で再現されるなどの出来事もあった(関連記事)。また、Jellopuff氏は今回のショートカットについても「まだ最適化の余地がある」としている。リリースから14年の年月を経た本作は、依然としてその限界を押し広げられていくことだろう。