パブリッシャーのPID Gamesは4月26日、2Dアクションゲーム『Saviorless』を正式発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、発売時期は未定だ。Steamストアページ表記によれば、日本語表示にも対応する。
『Saviorless』は、なめらかな手描きアートで描かれるアクションゲームだ。本作の舞台となるのは、スマイル島と呼ばれる呪われた島。主人公の少年アンタルは、強大な存在である“救世主(Savior)”となるため、果敢にもこの島を訪れたのだ。しかし、スマイル島には危険な獣がはびこり、さらには救世主同士による殺し合いも勃発している。アンタルは、マスクを付けた凶暴な“救世主”と一体となり、スマイル島からの脱出を目指すことになる。
本作では、非力なアンタルと救世主を切り替えつつゲームが進行していく。アンタルでのプレイでは、島を探検したり、パズルを解いたりといったゲームプレイが展開。敵に攻撃されれば、ひとたまりもなく死亡してしまう。しかし、ひとたび救世主の姿となれば、容赦ない暴力で怪物たちを蹴散らすハイペースなアクションが展開されることとなる。それぞれのユニークな能力を活用して、道を開くのだ。
また、本作のアートやアニメーションは手描きによって緻密に描写されている。現在公開中の本作デモ版では、アンタルや敵のモーションはもちろん、ステージの背景やオブジェクトに至るまでこだわって描かれている様子が見られた。また、カットシーンなども手描きアニメーションとなっているようだ。アート面でも見どころのある作品となるだろう。
本作開発元のEmpty Head Gamesは、キューバ共和国を拠点とするインディーデベロッパー。実をいえば、本作はかつて『Savior』とのタイトルで2016年より開発が進められており、開発元いわく「キューバ初のインディーゲーム」としても注目を集めていた。同年にはクラウドファンディングサイトIndiegogoにて開発資金を募り、目標額を達成。最終的には1万3000米ドル(約160万円)以上の支援を得て、2018年のリリースを目標に開発を進めていた。
しかし、本作が現在に至るまでには紆余曲折があったようだ。本作Indiegogoページにて、開発元がそうした経緯を伝えている。まず2017年には、アメリカとキューバ間の情勢が複雑化。本作の開発を支援していた財団であるInnovadores Foundationも、キューバからの撤退を余儀なくされた。同時期には本作に携わっていた元プログラマーもプロジェクトを離脱。キューバの国政の影響により、インターネットの利用にも制限が多く、本作開発はまさに四面楚歌の状態にあったとのこと。さらに2019年には、別のゲーム会社が同名作品『Savior』を発表し商標を取得した。そのため、本作は『Saviorless』として生まれ変わり、このたびPID Gamesのパブリッシングのもとで再びお披露目されたのだ。情勢などに翻弄されつつも、根強く開発され続けた作品なわけである。
『Saviorless』はPC(Steam)向けに発売予定、リリース時期は未定だ。Steamストアページ表記によれば、日本語表示にも対応する。なお、同ストアページでは現在デモ版も公開中。緻密なアートの一端が垣間見える内容となっているため、興味のある方は触れてみてほしい。