中国の国家广播电视总局(National Radio and Television Administration、以下NRTA)は4月15日、国の認可が下りていないゲームについてライブストリーミングすることを禁止すると発表した。ゲーム関連の規制厳しい中国において、ゲーム実況や配信についても国の干渉が及ぶことになったかたちだ。ロイターなどが伝えている。
中国では、ゲームの発売に対して厳しい規制が課せられている。具体的には、有料ゲームを提供する事業者は、中国政府から発行されるゲームライセンスの承認が必要となる。政府からライセンス発行を受けない限り、ゲームを発売することはできないのだ。そして今回そうした規制に追加して、ライセンス発行を受けていないゲームについて、同国内からのライブストリーミングが禁止されるはこびとなった。
NRTAは、発表のなかで、ライブ中継の混乱や青少年のゲーム中毒などの問題が社会的に広く関心を呼んでおり、これらを厳しく規制する強力な措置が急務となっていると言及。未成年者保護法およびライブ中継やオンラインゲームに関する関連法規に基づき、さまざまな措置をおこなうとした。こうした措置の一つとして、ネットワークTVドラマ、ネットワークバラエティ番組、ネットワークライブ放送、ショートビデオなどのネットワーク視聴覚番組は、主務官庁の認可を受けていないオンラインゲームをライブ放送してはならないと定めている。
中国における実況コンテンツ取り締まりの動きは以前から見られていた。例としては、2017年より施行されていた「インターネットパフォーマンス事業活動の管理に関する措置(网络表演经营活动管理办法)」による規制がある。同法第6条においては、「文化行政部門のコンテンツ審査承認番号または申請番号を取得していないオンラインゲーム製品を使用した、オンラインゲームの技術展示または説明」を、ストリーミングに含むことが禁止されていた。この法律を厳密に捉えれば、承認の下りていないゲームの実況配信はすでに禁止されていたわけだ。
とはいえ中国ではこれまで認可の下りていないゲームの配信も一般に視聴されてきた。 市場調査会社Niko Partners のシニアアナリストであるDaniel Ahmad氏によれば、認可を得ていない『エルデンリング』の週の1日平均視聴者数は1710万人に達するなど、ストリーミングコンテンツとしてヒットを記録していたという。しかし今回の発表により、明示的に、認可の下りていないゲームのストリーミングが禁止されたかたちだ。
中国では、ゲーム業界に対する締め付けがますます厳しくなっている。中国の大手ゲーム企業テンセントは4月13日、国内で認められていない海外のゲームをプレイできるサービスを停止すると発表した(ロイター)。テンセントは現在、「ゲーム・スピード・ブースター」なるアプリを提供している。同アプリは、中国国内のユーザーが、中国で認可の下りていないゲームを遊ぶために利用されてきた。しかしテンセントの発表によれば、同アプリは5月31日にアップデート。新バージョンでは中国国内のゲームしかプレイできなくなるという。
中国では、ここ9か月で新規ゲームへのライセンス承認が下りておらず、4月11日に認可が再開されたばかり(関連記事)。緩和の気配も見えた一方、同国では引き続き、ゲーム業界の厳しい規制が続きそうな見込みだ。