国内PlayStation Storeが「IARCレーティング」を導入してから1か月。ゲームのリリースにさっそく変化の兆し


日本のPlayStation Storeに、IARCレーティングが導入されてからちょうど1か月が経った。ストア上では、導入の効果とも受け取れる変化が現れてきているようだ。

IARC(International Age Rating Coalition)とは、レーティング審査によってゲームの対象年齢などを決定する海外の団体だ。日本にはCERO(コンピュータエンターテインメントレーティング機構)が存在し、国内PS StoreではこれまでCEROによる審査を受けたタイトルしか販売できなかった。しかしSIEは今年3月9日から、IARCレーティングを使用したリリースを認めるよう方針を変更している(関連記事)。
 

*国内PS StoreのIARCレーティング導入には、SIEインディーズイニシアチブ代表である吉田修平氏の尽力があった模様。

 
PS Storeにて、3月9日から4月8日までの1か月間にリリースされたタイトルは、合わせて92本だった。このうちIARCレーティングを使用して配信されたタイトルはというと、約半数の41本にのぼる。ほとんどが海外タイトルであり、比較的小規模な作品が中心となっているようだ。これまで国内PS Storeではあまり頻繁にはリリースされてこなかった、シンプルなコンセプトの作品も多く見受けられる。

ちなみに、IARCレーティングが導入される直前の1か月間を振り返ると、計41本のタイトルが配信されていた。時期が異なるため単純な比較は適当ではないかもしれないが、IARCレーティング導入以後にはリリース数がほぼ倍増したかたちとなる。前出の吉田修平氏は「日本のレーティング取得が壁になっているケースがあったので、今後日本発売タイトルが増えることを期待しています」とコメント。その期待に沿う傾向が、早くも現れ始めているといえるかもしれない。
 

 
IARCレーティングにて配信されたタイトルのなかには、興味深いものも存在する。パブリッシャーの1C Entertainmentは、『Eternity: The Last Unicorn』や『Through the Woods』『BLACKHOLE: Complete Edition』など5タイトルを、同じ日に一斉にリリース。実は、いずれも海外では過去に発売されていたタイトルである。日本でIARCレーティングが使用可能となったことをきっかけに、今回国内配信されたものと思われる。

CEROとは異なり、IARCでの審査は簡便かつ無料という点が大きな特徴だ。特に海外のメーカーにとっては、IARCレーティングを使用できるということは、日本でのリリースのハードルが下がることを意味する。今後も、こうした過去のタイトルが国内でも配信される動きがみられるかもしれない。

また、たとえば『エージェント・インターセプター』や『Hundred Days – Winemaking Simulator』など、海外と同時配信されたタイトルも確認できる。もしIARCレーティングが使用できなかったら、メーカーによってはそうした同時配信は実現しない場合もあるだろう。かつて弊誌が取材したパブリッシャーも、IARCレーティングの存在によって日本でのリリースが実現したという趣旨のコメントをしていたことがある(関連記事)。
 

(『NUN MASSACRE』は、IARCを使用して国内配信できる上限の16+(16歳以上対象)を取得して配信された。)

 
IARCレーティングの導入で先行したニンテンドーeショップやMicrosoft Storeでは、小規模なタイトルにとどまらず、また海外メーカーに限らず、IARCレーティングにてリリースされるタイトルがみられる。PS Storeも同様の流れとなり、ストアの品揃えがさらに充実していくことが期待される。

一方で、リリースのハードルが下がるということは、たとえば日本語ローカライズされていない海外タイトルの配信も増えてくることが考えられる。実際、すでにそうした傾向は現れ始めており、ストアでゲームを物色する際には対応言語欄もチェックするよう心がけたい。




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