『エルデンリング』が12分台でクリアされる。神すら瞬間移動でねじ伏せる、秘訣はメトロノーム
『エルデンリング』のスピードランが、いよいよクリアタイム13分を切り、12分台の世界に突入した。本日4月8日に、ゲーム内時間にして12分32秒でクリアされたのだ。長距離を一瞬で移動するグリッチZip Glitchの研究が進み、大幅な短縮に活かされているようだ。本稿にはクリアまでの動画や終盤ボスの描写なども含まれるため、ご注意されたい。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPGだ。今回本作クリア13分切りを達成したのは、海外スピードランナーのMitchriz氏。同氏は、『SEKIRO: Shadows Die Twice』のスピードランや「目隠しクリア」などでも知られている。また、猛者たちがひしめく『エルデンリング』スピードランシーンのトップランナーのひとりでもある。
『エルデンリング』の記録としては、Distortion2氏が3月28日に「Any% Unrestricted(達成度問わず・制限無し)」カテゴリーにて18分57秒のクリアタイムを叩き出していた(関連記事)。そして昨日4月7日には、Mitchriz氏がDistortion2氏を上回る16分5秒のクリアタイムを記録。そして本日、Distortion2氏が再び14分8秒なるタイムで巻き返した。さらにその後、Mitchritz氏が怒涛の追い上げを見せ、12分32秒との大幅短縮を成し遂げたのだ。
実を言えば、本稿はもともとDistortion2氏の新記録を伝えるために執筆していた。執筆中に最速記録が書き換わる、熾烈なタイム短縮合戦が繰り広げられているわけだ。そうした大幅なタイム短縮の背景には、瞬間移動技Zip Glitchにまつわる研究の進歩があったようだ。なお、いずれの記録も本作旧バージョンであるVer.1.02にて記録されている。
Zip Glitchそのものは先月下旬に発見され、その活用が進められていた。簡単にいえば、ガードと歩行を緻密なタイミングで入力することで、瞬間的に前進ないしは後退する技である。しかし、この技はフレームレート60fpsをキープしないとほぼ成功せず、しかも「フレームパーフェクト」の操作、すなわち「約0.016秒の猶予の間でボタンを離す」などの操作が必要と見られているのだ。そのため、これを手動でおこなおうと試みる走者たちは、メトロノームを利用して入力タイミングをはかっている。
Zip Glitchは動作環境にも強く依存するため、Speedrun.comなどでは一部カテゴリーのみ利用可とレギュレーションにて制限されている。そして、挙動にもいまだ謎が多い。しかし、理解が進んでいる部分もあり、スピードランにおける大幅なショートカットなどに活かされている。また、最終ボスを含めて多くのボスについて、このZip Glitchによる超遠距離移動を応用することで、ボス戦闘の回避ばかりか打倒さえ可能だと判明しているのだ。
そのため、今回のMitchriz氏の挑戦の終盤では“飛んで戻って筋肉がちらっと見えたらなぜか王になってた”としか形容しようのない現象が起きている。その過程でおこなっている、黄金樹の膝下からマップ上遥か彼方への超長距離Zip Glitchが、クライマックスのボス戦闘を大幅に短縮しているようだ。Distortion2氏やMitchriz氏はこれを「Mega zip」と形容している。
Distortion2氏は、Mitchriz氏に塗り替えられた記録動画の概要欄にて、まだタイム短縮ができそうという旨の言葉を述べている。10分切りに向けて、さらなるタイム争いが繰り広げられるかもしれない。また、スピードラン集計サイトSpeedrun.comの『エルデンリング』リーダーボードでは、多くの猛者たちがしのぎを削っている。Zip Glitchが封じられた通常の「Any%(達成度問わず)」や、追憶を落とすボスを全員撃破する「All Remembrances」カテゴリーなども見応え満点だ。いずれの分野でも、今後も度肝を抜くプレイや記録がまだ登場しそうだ。