『エルデンリング』が、海外スピードランナーにより文字通りの「ノーダメージ」にてクリアされたようだ。クリアタイムについても、3時間以内と恐るべき短時間となっている。海外メディアKotakuが報じている。なお、本稿後半には本作最終ボスについての言及などもあるため、留意されたい。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPGだ。舞台となる広大な狭間の地の探索はじっくりと楽しめる一方で、難所も多い作品である。毒沼や群がる敵たちのほか、熾烈な攻撃を放ってくるボスなどの強敵も数多い。命をかけたギリギリの駆け引きもしばしばで、体力を伸ばす「生命力」をしっかり確保しても、油断すれば(していなくとも)あえなくやられてしまう。
そんな本作を、文字通り「ノーダメージ」にてクリアした猛者が現れたようだ。敵の攻撃はもちろん、落下ダメージや毒ダメージなどあらゆる傷を負わずのゲーム完走である。達成したのは、オーストラリアを拠点とするスピードランナーのSeki氏。フロム・ソフトウェア過去作『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』でも同様に、ノーダメージクリアを成し遂げた人物だ。同氏が4月2日、自身のTwitterアカウントで『エルデンリング』ノーダメージクリアを報告している。
Seki氏が今回叩き出したタイムは、2時間51分10秒。まず、このタイムが速い。ゲームのクリアタイム集計サイトHowLongToBeatによれば、メインストーリーのみの進行でも、クリアには49時間かかるとされている。じっくり楽しめば100時間以上は遊べる作品であり、3時間切り自体が卓越したタイムであることがわかる。Seki氏は極めて慎重さが求められる挑戦を、短時間で成し遂げたわけだ。
また、注目したいのはこの挑戦が『エルデンリング』現行最新バージョンであるVer.1.03.2にて達成されており、なおかつグリッチ(バグ)なども利用されていない点だ。つまり、その威力と利便性ゆえに、Ver.1.02以前で猛威を振るった戦技「霜踏み」は弱体化されており、ボスのAIを停止させたりなどのグリッチを利用したテクニックも使われていない。一種の“正攻法”によって、ノーダメージクリアが達成されたのだ。
Seki氏が壮絶なチャレンジのメイン武器として選んだのは、戦技からの強攻撃派生が強力な「名刀月隠」だ。ボスによっては重力魔術「岩石弾」も役立てている様子。また、ノーダメージを目指すがゆえの工夫も駆使しており、敵が極端に厄介な攻撃を準備した際には「祝福の記憶」を利用していったん仕切り直している。また、厄介な強敵は飛び道具で気をそらして背後をすり抜けるなど、慎重なプレイを手際よくこなしている。
最初から最後まで、常人にとっては見ているだけで身がすくむ思いのするSeki氏のプレイ。同氏はKotakuに対して、「特に難しかったのは最終ボスだった」と語っている。というのも、同ボスが放ってくる技で、プレイヤーも同様の祈祷が利用できる「エルデの流星」は、回避方法がとても限られているのだという。そのため、ちょうどいいタイミングでボスを怯ませ、ノーダメージで切り抜けるために数十時間の練習を重ねたとのこと。また、Seki氏は今回の記録の前にも挑戦を繰り返している。2時間20分目にして一撃ですべてがパーになる悲劇の瞬間などもあった。今回のノーダメージクリア達成は、血と汗と涙の結晶なのだろう。
Seki氏はKotakuに対し、次はノーダメージで「All Remembrances(全追憶)」カテゴリーをクリアしたいとの目標を告げている。今回の挑戦では、ストーリー進行や装備獲得に必要なボスのみを撃破していた。一方で、「All Remembrances」では追憶を落とす強敵たちを全員倒さねばならない。しかしSeki氏はこれを「真の試練」であるとして、意欲を見せている。今後もやり込みコミュニティにより、『エルデンリング』の度肝を抜くプレイが登場することだろう。