“架空の版権ゲーム”投稿が人気を集める。いかにもなパッケージで、ありもしない思い出が発生

映像作品を見て「この作品がゲーム化されたら……」と妄想したことのある方も多いのではないだろうか。そうした妄想ゲームを具現化するアカウントが、人気を集めているようだ。

映画・ドラマ・アニメなどのゲーム化作品は数多い。「版権ゲーム」とでも呼ぼうか、そうした作品たちは玉石混交の傾向もある。ファンに好評を受ける作品もあれば、アタリの『E.T.』のように歴史的失敗作として記憶に残ってしまう作品もある。また、映像作品を見て「この作品がゲーム化されたら……」と妄想したことのある方も多いのではないだろうか。そうした妄想ゲームを具現化するアカウントが、人気を集めているようだ。
 

https://twitter.com/realfakegames/status/1506619703556456454

 
real fake licensed gamesは、「ありそうで実在しない版権ゲーム」を紹介するTwitterアカウント。同アカウントの運営者はTwitterユーザーのchio(riley/smudgebap)氏で、今年3月17日より架空版権ゲームの投稿をしているようだ。数々の投稿を見てみると、「これは実際に出たのでは?」と思ってしまうゲーム作品のパッケージが紹介されている。それぞれの投稿が多くのRTや反響を呼んでおり、人気が高まっているようだ。

たとえば、NINTENDO64で1999年に発売された(という設定)のゲーム版『プライベート・ライアン』は秀逸だ。開発はレア社とのことで、コントローラパックおよび振動パックに対応している様子。また、4人までのプレイにも対応しているようだ。戦争映画原作なので、FPSゲームなどのシューター作品だろうか。「国内展開しなかった知られざる作品」っぽい雰囲気が溢れているものの、実在しない作品である。いかにもなパッケージや、NINTENDO64向けシューター『ゴールデンアイ 007』開発元であるレア社を配するなど芸の細かい工夫が盛り込まれており、架空作品の実在感を強めている。
 

 
刑事ドラマ「刑事コロンボ」のゲーム化作品『Columbo』は、PS2向けに2006年リリースされた設定だ。手がけたのはMajesco Entertainmentとのこと。また、「刑事コロンボ」についてはゲームボーイカラー向けにリリースされた別作品もユーザーから投稿されており、こちらはRockstar Gamesが手がけた設定だ。いずれも、コロンボとなり犯人を追い詰めていくアドベンチャーゲームだろうか。犯人を揺さぶる会話パートを想像するだけで楽しそうだ。
 

 
ほかには、海外ドラマ「ブレイキング・バッド」のゲーム版も登場している。こちらはクライム・アクションの雰囲気があふれるパッケージで、Xbox 360向けにElectronic Artsから2012年にリリースされた設定。さらには、決定版がXbox One向けに2015年に出ている。発売のタイミングやその後の展開までいかにも「ありそう」な雰囲気を感じさせ、スピンオフドラマのDLCが同梱されているのもそれっぽい。価格も気になるところだ。オリジナル版は7900円、決定版は4980円あたりだろうか。グラフィックのリマスターなどが盛り込まれていればもう少し高いかもしれない……が、こちらももちろん実在しない。
 

 
ほかには、「ゲーム作品の映画化作品のゲーム化」なる設定の作品も投稿されている。『スーパーマリオ』の映画化作品をゲーム化したのは、1993年にスーパーファミコン向けに発売された『Super Mario Bros.』だ。こちらの“原作”となったのは1993年公開の「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」である。『スーパーマリオ』に独自の世界観を導入し、賛否両論あるもののカルト的な人気を誇る映画だ。そのため、この架空のゲーム化版はパッケージに映画版のマリオとルイージがあしらわれ、頼もしい雰囲気を醸し出している。作中では妙に等身の高いマリオとルイージがアクションするのだろうか。こちらは別ユーザーより投稿されたとのこと。

ほかにも、近年の作品では2020年公開映画「ソニック・ザ・ムービー」のゲーム化作品『Sonic the Hedgehog』が登場している。こちらは最近の作品らしく、PS4/Xbox One/Nintendo Switchのマルチプラットフォーム展開である。芸が細かい。
 

 

 
改めて、本稿で紹介した作品はいずれも実在しない。しかしその存在感は本物に迫っており、作品の内容や制作の背景まで想像してしまう説得力がある。ユーザーたちも「このゲーム、叔父さんがプレイさせてくれなかったんだ」など架空の思い出を語るリプライを送り、この「ありそう感」を楽しんでいる様子。また、インゲーム画像まで作り込んで架空作品を投稿するユーザーもいるようだ。架空のはずなのに実在を感じさせる奇妙な感覚に、多くの者が心惹かれているのだろう。

筆者はPS2の映画原作ゾンビシューター『ショーン・オブ・ザ・デッド』が思い出深いが、もちろんそんな作品はない。あなたはどんな架空の版権ゲームを想像するだろうか。具現化してreal fake licensed gamesに投稿してみるのもよいかもしれない。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

記事本文: 1867