『FFオリジン』のキャラたちが軽快動作のために“坊主”にされる。すっきり毛刈りでサクサク動作

『FFオリジン』にて、ゲームの動作を軽快にするための奇妙な工夫がおこなわれている。登場キャラを「丸坊主」にすることにより、『FFオリジン』のパフォーマンスが向上するというのだ。

STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN(以下、FFオリジン)』にて、ゲームの動作を軽快にするための奇妙な工夫がおこなわれている。登場キャラを「丸坊主」にすることにより、ゲームのパフォーマンスが向上するというのだ。海外メディアPC Gamerなどが伝えている。

『FFオリジン』は、『ファイナルファンタジー』シリーズの世界観をベースとしたアクションRPGだ。コーエーテクモゲームスの内部スタジオTeam Ninjaが開発を手がけ、今年3月18日に発売された。レビュー集積サイトMetacriticなどでは、アクション性が一定の評価を集めつつも賛否の声が寄せられる状況だ。しばしばユーザーレビューやSNS上などで指摘されているのが、パフォーマンス面の問題である。具体的には、コンソール版・PC版共に、状況によってフレームレートが落ちやすいとの意見が散見されるのだ。
 

 
そして、この問題に独自の対処法を見出す者もあらわれた。海外掲示板Redditでは、ユーザーであるMorrisonGamer氏が本作のパフォーマンス問題について投稿した。同氏は、衣装についているファーが原因との分析や、キャラクターモデルの最適化が行き届いていないとのそれぞれ別ユーザーによる検証結果を紹介。また、髪の毛の描画や一部のパーティクル描画も一因だろうとしている。そうした要素によりキャラクターモデルの描画処理が重くなり、フレームレートの低下が起きているとの見解だ。そこで同氏は、本作を快適に遊ぶためにある解決策を編み出したようだ。ゲームの改造による、3Dモデル描画の最適化。すなわち「キャラの丸坊主化」などである。
 

 
MorrisonGamer氏は、PC向けゲームの描画関係オープンソースソフトウェア「Special K」を利用している。こちらはエンジニアのKaldaienことAndon M. Coleman氏によって開発されたソフトウェアで、『NieR:Automata』や『モンスターハンター:ワールド』などの作品向けModにも利用されている。MorrisonGamer氏は、このソフトウェアを利用して『FFオリジン』の描画プロセスを変更。キャラクターたちを無理やり丸坊主にし、衣装のファーを剥ぎ取ってしまったのだ。

筆者はPC版『FFオリジン』にて、デフォルト状態ではどの程度のパフォーマンス水準で動作し、この改造がどのように影響を与えるのか検証した。本作推奨動作環境を満たすPCにて、グラフィック設定タイプは「高」のフレームレート上限120fpsに設定し、1920×1080解像度のフルスクリーンモードで動作させている。まずは自動最適化機能である「FPS優先モード」をオンにてプレイ。常時80~100FPSほどは出ており、アクションゲームとしての快適さは確保できている。しかしながら、レンダリング解像度の低下のせいか画面がぼやけた状態になってしまい、見栄えは良くないといえる。
 

 
一方で、「FPS優先モード」をオフにすると描画は常時くっきりするものの、フレームレートは50~90fpsと状況に応じて大きく変動し、やや安定しない印象だ。ただ、推奨動作環境では1920×1080解像度の60fps動作としているため、許容範囲内だといえるだろう。しかし、とある状況ではこのフレームレートが異常に落ち込んでしまうのが確認できた。NPCとの会話時である。特に胸元に豪華なファーがあしらわれた衣装のキャラクター「ラゴン大臣」との会話時は顕著で、一気に動きがぎこちない様子に。フレームレートは20fpsほどにまで低下しており、たしかに異常だといえる状況だ。「FPS優先モード」をオンにしてみると40fpsほどまで向上するものの、ディティールがもやっとしてしまい、ユーザーによっては気になりそうな描画となる。
 

 
続いて、前述のMorrisonGamer氏が紹介した手法により“坊主軽量化”を試みてみる。するとどうだろう、主人公であるジャック一行がさっぱりした頭になってしまった。また、ほかのNPCについても同様に坊主に。頭皮テクスチャーの色味もかなり自然で、そういうスキンを導入したかのようだ。前述のラゴン大臣や王までも坊主になっており、なぜかお洒落な野球部のような雰囲気も感じる。また、坊主になったことで、それぞれのキャラクターの顔立ちの美しさが引き立つような気さえする。肝心のパフォーマンスの方も改善されており、前述のラゴン大臣との会話シーンでも「FPS優先モード」をオフのまま、会話シーンの上限と見られる60fpsをキープしてくれた。ファーや頭髪の不在は、たしかにパフォーマンスを改善していると考えられそうだ。
 

 

 
しかし、さすがにすべてのキャラクターが坊主になるのは、美しいとはいえ世界観に支障が出る。主人公たち一行のお洒落野球部のような雰囲気も『ファイナルファンタジー』の世界観に沿うとはなかなかいい難いだろう。何より、この手法はユーザー側でゲームを改変する方法であり、開発元が意図しない挙動が発生する可能性もありうる。ただ、根本的な解決策としては懸念がありつつも、頭や服がさっぱりして動作が軽快になるのは興味深い現象だ。

なお、本手法の導入方法はそこそこ複雑であり、ゲームのサポート外でもある。どうしても試したい方以外は、オプションの工夫による軽量化を試みた方がよいだろう。また、今後のアップデートなどにより『FFオリジン』のパフォーマンスが改善されることも期待したい。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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