『エルデンリング』にて、空中を馬で駆ける「ペガサスバグ」発見される。霊馬よ今こそ羽ばたけ

『エルデンリング』にて、馬で空中を駆け回れるグリッチ(バグ)が発見されたようだ。見た目のインパクト抜群なほか、スピードランのチャートにも大きく影響しうる発見に、一部『エルデンリング』コミュニティは騒然としている。

エルデンリング』にて、馬で空中を駆け回れるグリッチ(バグ)が発見されたようだ。見た目のインパクト抜群なほか、スピードランのチャートにも大きく影響しうる発見に、一部コミュニティは騒然としている。
 

 
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけたアクションRPG。本作には広大なフィールドを旅するお供として、プレイヤーの移動を助ける霊馬トレントがいる。トレントはダンジョンなどを除き、いつでも呼び出しが可能だ。高い機動性をもち、探索や敵との戦闘・逃走などにも大活躍する、かけがえのない仲間である。

今回、そんなトレントが空中を駆け回れるようになるバグが発見された。その名も「Pegasus Glitch(ペガサスバグ)」である。出所ははっきりとしないものの、3月17日には同バグの様子をおさめた動画をユーザーが公開している。その時点では再現性は不明であった。そして、昨日3月23日には再現手法を紹介する動画や、実際にグリッチを利用してボスを倒す様子などが公開され急速に注目を集めたかたちだ。
 

 
筆者が実際にゲーム内で検証したところ、『エルデンリング』PC(Steam)版にてペガサスバグの再現が確認できた。手順としてはまず、トレントに乗馬し、飛び降りた瞬間にゲーム終了の操作をおこなう。すると、トレントが実体化しているのにもかかわらず、プレイヤーは徒歩の状態が作り出せている。通常のプレイでは、トレントは乗馬時にしか実体化しない。つまり、この時点で一種のありえない状況が発生するわけだ。なお、終了操作は非常に素早くおこなう必要があり、通常プレイで発生するのは極めて稀と思われる。

続けて、崖ギリギリに立ってゲーム終了と再ロードの操作をする。このとき、トレントはプレイヤーの横にスポーンするのだが、プレイヤーが崖ギリギリに立っていると、トレントを崖から「落とす」ことができるのだ。成功には崖の選別も重要となるようだった。具体的には、崖は湾曲やでこぼこがなくまっすぐ続いている形状だと成功しやすい印象だ。コツを掴むまでは、トレントに背後から押し出されるかたちで何度も崖下に転落死した。賢い馬である。
 

 
さらには、崖の場所によってはトレントを落とすことができても、空中を走れる状態にはならないようだった。これは、崖下の状況によって左右されると考えられる。というのも、本作には高度に関わらず接触すると死亡してしまう「Death Plane」と呼ばれる地面があり、本来は到達できない場所などに設定されている。通常プレイでも到達できる内地にトレントを落とした場合は再現失敗し、海に面した崖などでは再現成功したため、Death Planeにトレントを接触させるのが成功の条件とも考えられる。

再ロード後にトレントが転落した状態になったら、指笛にてトレントを呼び寄せる。この際には、トレントを復活させるために聖杯瓶が必要となる。2回続けてトレントを呼び出せば、ペガサス化の成功だ。具体的には、トレントの高度が下がらなくなる状態が発生するのだ。崖から飛び出せば、そのまま見えない地面が続いているが如く走り続ける。また、下り坂を駆け下りようとすれば宙に浮いてしまう。一方で、上り坂や障害物を登った場合には、そのまま高度が上昇し続けるわけだ。トレントから降りるためには地に足がついていなければならないため、適切な地面を見つけるまでは浮かびっぱなしとなる。また、ジャンプの挙動も狂っており、着地面が見つからないため空中で固まってしまい、一定時間の後にプレイヤーもろとも死亡する。なお、一度ペガサス化してしまえば、降りて再度呼び出してもペガサストレントのままだ。
 

 
当然ながら、このバグは本来行けない場所へ無理やり到達したり、大幅なショートカットなどにも利用できてしまう。また、本来トレントに乗れないダンジョン内部などにも、やり方によっては侵入可能だ。ボスエリアに不正に侵入して、ボスを倒すなどの行為も可能。つまり、バグ利用可カテゴリーのスピードランなどで、大きくチャートを書き換える可能性のあるテクニックだ。『エルデンリング』にて多数の記録を打ち立てているスピードランナーのDistortion2氏なども、早速このバグの可能性についての検証を進めている。ペガサスバグが盛り込まれたチャートも、本作スピードランナーたちから近いうち披露されるかもしれない。

ペガサスバグは明らかに開発側の意図しない挙動、かつゲームに与えるインパクトも大きいため、修正される可能性も十分あるだろう。しかし、『SEKIRO: Shadows Die Twice』の空中水泳技「Airswim」のように、長らく生き残りスピードランに活かされているバグもある。本作のSpeedrun.comリーダーボードは3月25日解禁予定だ。現状存在するバグがどのようにカテゴリーに反映されるのかにも注目したい。

なお、余談ながらペガサスバグの利点をひとつ紹介したい。それは、トレントと乗馬状態でないツーショットが撮れる点である。本来であれば降りるとすぐ消えてしまうトレントを、横からなでなでする夢が叶うわけだ。とはいえ、開発側の意図しない挙動である以上は、ゲームへの悪影響の可能性も考えられる。利用は自己責任にておこなわれたい。
 







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Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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