『エルデンリング』のスピードランの勢いが止まらない。3月10日には1時間未満でクリアされていた本作は、翌日11日には40分切りを記録(関連記事)。さらにルートの研究と最適化が急速に進み、本日3月14日はなんと30分の大台を破る記録が出たのだ。なおトピックの性質上、本稿の記述および映像には『エルデンリング』のネタバレが含まれるため、ご注意されたい。
初見プレイヤーの多くが、少なくとも数十時間をかけてクリアする『エルデンリング』。そんな本作を30分以内にクリアしたのは、海外スピードランナーのDistortion2氏だ。本作以外にも『ダークソウル』シリーズや『SEKIRO: Shadows Die Twice』のスピードランなどで著名な人物である。同氏は先日より破竹の勢いで新記録を打ち立て続けており、大幅なタイム短縮を幾度も実現している。そんな同氏が本日打ち立てたクリアタイムは、ゲーム内時間にして28分59秒。同氏が前日に打ち立てた33分55秒の記録を大幅に自己更新するタイムである。
今回のタイム更新に大きく寄与したのは、新ルートの構築のようだ。同氏はWrong Warpと呼ばれる手法を用いて、これまで本作の高速クリアを実現してきた。Wrong Warpとは、不安定な足場でセーブデータがロードされた際に、エリアの初期位置にキャラクターが自動で移動・出現するという『エルデンリング』の仕様を利用したテクニックだ。そして、四鐘楼と呼ばれるエリアには、比較的序盤から終盤マップであるファルム・アズラに転送されるポイントが存在する。ただ、本来であれば、この転送ポイントからはファルム・アズラのエリア全体から隔離された離れ小島しか探索できない。しかし、同氏はWrong Warpを利用することで、ファルム・アズラ内部の初期位置へとワープ。大幅なタイム短縮をしていたわけだ。
そして、そのワープに必要な不安定な足場については幾つか候補が存在していた。例としては、ライカード前の祝福・謁見の道やアルター高原の調香師の隠し洞窟などだ。しかし、いずれも祝福を解禁するまでにある程度の移動が必要となっていた。どうやら、今回Distortion2氏は、そうした不安定な足場解禁を丸ごとスキップして、大幅タイム短縮に繋げているようなのだ。
*新たなWrong Warp手法は、動画9分56秒頃から
以前までのルートでDistortion2氏は、 四鐘楼の祝福を解禁後は別エリアへと移動し不安定な足場の解禁や必要な強化素材・武器などの回収に走っていた。しかし、今回の30分切りの動画においては、祝福を解禁後いきなりファルム・アズラ離れ小島エリアへと転送している。さらに、ファルム・アズラへと降り立った直後に、目にも留まらぬ速さで何らかの操作を実行。「出来たと思うんだけど、頼む」とつぶやいた次の瞬間には、謎の異空間に転送。データをロードし直すと、まんまとファルム・アズラ内部へと侵入を果たしていた。
同氏の操作をよく見てみると、グリッチを利用してWrong Warpに必要な不安定な足場を、作り出していると見られる。同氏はファルム・アズラに転送するや否や、祝福の記憶を使用しつつ同時にマップを開き祝福・嵐丘のボロ屋へとファストトラベルを試みている。つまり、2重にワープをしようとしているわけだ。その結果として、グリッチによりそもそも足場がない状態へと陥り、Wrong Warpの条件が成り立ったと考えられる。不安定な足場などいらぬ、なければ作ってしまえというわけだ。力技ワープでファルム・アズラに入ったDistortion2氏は、そのまま全力疾走。ボス直前の祝福をアンロックし、その後悠々と必要なアイテムの確保にあたっている。
新たな手法が続々と発見され、タイム短縮が止まらぬ『エルデンリング』。スピードラン集計サイトSpeedrun.comにおける本作カテゴリーについては、未だロック解除さえされていない。現地時間3月18日のリーダーボード解禁後、どのような記録がリーダーボードに並ぶのか楽しみである。また、Wrong Warpやグリッチを利用しないカテゴリーでのプレイについても、注目が集まるだろう。