ハードコア貿易国推理ゲーム『Tradle』登場。「遠心機・絶縁ワイヤーなどの輸出が盛んな国は?」わかりません


海外エンジニアのAlexander Simoes氏は3月7日、国の輸出品グラフからその国名を当てる『Tradle』を公開した。人気ワードパズルゲーム『Wordle』を元にした派生ゲームだ。手強いながらも、学習にもつながる興味深い作品となっている。


『Tradle』は、Web上で無料プレイ可能な「国家貿易推理ゲーム」だ。ある国の輸出額を分析したグラフから、それが一体どの国なのかを割り出すシステムとなっている。本作は『Wordle』(ワードル)からインスパイアされたゲームである『Worldle』(ワールドル)から触発されたとのこと。つまり、『Tradle』は『Wordle』のいわば孫的な派生版というわけだ。そのため、システムもある程度『Wordle』を踏襲しており、同作の貿易グラフ推理版といったコンセプトになっている。

ゲームを開くと、まず目に入るのはツリーマップと呼ばれるタイプのグラフだ。そこにはお題となる国の輸出額が品目ごとにわかりやすく表されている。プレイヤーがグラフを頼りに国の名前を入力すると、本家『Wordle』と同じくある程度のヒントが提示される。『Tradle』の場合は、ハズレの国を入力した場合、アタリの国までの距離や方位が示される仕組みだ。プレイヤーは6回の試行回数の間に、アタリの国を推理しなければならない。


実際に、筆者も『Tradle』に挑戦してみた。お題は日替わりとなっており、本日3月11日のお題の国は、遠心機や絶縁ワイヤーなどの輸出が盛んなようだ。正直さっぱりである。とりあえず「Japan」と入力してみると、日本よりはるか西、国土の中心を基準に日本より9233キロメートル離れた国のようだ。たまらずGoogle Earthを開きながら「電子機器を輸出していそうな国」を入力していくものの、隣国にたどり着いた時点で6回のチャンスを使い切ってしまった。しかしながら、各国の地理関係と産業のイメージを整理していく過程には、知的好奇心がくすぐられた。ある種、不正解前提でも楽しめる遊びとなっている。

『Tradle』は世界貿易データの統計サイトOECのドメイン上で運営されている。同サイトのデータは、国際海上輸送における運送契約証書である「船荷証券(Bill of Lading)」を元として定期的に更新されているとのこと。OECはマサチューセッツ工科大学の学習グループによるプロジェクトを発端としており、『Tradle』開発者のSimoes氏の修士論文の題材でもあったそうだ。同氏はOECを運営するDatawheelの最高技術責任者(CTO)および共同設立者でもある。同氏はほかにも、統計データをわかりやすく可視化するプロジェクトをいくつか手がけている。遊びと貿易統計を結びつけた『Tradle』も、データをより身近な存在にする取り組みのひとつかもしれない。

Tradle』は、Web上にて無料で配信中。英語のみの対応となっているものの、文章量はさして多くない。むしろ貿易・産業・地理に関する知識が試される内容だ。知的好奇心豊かな方は、一度触れてみてほしい。




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