人気MMORPG『ロストアーク』の「性別固定」クラス分けに見直し求める声高まる。男女関係なく選べる職業に向けて対応進む予定


先月2月11日より、欧米に向けてSteam版の正式サービスが開始されたオンラインアクションRPG『ロストアーク(LOST ARK)』。本作はサービスイン以来、Steamの同時接続数で歴代第2位を更新するなど、爆発的な人気を博しているタイトルだ(関連記事)。しかし、欧米向けのサービスインに際して、本作の性別が固定されたクラス(職業)システムに対しては批判の声が上がっている。これに対し、欧米向けパブリッシングをおこなうAmazon Gamesは、現在対応の途中であることを明かした。
 

 
『ロストアーク』は、韓国のゲーム開発会社Smilegateが手がける基本プレイ無料のオンラインアクションRPGだ。本作は3D見下ろし視点のゲームで、キーボード/マウスでのプレイでは、マウスで通常攻撃と移動を、キーボードでスキルやアイテムを使用するシステムとなっている。群がる敵を相手にする爽快なアクション要素のほか、ギルドシステムなどのソーシャル機能などMMO作品で見られる要素も盛り込まれている。いわば、アクションRPGとMMOのハイブリッドのようなタイトルとなっている。

本作では、ウォリアーやマジシャンなどの1次職の中から、キャラクターのクラス(職業)を選択できるシステムが採用されている。これらの1次職は、ゲームの進行でさらに複数の上位職に派生する。たとえば、ウォリアーはバーサーカーやウォーロードなどのクラスに派生可能となっているのだ。

ここまでを踏まえると、本作は自由なキャラクタービルドが可能なゲームのように思える。しかし、実は本作のクラスシステムでは、キャラクターの性別によって選択可能なクラスがほぼ固定されている。男性キャラクターであればウォリアー系、女性キャラクターであればファイター/マジシャン/アサシン系、といったように性別によるクラス分けがなされているのだ(ハンターのみ、先日のアップデートで女性が追加された)。
 

 
こうしたシステムは、韓国や日本でサービスが運営されている間はそれほど大きな議論とはならなかった。しかし欧米向けのサービスインに際しては、この性別によるクラス分けに対して失望の声が挙がったようだ。Amazon GamesのフランチャイズリーダーであるSoomin Park氏はEurogamerに対して、性別固定のクラス分けは解消に向けた対応が進んでいる、という旨の声明を発表している。

Soomin Park氏によると、各クラスはアニメーションなどでキャラクターモデルに深く関係しているため、既存クラスの異なる性別への導入が非常に手間のかかる作業であるという。それには、同じ性別で新たなクラスを実装する以上の労力を要するようだ。

そのため、すぐに改善することはできないようだが、同氏は開発元であるSmilegateがこの問題の解消を進めていることを示した。その一環として、韓国版『ロストアーク』には次の新クラスとして女性のバーサーカーが登場するそうだ(韓国の『ロストアーク』は最新版となっており、さまざまな要素が海外版に先がけて実装される)。最新版である韓国の『ロストアーク』においても、男女間で対応するクラスがすべて存在しているわけではないが、ローンチ時のクラスには優先して実装が進んでいるようだ。将来的には、男女間で対応するクラスをさらに作成する予定であるとのこと。
 

 
また、さらなる問題として、本作では露出度が高めの女性キャラクター用衣装が多く存在しており、これに対しても欧米向けサービスインに際しては批判の声が上がっている。この問題については、Soomin Park氏によると、マーケティングイメージやキャラクター作成画面などにおいて、露出度の高い衣装の存在は目立たないように調整されているという。また、これらの衣装に関しては、露出度を低くしたオプション装備も追加されているそうだ。ただし、もとの韓国語バージョンに近いゲーム体験を望むプレイヤーに配慮して、問題となった衣装の削除や置き換えはおこなわないとのこと。
 

※ 女性キャラはアニメーションについても、さまざまな意見が寄せられている

 

 
『ロストアーク』におけるジェンダー描写は、アジアでのサービス時にはそれほど大きな議論になってこなかった。しかし欧米にサービスインしたことで、急激にユーザー数が拡大し、より多様性を求める声が高まったかたちだ。

Steam版『ロストアーク』は現在日本国内からは利用できない。国内向けには、ゲームオンが同社のプラットフォームPmangにてPC向けに配信中だ。