『エルデンリング』の広い“遊びの幅”を示すプレイ風景が、海外掲示板で注目を集めている。本作のプレイヤーたちの中には、攻略や対戦だけではない本作の楽しみ方を実践する者たちがいるようだ。なお、本稿には装備の見た目など、ネタバレになりうる情報が含まれるため注意されたい。
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが手がけた新作アクションRPGだ。本作の舞台である広大な狭間の地では、危険なダンジョンや強力なボスなど、さまざまな脅威がプレイヤーこと「褪せ人」たちを待ち受けている。しかし、そうした困難には仲間と協力して立ち向かうことも可能だ。本作はホストを含め、最大3人までの協力プレイ(敵対者を含めると4人まで)をサポートしており、見知らぬプレイヤーとの共闘のほか、合言葉を使って知人やフレンドとの協力も可能だ。しかし、複数人での共闘の際には、敵対プレイヤーに侵入されるリスクもあるシステムとなっている。
本作では早速マルチプレイに精を出すプレイヤーたちが現れており、その楽しみ方もさまざまだ。手を取り合い強力なボスに立ち向かう者や、危険なエリアの道案内を求める者もいる。はたまた、プレイヤー同士の戦いに魅力を見出す者も少なくない。一方で、対戦や攻略でない遊び方で、本作をエンジョイするプレイヤーたちも出現している。
たとえば先日、海外掲示板Redditの『エルデンリング』コミュニティ/r/Eldenringにて、ある3人組と1人の侵入者の様子を収めた動画投稿がプレイヤーたちの注目を集めた。投稿者は侵入者として、ほかのプレイヤーの世界に初侵入を試みたのだ。しかし、投稿者は予想だにせぬ、完全に常軌を逸した敵と直面することになってしまった。3人の、ほぼ全裸の、引き締まった筋肉質の男たちである。しかも、ただの全裸ではない。3人が揃って頭に被っているのは、くちばし様のパーツが特徴的な「猟犬騎士の兜」と見られる。どこまでも獲物を追い立てる追跡者の兜である。肌の色もさまざまで、多様性も感じられる3人組だ。
この時点で何故だか勝てる気がしないものの、筋肉質トリオはさらなるプレッシャーを投稿者に与える。彼らは、黙ってゆっくりと投稿者に歩み寄ってきたのだ。飛びかかって殴られるよりもよほど怖い光景である。そして彼らはゆっくりと、着実に投稿者を囲み、三位一体の包囲網を作り上げた。もう逃げ場はない。投稿者が絶望にうずくまってしまうと、トリオはジェスチャー「内なる律」にて完璧な黄金律の三角形を作り上げた。剣閃も、魔術も、HPのやりとりも一切ない戦い。しかし投稿者が肉体的にでなく、精神的になにかをされたのは間違いない。この悪夢のようなおぞましくも美しい映像はコミュニティからの反響を呼び、記事執筆現在で同投稿は約4万9000Upvote(高評価)を数えている。思いもよらぬ『エルデンリング』の楽しみ方が、ファンの目を引いたのだろう。
そしてこともあろうにその直後には、筋肉質トリオのひとりが同掲示板に、彼ら側の視点の動画をアップロードしている。こちらの映像では、トリオが実際に暴力を振るう楽しげな様子が見られる。全裸はそのままであるものの、腕には荒々しい拳タイプの武器を装備。3匹の猟犬のごとき連携にて、フィールド上のゴドリック兵たちを襲撃している。その一体感からは、協力プレイの楽しみがありありと伝わってくるようだ。また、注目したいのは、本来敵対している侵入者さえも半裸で筋肉質トリオを応援している点だ。こちらは体型などから、先の投稿者とは別人と思われる。「仲間と共にお揃いの奇抜な服装に身を包み、とにかく兵を殴る」という、『エルデンリング』の自由度の高い楽しみ方を目にして、侵入者も心ほだされたのかもしれない。あるいは、黄金律儀式により、精神的になにかをされたのかもしれない。
筋肉質トリオのプレイは本作の自由度をも象徴しているだろう。奇抜な格好をしたり、そのままマルチプレイをして楽しむ文化については、フロム・ソフトウェア過去作である『ダークソウル』シリーズおよび『Bloodborne』でも存在した。全裸も一定の人気があったほか、登場NPCのゲーム内コスプレや、あるいはゲーム外のキャラクターの再現などに興じるプレイヤーもいたのだ。SNS上などでは、『エルデンリング』にて漫画やアニメキャラクターのコスプレに興じるユーザーの姿も見られる。本作においても、キャラメイクや衣装の豊富さを活かした楽しみ方は健在だといえる。
『エルデンリング』の魅力としては、立ちはだかる困難とその打破の達成感および、探索の楽しさが注目されがちだ。しかし、本作のもつ遊びの幅はそれだけではない。広すぎる狭間の地の旅に疲れた時は、仲間と共にほぼ全裸で野原を駆け巡るも、ファッションを探求してみるもよいだろう。
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