『エルデンリング』のおかしなメッセージをご照覧あれ。褪せ人たちがどうしても伝えたい、尻やカニにまつわる伝言など

『エルデンリング』では、ネットワークプレイを通じて、他のプレイヤーとコミュニケーションをとることができる。そのなかで、同じく狭間の地を探索するプレイヤーとのゆるい繋がりを感じられるのが「メッセージ」機能。そんなメッセージでのおかしな文化をご照覧あれ。

発売からまだ間もない『エルデンリング』。多くのプレイヤーがオープンなフィールドで表現される狭間の地を探索し、凶悪な敵に苦戦を強いられていることだろう。本作ではネットワークプレイを通じて、他のプレイヤーとコミュニケーションをとることができる。そのなかで、同じく狭間の地を探索するプレイヤーとのゆるい繋がりを感じられるのが「メッセージ」機能である。


メッセージは、プレイヤーが書いたメッセージを他のプレイヤーの世界へと配信する機能だ。とあるプレイヤーが好きな場所で、あらかじめ用意されたベース文や単語、ジェスチャーを自由に組み合わせてメッセージを設置。設置したメッセージは、他のプレイヤーが設置場所を通りがかった際、ランダムでメッセージアイコンとして表示される。そのメッセージアイコンを他のプレイヤーが調べることで、発信されたメッセージの内容が閲覧できる仕組みになっている。

このメッセージの主な用途は、他プレイヤーの攻略の手助けである。ダンジョンの死角に潜む敵を事前に知らせる、広大なフィールドにぽつんと存在するギミックに気づかせるなど、メッセージによってプレイヤー同士のゆるい助け合いの文化が形成されているのだ。とはいえ、現状の『エルデンリング』の世界に散りばめられたメッセージは、そのような有益なものばかりではない。とあるキャラクターやアイテムへの愛情を示すメッセージ、はたまた他のプレイヤーを死に追いやるメッセージなど、広大な狭間の地ではおもしろおかしなメッセージも散見されている。

キャラクター・アイテムへの愛情をアピールする褪せ人


たとえば一部の褪せ人たちは、メッセージを介して甲殻類への愛情をアピールしている。特にゲーム序盤で散見されるのは、カニへの愛情表現だ。カニはアギール湖をはじめ、序盤で訪れるフィールドのあちこちに生息している。小蟹から大蟹まで、外見は現実のカニそっくりだ。茹でると美味しそうなフォルムを発見した褪せ人たちは、「カニ!」「カニとはな・・・」「カニをご照覧あれ」などのメッセージを次々に残している。カニ好き同士でカニに出会えた喜びを共有しているのだろう。

なぜこんなにもカニが愛されるのか。疑問に思うプレイヤーもいるかもしれない。ひとつの理由としては、現実同様の慣れ親しんだ外見にあると考えられる。広大な狭間の地には、凛々しき騎士や異形の敵が蔓延っている。殺伐とした世界の中で、カニは相対的にキュートなキャラクターとしてプレイヤーの目に映るのだろう。

またカニをふくむ甲殻類は、フロム・ソフトウェア公認のマスコット的存在として認知されつつあるようだ。カニは『ダークソウル』シリーズから引き続き登場することとなった。加えて、本作の発売ローンチトレイラーで披露された「エビ好きに、悪人はいねえ」というユーモアに満ちた台詞もちょっぴり話題になっている。甲殻類好きの開発者が潜んでいるのかは定かではないが、本作での扱いを考慮すると、今後のフロム・ソフトウェア作品にも甲殻類が登場する可能性は高いのかもしれない。


カニ好きが存在すれば、また犬好きも存在する。本作にはワンちゃんとして、腐敗に蝕まれた野犬など複数の犬が登場している。カニ同様、犬の姿を見て興奮を抑えられない褪せ人たちが、犬にまつわるメッセージを周囲に残しているようだ。ちなみに筆者がよく見かけたのが狼の群れの出現地点、あるいはまったく見かけが異なる羊の生息場所に残された「犬!」というメッセージだ。メッセージを残した彼らには犬に見えたのだろう。なお、ゲーム内の犬を紹介するTwitterアカウントCan you pet the dog?では、『エルデンリング』の犬は「ふれあえない」と認定されている。

また敵だけでなく、特定のアイテムに執着する者も存在する。特に注目を集めているのはキノコのようだ。キノコはアイテム製作に用いる素材のひとつで、湿った茂みなどに生えている。狭間の地のあちこちで見かけられる素材であり、特段珍しいというわけではない。しかしながらメッセージを通じて「キノコを目指せ」「この先、キノコがあるぞ」と、なぜかキノコが採れる場所を至極丁寧に案内する者がいるようだ。果たして本当にキノコなのか。もしかすると貴重なアイテムなのかもしれない。メッセージを見て疑心暗鬼でキノコの元に辿り着いた褪せ人たちは、「やはりキノコか・・・」と落胆の思いを残している。


ちなみに、敵やアイテムに匹敵するほど使用されている単語が「尻」である。尻はゲーム内で部位を示す単語として登録されており、プレイヤーたちはさまざまな用途で使用しているようだ。適切な使用例としては、致命の一撃のチャンスを示す際のメッセージだろうか。致命の一撃は、敵の背後から攻撃することで通常攻撃よりも特大のダメージを与えることができる攻撃手段のひとつ。この致命の一撃の攻撃モーションが、敵によっては武器を尻めがけて刺しているように見えることから、「この先、尻が有効だ」などと簡潔に記されているようである。

一方で、日頃から尻に魅せられている一部のプレイヤーたちは、尻という単語と他の単語を組み合わせてメッセージ大喜利を楽しんでいる。壺のようなキャラクターの背後に「尻をご覧あれ キノコがあればいいのに」というメッセージを残したり、巨大生物の死体付近に「この先、尻があるぞ。だから指が有効だ」と記したりと言いたい放題である。


これらのメッセージを残す際には、ゲームの進行が止まることなく、画面いっぱいに表示されるメッセージウィンドウを通じて書き残さねばならない。すなわちメッセージの中には、敵の群れが巣食うダンジョン内など、危険と隣り合わせの状況で書き残された可能性もあるわけだ。ゆえに、これらの狭間の地に散りばめられたメッセージは、とある褪せ人がどうしても伝えたかった伝言なのかもしれない。

嘘つきからのメッセージと、それに対抗する者


有益なメッセージとは別にもうひとつ、目立ったメッセージとして分類できるのが嘘つきによるメッセージである。端的にいうと、書かれているメッセージの内容が嘘なのだ。多く見かけられるのが「この先、隠し道があるぞ」という旨の内容。現状、狭間の地に存在するこの旨のメッセージの大半は嘘であり、メッセージが示すとおり進んでみるものの、隠し道など存在しないことがしばしばある。

また同様に、壁際に「ジェスチャーが有効だ」という旨のメッセージも度々残されている。しかし筆者の体験上、その場で数々のジェスチャーを使用したとて、隠しエリアが出現することはなかった。本作の系譜となる『ダークソウル』シリーズでは、特定のジェスチャーを使用することで隠されたエリアが開放されるというギミックが存在した。本メッセージはそのギミックにあやかって残された、嘘つきによるメッセージだったのだろう。

さらにいうと、崖によく残されているのが「この先、ジャンプが有効だ」という旨のメッセージだ。本作は高低差を活かした立体的なフィールドで構成されており、崖からジャンプすることでショートカットできるほか、地を行くだけでは辿り着けない場所に到達できる場合もある。ゆえに崖の下を覗いてみるといかにも死んでしまいそうな高所でも、親切な褪せ人からのアドバイスだと信じてついジャンプしてしまう。しかしながら悲しいことに、メッセージの大半は悪意に満ちている。プレイヤーにはあっけない落下死が待っているのだ。


これら嘘つきによるメッセージに対しては、笑ってその場を通り過ぎる者が大半だろう。隠し道やジェスチャーなどのメッセージについては、たとえその場で指示通り行動したとしても実害はない。また崖際のメッセージについては実害があるものの、メッセージの内容が嘘なのかどうかはある程度判断できる。ほかのプレイヤーがその場で死亡したことを示す血痕がメッセージの側にあれば、いよいよ怪しいのだ。かくいう筆者も「この世界には現実と同じで嘘つきがいるんだなぁ」といった感じで、鼻で笑いながら通り過ぎている。

しかしながら褪せ人の中には、正義感に満ち溢れた“嘘つき警察”もいる様子。嘘つきのメッセージに対して、とある手段で対抗している。その手段とは、嘘が書かれたメッセージの手前に「この先、嘘つきに注意しろ」という旨のメッセージを設置することである。後続者を思う、ひと手間かけたありがたい振る舞いともいえよう。嘘はいずれバレるのだ。

エルデンリング構文の誕生


ちなみに単語ではなく、ベース文でよく使用されているのは「〇〇、おぉ〇〇」と「〇〇をご照覧あれ」のようだ。前者は本作のデビュートレイラー内において「エルデンリング おお エルデンリング」という台詞が収録されており、本作の発売を待ち焦がれるプレイヤーたちがSNSなどでこぞって呟いていた。そんな流れからか、ゲーム内においても「草、おぉ草」といった感嘆たるメッセージが多々残されている。

また後者については、本作序盤に登場する、とあるボスの台詞でもある。日頃使わない言葉ではあるが、その汎用性は高いのだろう。本作の世界のあちこちで、「木をご照覧あれ」「腕をご照覧あれ」「尻をご照覧あれ」といった格調高いメッセージが散りばめられているようだ。また「~をご照覧あれ」については、本作プレイ中のプレイヤーがSNSなどのゲーム外で使用している様子もしばしば見かけられる。まるで一度は口にしてみたい、エルデンリング構文誕生の瞬間を目の当りにしているようだ。


以上のように、攻略アドバイスを中心として、さまざまな内容のメッセージが日々書き残されている本作。ネットワークを通じてさまざまな褪せ人の冒険の軌跡が見られる、ゆるいコミュニケーション要素も魅力といえるだろう。ちなみに自身が書いたメッセージは履歴としていつでも見返すことが可能で、メッセージが評価されるとHPが回復するという恩恵も得られる。これまで閲覧するのみだったというプレイヤーも、ぜひ攻略の助けとして、また冒険の軌跡として、気軽にメッセージを残してもらいたい。

Tetsuya Yoshimoto
Tetsuya Yoshimoto

ニュース担当。国内を中心に日々トレンドを探求しています。新しいものや可愛いものが好き。

記事本文: 439