GSC Game Worldは3月2日、サバイバル・ホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl』の開発を中断すると発表した。同スタジオが拠点とするウクライナは、現在ロシアによる侵攻の只中にある。
『S.T.A.L.K.E.R. 2』は、チェルノブイリおよびその周辺を舞台とするサバイバル・ホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最新作だ。本作は発売延期しながらも、今年2022年12月8日の発売を目指して開発中だった。そして開発元GSC Game Worldは、ウクライナのキエフを拠点としている。つまり、現在世界情勢を揺るがしているロシアによるウクライナ侵攻の真っ只中にあるのだ。
GSC Game Worldは2月24日には、スタジオおよび『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズ公式Twitterアカウントを通じて声明を発表。ウクライナの自由と独立を信じ、ロシアによる侵攻に相対していく旨を述べつつ、ウクライナ軍への寄付を呼びかけていた。そして3月2日、同スタジオは新たに今後の開発方針を伝える動画を、公式YouTubeチャンネルに投稿した。動画の公開にあたり、GSC Game Worldは「最近では、開発状況よりも安否を気遣う声が増えた」とコメントしている。
動画はまず、『S.T.A.L.K.E.R. 2』のモーションキャプチャー収録場面から始まる。先週まで同スタジオは、こうした開発の様子を伝える動画を編集していたとのことだ。しかし、そのさなかにロシアによるウクライナ侵攻が始まり、事態は一変した。同スタジオは、現在スタッフおよびその家族の生存のため、懸命な努力を続けているという。ゲーム開発を優先できる状況ではなく、開発は後回しとなる(Shifted to the sidelines)とのこと。一方で、「この戦争に勝利したなら、必ずや開発を再開する」との決意を告げている。
ロシアによるウクライナ侵攻は、ゲーム業界にも多大な影響を与えている。GSC Game World以外にも、Frogwaresなど当地ウクライナの開発元たちが、現地の緊迫した状況と、平和を望む姿勢を示している(関連記事)。また、人気サッカーゲームゲーム『FIFA』について、ロシアのクラブと代表チームの削除が発表されるなど、ゲーム内コンテンツへも影響は波及している。
今回のGSC Game Worldによる開発一時中断の報告は、そうした影響の最たるものだろう。戦火に焼かれながら、ゲーム作りはできない。今後も戦争が長引けば、ゲームのみならず多くの文化が影響を受けることだろう。同スタジオおよびウクライナの人々の無事と、戦争終結を祈るばかりだ。