発売を約1週間後に控えた、フロム・ソフトウェア新作『エルデンリング』。同作を待ちわびるファンが集う海外掲示板Redditの様子が、リリース日が近づくにつれて、どんどんおかしくなっているようだ。なかには、期待が募るあまり「死への恐怖」をリアルに感じてしまうファンさえ出現している。
『エルデンリング』は、今月2月25日にリリースを控えた新作アクションRPG。開発元過去作である『ダークソウル』シリーズなどのゲームプレイを受け継ぎつつ、舞台は広大でオープンなフィールドとなっている。新システムなども盛り込んでおり、国内外の多数ファンの期待を集める意欲作だ。海外掲示板Redditのコミュニティ/r/Eldenringなどでは、『エルデンリング』発表直後から多くの熱心なファンたちが本作内容の推察を語り合い、ミーム投稿なども盛んに交わし合っている。
そして、いよいよ発売まで間近に迫った現在、期待が高まりすぎた同コミュニティメンバーたちの様子はいよいよおかしくなり始めている。「『エルデンリング』が発売されるまえに死ぬんじゃないかと、本気で怖くなった人はいる?」と題されたスレッドでは、投稿主が恐怖を語っている。投稿主は朝、コーヒーを2杯飲んだそうだ。すると、心臓のあたりになにか違和感を感じたとのこと。突然の異変に晒された投稿主が最初に考えたのは「そんな、頼むよ、『エルデンリング』を遊ぶ前に死にたくない」との切なる願いだったそうだ。
投稿主は28歳とのことで、馬鹿げた発想だったと振り返っている。しかしながら、「『エルデンリング』をプレイするまで死にたくない」との思いを抱くユーザーは、あながち少なくなかったようだ。同スレッドのリプライ欄には「ちょっとした胸の痛みや咳のほか、こけそうになった時にも恐怖を感じる」とする意見など、投稿主に同意する声も散見される。また、同じく胸の痛みを訴えるユーザーに「甘く見ずに医者にかかれ」とアドバイスする者もおり、半ば健康相談スレッドの様相も呈している。「新作をやるまで死ねない」というゲーマー心。そうした思いを同じくするユーザーたちがいたわり合う様子は、異様でありつつも美しい光景だ。
同コミュニティにおける期待の高まりを示すスレッドは、ほかにもある。というより、そもそも発表直後からファンたちのテンションはややおかしい状態だ。『エルデンリング』への興奮や渇望を伝えるミーム投稿は日夜大量になされており、ここへ来てさらに加速している。例としては、「ネタバレは許せないが、『エルデンリング』を遊ぶということは『エルデンリング』のネタバレを見てしまうことになる」と破綻寸前のロジックを展開するジョーク投稿がなされている。また、「悲しい時は、地球誕生から約46億年の歴史の中で、宮崎様と同じ時代に生まれた奇跡を思って」と、本作ディレクターの宮崎英高氏を半ば神格化するような投稿もある。
また、小売店への『エルデンリング』パッケージ版到着をネタにした投稿も散見される。小売店従業員によるゲームソフト到着を告げる投稿には、ユーザーより「もって逃げろ兄弟、ソフトをもってニュージーランドまで逃げるんだ。偽の身分を手に入れて新しい家族をつくるんだ」とのコメントが寄せられており、1000人を超えるユーザーからUpvote(高評価)がつけられている。発売日前にゲームを入手するフライングゲットは、絶対に許されない行為である。その前提がある上で「俺はいいから禁忌を破ってでも先にやれ」と冗談まじりに伝える言葉だろう。『エルデンリング』への渇望に喘ぐあまり、一部ユーザーたちには運命共同体的な意識まで芽生えているようだ。もはやなにかの団体である。
同コミュニティではほかにも、「37分間『エルデンリング』のことを考えずにいれば、発売まで37分近づく」とする涙ぐましいライフハック(?)の投稿や、「『エルデンリング』もう発売された?」との投稿を、8か月間にわたり毎日投稿し続ける狂気のユーザーを紹介するスレッドもある。なお、同ユーザーが投稿する/r/IsEldenRingOutYetは一般ユーザーも見ることが可能。『エルデンリング』ニュースを、記事執筆現在で1年以上にわたり毎日届けているYouTubeチャンネル「Elden Ring News」を彷彿とさせる荒行だ(関連記事)。
発売を目前に控え、心の昂りをどうにか抑えようと必死のファンたち。どんどん異変を生じる彼らの言動は、いうまでもなくフロム・ソフトウェア過去作が築いたファンベースの厚さと、『エルデンリング』への高い期待の表出だろう。かくいう筆者も、しばしば脳内で『エルデンリング』をプレイしている。事前情報のないエリアから先にいけないのが悔しいところだ。
『エルデンリング』は2022年2月25日、PC(Steam)およびPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売予定。 ファンの皆様におかれては、何事もなく発売日を迎えられるよう祈りたい。