PS4/PS5版『Martha Is Dead』では何らかの表現規制を実施、販売元が発表。ファンを震撼させた残虐シーンが対象か

 

パブリッシャーのWired Productionsは2月12日、LKAが開発し2月24日に発売予定のサイコロジカル・ホラーゲーム『Martha Is Dead』について声明を発表。本作のPlayStation 4/PlayStation 5版に対し、いくつかのゲーム内要素をプレイできないよう、調整を施したことを明らかにした。なお本記事には、本作の収録シーンに関するネタバレを含む。
 

 
『Martha Is Dead』は、1944年のイタリアを舞台にするサイコロジカル・ホラーゲームだ。主人公は、ドイツ軍兵士の娘であるジュリア。双子の姉マーサが水死体で発見されたことで、ジュリアは酷いトラウマと喪失感を抱えながら、ドイツ軍と連合軍の対立が激化する状況のなかで、姉の死の真実を追い求める。

本作についてWired Productionsは、大人だけに向けたナラティブアドベンチャー作品であるとし、人によっては不快に感じる可能性のあるシーンが含まれていると説明。そうしたセンシティブな描写が存在することについては、ゲーム内では事前に繰り返し警告するようにしているとのこと。

そのうえで同社は、残念ながらPS4/PS5版では、いくつかの要素をプレイできないように調整せざるを得なくなったとした。この想定外の作業が発生したため、ダウンロード版は予定どおりにリリースされるが、パッケージ版は数週間の発売延期となるそうだ。なおPC/Xbox One/Xbox Series X|S版については、編集されていない完全なゲーム体験のまま発売するとしている。
 

 
つまり本作のPS4/PS5版は、販売元・開発元以外による判断により、何らかの表現規制がおこなわれるということだろう。具体的にどういったシーンが規制されるのかは明らかにされていない。ただ、本作は体験版が以前配信されており、その内容からファンのあいだでは、ある特定のシーンが削除されるのではと囁かれている。

ゲーム内での具体的な状況は割愛するが、本作では主人公ジュリアが、女性の遺体の顔の皮を剥ぎ取り、その皮で自らの顔を覆うというシーンが存在する。あまりにショッキングな描写であるため、これが問題視されたのではと推測されているのだ。

このシーンについては、北米のレーティング団体ESRBによる本作についての説明のなかでも触れられている。本作は17歳以上対象とレーティングされており、その年齢区分決定の根拠のひとつになったというわけだ。ただし、ESRBではほかの残酷なシーンや性的な描写についても言及されており、本当に上述したシーンが規制対象となったのかどうかははっきりしない。
 

*遺体の顔の皮を剥ぎ取るシーンが含まれるトレイラー。視聴注意。

 
『Martha Is Dead』は、すでに主要地域でのレーティングをPS4/PS5版を含むかたちで取得しており、PC/Xbox One/Xbox Series X|S版については規制なしで発売される。こうした状況から、今回の表現規制については、PS4/PS5版のプラットフォームホルダーであるSIEによる判断を受けた措置だと推察できそうだ。

実は以前にも似たような例があり、たとえば『閃乱カグラ Burst Re:Newal』の海外PS4版では、少女たちのリアクションを楽しむ「スキンシップモード」が削除。『オメガラビリンスZ』の海外PS4/PS Vita版に至っては、規制版を扱わないという販売元の姿勢もあり発売中止に。いずれのケースも、“プラットフォームホルダーからの要請”があったと販売元が明らかにしている。

以前SIEは弊誌の取材に対し、「クリエイターの発想を尊重しつつ、非常に稀ではあるがゲームを楽しむ方にとって不快と思われるコンテンツを、ケースバイケースで確認するポリシーを持つ」とコメント。すでにレーティング審査を終えていたとしても、場合によっては、SIE自ら追加的な審査をおこなっている旨を明らかにしていた(関連記事)。『Martha Is Dead』も、そうした対象とされたのかもしれない。
 

 
本作のPS4/PS5版は、どのような規制がおこなわれるのかは現時点では何ともいえない。ただ、仮に先述したような残虐表現が修正されるとなると、これもまた興味深い。というのも、これまでにPlayStationプラットフォームでだけ表現規制がおこなわれた例を振り返ると、先に挙げた『閃乱カグラ Burst Re:Newal』を含め、性的な表現が対象となるケースがほとんどだったためだ。

一方で、昨年10月に発売された『ドキドキ文芸部プラス!』では、とある流血シーンの血の色が、PS4/PS5版のみ赤から黒に変更されていると一部で話題になった。この表現変更の背景について開発元Team Salvatoは、プラットフォームごとの規定に合わせた結果であることを示唆している。もしこちらもSIEによる要請があったとすると、同社がいう「不快と思われるコンテンツ」の幅が広がってきたのではとも感じさせる。

ともあれ、現時点では推測の域を出ない。『Martha Is Dead』のどのようなシーンがPS4/PS5版では変更されているのかは、発売後にユーザーによって検証がおこなわれることだろう。
 

 
『Martha Is Dead』はPC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに2月24日発売予定だ。ゲーム内は日本語表示に対応する。なお、コンソール版の国内リリースの有無については不明だが、国内PlayStation Storeには本作のページがすでに用意されている。