『Battlefield 2042』の出来に、シリーズ元開発者が驚く。失策の責任は上層部にありとの見解


Battlefield 2042』について、シリーズ過去作品に携わった主要開発者が、SNS上で苦言を呈している。同作の失策の原因について述べ、新たな作品への舵を切るしかないのではないかと伝える内容だ。ユーザーなどからは多くの意見が投じられた同作ながら、今回は過去作の現場を知る者としての声が投稿されたのである。

『Battlefield 2042』は、マルチプレイFPS『Battlefield(バトルフィールド)』シリーズの最新作だ。最大128人(PS4/Xbox Oneは最大64人)での大規模対戦を特徴としている。本作は昨年11月19日のリリース直後より、不具合の多さやパフォーマンス問題など、多岐にわたる問題点への指摘がユーザーから続出。開発元EA/DICEはフィードバックも取り入れつつ、継続的なアップデートを重ねている。しかし、Steamにおける記事執筆時点での本作ユーザーレビューは、9万5661件のうち71%が不評の「やや不評」ステータス。同プラットフォームの本作同時接続者数についても、日間ピークが4000人前後で推移するなど、人気シリーズ新作として極めて厳しい状況にある(SteamDB)。
 

 
そんな本作について今回、シリーズ過去作に携わった開発者David Goldfarb氏が、自身のTwitterアカウント上で見解を述べた。Goldfarb氏は、『Battlefield 3』および『Battlefield: Bad Company 2』にて、シングルプレイモードのリードデザイナーなどを務めていた主要開発者だ。同氏は後に『Payday 2』でゲームディレクターを務めたほか、現在は自身の立ち上げたスタジオThe Outsidersにて、ヘヴィメタルリズムFPS『Metal: Hellsinger』を手がけている。

Goldfarb氏の発言のきっかけとなったのは、YouTuber/ストリーマーであるStodeh氏の動画のようだ。Stodeh氏は2月7日、『Battlefield 2042』の問題点の数々を指摘する動画をYouTubeに投稿。マップ上の遮蔽物の少なさや、ビークルと歩兵間の戦闘におけるバランス調整不足、パフォーマンス問題など多くの要素について分析し自身の見解を伝えていた。同動画を視聴したGoldfarb氏は、今まで『Battlefield 2042』をプレイしておらず、映像も見ていなかったと前置きしつつ「この製品には疑問がある」として一連のツイートで語り始めた。
 

 
まずGoldfarb氏は、本作におけるゲームデザイン上の決断は理解に苦しむとの旨をコメント。小規模な歩兵戦マップが不在である点や、プレイヤー人数を128人とした点への疑問を口にした。さらには、「品質を管理する者が居なかったのか?」「こんな作品が『Battlefield』シリーズのサンドボックス体験を尊重し、前進させると誰が考えた?」と批判的に述べている。

またGoldfarb氏は、スタジオ上層部がゲーム開発の障害となりうることは知っているとしつつも、あまりにも多くの失策に驚愕したと伝えた。つまり同氏は、『Battlefield 2042』の失策については、ゲーム要素実装の意思決定や舵切りをおこなう上層部に問題があったとの見解を示しているのだ。また同氏は、同作開発者に責任を問うユーザーリプライに対して「情熱がなければゲームは作れない」と返答。開発者個々人たちの責任ではなく、意思決定層に責があると強調している。

続けてGoldfarb氏は、DICEが次にすべきは別作品の開発ではないかとの意見を述べた。具体的には、“Battlefield 2143”などと題したシリーズ新作や過去作品のリマスターなどを提案している。また、EA/DICEが生き残るためには新規IPの創出も必要になるだろうとの見解を伝えている。いずれにせよ同氏は、『Battlefield 2042』をこのまま改善し続ける方針には悲観的な立場のようだ。また、Goldfarb氏の一連のコメントは、収集がつくのかもわからない同作の現状を目の当たりにし、シリーズ作主要開発者として黙っていられなくなった面もあるのだろう。
 

 
『Battlefield 2042』は、現在プレイヤー人口面でも評価面でも苦戦している。また、ユーザー主導による、同作の返金を求める署名運動も進行中だ。オンライン署名サイトChange.orgでは記事執筆現在、17万人に迫る数のユーザーが返金を求めて名を連ねている。まさに四面楚歌の状態だ。

Goldfarb氏の述べたとおり、EA/DICEは別の作品へと歩を進めるべきなのだろうか。それとも、『Battlefield 2042』の改善を全うすべきなのだろうか。いずれにせよ、今後同スタジオがどのように事態の打開を狙うのか見届けたい。