『ポケモン レジェンド アルセウス』にて、しあわせポケモンであるハピナスの“優しさ”を逆手に取るプレイヤーが現れているようだ。ハピナスのプレイヤーにフレンドリーな性質が、本作のシステムと噛み合って捕獲に利用されているのだ。
『ポケモン レジェンズ アルセウス(以下、アルセウス)』は、アクションRPGとして開発された『ポケモン』シリーズ完全新作。舞台となるのは、まだヒスイ地方と呼ばれていた時代のシンオウ地方だ。本作はオープンなフィールドを自由度高く探索可能となっており、土地に応じたポケモンたちが野生そのままの姿で生き生きと暮らしている。また、ポケモンの性格もさまざまだ。プレイヤーが近寄ると一目散に逃げてしまったり、種類によっては逆にプレイヤーを目ざとく発見して攻撃的に追跡してくる。ポケモンの習性に合わせた捕獲方法も、ポケモンゲットの鍵となるのだ。
そして、個性豊かなポケモンたちの一部には、特殊な習性をもつ種類もいる。例としては、プレイヤーを発見するとムキムキを筋肉を見せつけてくるゴーリキーなどのかいりきポケモンのように、フレンドリーな場合もあるのだ。そしてとりわけ、見ず知らずの人間に優しくしてくれる愛くるしいポケモンがハピナスである。ハピナスは、しあわせポケモンに分類されるポケモンだ。特徴は丸くて優しいフォルムと、おなかに抱えたタマゴ。その名の通り、しあわせを振りまく習性をもっている。過去作品では「食べると誰にでも優しくなれる、幸せの詰まったタマゴを産む」「弱ったポケモンにタマゴを食べさせ看病する」などの心温まる優しさが語られているのだ。
そして、『アルセウス』においてもハピナスの習性は健在だ。通常時のプレイヤーと遭遇した場合には、気弱なハピナスは逃げ出してしまう。しかし、プレイヤーがダメージを負っている場合には、こちらに近づいてきて一生懸命に応援してくれるのだ。また、ハピナスの応援を受けるとダメージ自動回復が早まる効果もあると見られる。困った人もポケモンも助けずにはいられない、まるで慈母のような暖かさに満ちたポケモンがハピナスなのだ。SNS上でも、複数の本作プレイヤーたちがハピナスの可愛さ、優しさを収めた動画を紹介している。ポケモンの個性を巧みに表現した、興味深い作り込みだ。
しかし、ハピナスの優しい習性を逆手に取るプレイヤーも現れているようだ。本作におけるプレイヤーの大きな目的のひとつが、野生ポケモンの捕獲。そして、本作ではポケモンを捕獲すると、連れているポケモンたちにも経験値が入る。大目的を果たしつつ経験値を稼ぐために、無防備に近づいてくるハピナスの習性はうってつけなのだ。そうした手法を紹介するユーザー投稿動画では、わざと落下してダメージ受けた上で、(実際怪我はしているものの)怪我人を装いハピナスに歩み寄る姿が見られる。善意のハピナスをある意味“だまし討ち”しているとも受け取れる。なんたる手口であろうか。
とはいえ、プレイヤーがハピナスを捕まえるのはなにも売り飛ばすためではない。捕獲調査して、共存への道を探るためである。無碍に扱うわけでもなく、大切な仲間として捕まえるのである。大いなる目的のために、ポケモンの習性を利用するのも当たり前のこと。そこで筆者は、実際にハピナス生息地におもむき同様の捕獲手法を試してみた。大量の経験値と図鑑進捗が得られホクホクになれたため、結果としてハピナスに幸せにしてもらったといえるだろう。また、多くのポケモンがプレイヤーを発見するとボールを弾いてしまう性質がある一方で、ハピナスは相対してもボールを弾かないでいてくれる。上手くすれば何度も捕獲試行できるのも、捕まえやすさを加速させる一因だろう。そうした熱烈アプローチの様子を収めた動画も、SNS上に投稿されている。
また、ユーザー報告によれば、ハピナスの進化前である「ラッキー」についても、同様の手法で捕獲が可能とのことだ。習性を逆手に取るのに気が咎める方は、エサなどを用いてこっそり近寄り不意打ちしよう。どちらの手法でも、一生懸命アタックすれば溢れんばかりの優しさを独り占めできるはずだ。『アルセウス』のポケモン描写へのこだわりや、ポケモンたちに干渉できることによる面白さが詰まった事例といえるだろう。
『ポケモン レジェンズ アルセウス』は、Nintendo Switch向けに発売中。