マイクロソフト、Activision Blizzard買収後も『Call of Duty』シリーズなどの人気タイトルを、PlayStationプラットフォームに提供すると正式に表明


マイクロソフトは2月10日、Activision Blizzardの買収に関する各国の規制当局による審査を前に、Windows上のMicrosoft Storeおよび次世代のゲーム向けマーケットプレイスにおける新たな指針を発表。このなかで、『Call of Duty』シリーズなどの人気タイトルを、買収完了後も引き続きPlayStationプラットフォームなどに提供し続けることを表明した。


マイクロソフトは今年1月18日、総額687億ドル(約7兆8000億円)というゲーム業界最大規模の金額にて、Activision Blizzardを買収することで両社間で合意したと発表。業界大手メーカーを傘下に収める巨額買収となることから、買収手続きを完了させるには、反トラスト法(独占禁止法)違反の恐れがないかなど、規制当局による審査を経る必要がある。今回示された指針は、当局の懸念を和らげることを念頭に置いたものとみられる。

そして同社は、買収発表以降に寄せられている懸念のひとつとして、『Call of Duty』シリーズなどがXbox独占になるのでは、という推測があると自ら言及。そのうえで、同シリーズを含むActivision Blizzardの人気タイトルは、(買収後も)引き続きPlayStationプラットフォーム向けにも制作するつもりであると明言した。この点については、マイクロソフトXbox Gaming部門CEOのPhil Spencer氏も先日認めていたが(関連記事)、会社として正式に表明したかたちだ。

また今回はさらに、ソニーとActivision Blizzardがすでに結んでいる契約が終了したあとについても、この姿勢は変わらないとコメント。ソニーのファンは、愛するゲームをこれからも楽しむことができるとしている。またマイクロソフトは、こうした取り組みについては、任天堂の“成功したプラットフォーム”にも適用することに関心があると述べており、Nintendo Switchを含むマルチプラットフォーム展開を継続したい考えのようだ。

マイクロソフトは、このように取り組むことがゲーム業界やゲーマーのためであり、また同社のビジネスのためにもなると信じていると述べている。


なお、今回マルチプラットフォーム展開を継続する対象として言及されたのは、先述したように「『Call of Duty』シリーズを含むActivision Blizzardの人気タイトル(Call of Duty and other popular Activision Blizzard titles)」である。見方を変えると、新規IPやニッチなタイトルは別の話、と受け取れなくはない。

マイクロソフトは昨年、ZeniMax Mediaを買収しBethesda Softworksなどを傘下に収めた。その後、既存シリーズについてはマルチプラットフォーム展開を続けているが、新規IPとなる新作RPG『Starfield』はXbox Series X|SおよびPCの独占タイトルとなった。たとえば、Blizzard Entertainmentは今年1月、新規のユニバースを基にした新作サバイバルゲームを開発すると発表したが(関連記事)、同作がマルチプラットフォームとなるのかどうかは、今回の発表を受けてもなお不透明といえそうだ。

なお、マイクロソフトによるActivision Blizzardの買収は、これからおこなわれる規制当局の審査やActivision Blizzardの株主の承認などを待って、2023年会計年度内(2022年7月〜2023年6月)に完了する見込みとされている。