国内の開発者ローゼンクロイツは1月21日、『かつて私たちは地獄のまっただ中でした。』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、価格は980円。なおSteamのストアページは成人指定となっている。性行為を髣髴とさせる表現や殺人行為、内臓の露出や裸体の描写などが、成人指定の理由であるようだ。
『かつて私たちは地獄のまっただ中でした。』は、醜い世界を生きる人々の姿を描いたRPGだ。ストアページでは「地獄のまっただ中で語られる愛と魂の物語」とも称されている。本作の主人公マルクトは、貴族の家に美しい容姿をもって生まれた青年である。しかし、2年前に多額の借金を残して父が失踪。生活に困ったマルクトは、体を売ることで生計を立て、周囲に蔑まれながらもなんとか日々を生き抜いていた。そんなある日、マルクトは父の借金の相手であるローゼンクロイツ家から屋敷へ呼び出される。男娼としてローゼンクロイツ卿の相手をするはずであったが、マルクトはなぜか牢屋に入れられてしまい、ローゼンクロイツ家の息子フェイと共に脱出を目指すことになる。また脱出をきっかけにマルクトは荒廃した世界を巡り、やがて真実を知っていく。
本作は、ローゼンクロイツ氏が制作し、2011年に公開されたフリーゲーム『すでに私たちは地獄のまっただ中でした。』のリメイク版だ。フリーゲーム版との違いとしては、正気度を表現したSANが新たに導入されている。マルクトが町の住人に罵声を浴びせられたり、敵と戦ったりするとSAN値が低下。正気度によって辛い世界を生きるマルクトの心情が表現されているのだろう。正気度が低い状態では体力の回復が困難になり、下がりすぎると狂気の病にかかってしまうが、SANはセーブポイントで簡単に回復可能。一方で、あえて狂気に陥ることで使用可能になる技や武器なども存在するそうだ。そのほか追加要素としては、本筋と関連のないサブダンジョンが増加。クリア後のおまけとして、後日談エピソードとおまけのダンジョンも用意されているという。
本作では、グロテスクな敵やマップ、直球の性的な要素、口汚く主人公たちを罵るキャラクターなどによって、地獄のような世界が描かれている。主人公のマルクトが男娼である点や、癖の強い世界観も相まって、かなり人を選ぶ作品と言っていいだろう。ただし、本作はそうした醜い世界を表現しただけの作品ではない。フリーゲームとして公開された『すでに私たちは地獄のまっただ中でした。』では、「VIPRPG紅白2011」で185票を得て3位、「ニコニコ自作ゲームフェス2021」ではツクール2000/2003部門の優秀賞に選出されている。リメイク版である本作でも、プレイヤーから評価された愛と魂の物語に期待できることだろう。
『かつて私たちは地獄のまっただ中でした。』は、PC(Steam)向けに980円で配信中。リメイク元の『すでに私たちは地獄のまっただ中でした。』は、ふりーむ!やゲームアツマールでフリーゲームとして公開中だ。
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