国内ゲーム開発者の縹けいか氏は1月14日、ノベルゲーム『ファタモルガーナの館 -DREAMS OF THE REVENANTS EDITION-』の好評について自身のTwitterアカウントで伝えた。同作はMetacriticにて、2021年のNintendo Switch向けベストゲーム第1位などの栄冠に輝いている。
『ファタモルガーナの館 -DREAMS OF THE REVENANTS EDITION-』は、昨年2021年3月に発売されたNintendo Switch向け国産ホラーノベルゲーム。開発元は、国内スタジオNovectacle(ノベクタクル)だ。本作のベースとなったのは、2012年にリリースされたPC向け作品『ファタモルガーナの館』だ。同作はリリース後からファンを集め、iOS(現在は配信終了)およびコンソール向けにも展開。外伝作品『ファタモルガーナの館 -Another Episodes-』のリリースや、漫画/小説/ドラマCDなどへのメディアミックスも経て、現在でも根強い人気を誇っている。
PC版の発売こそしばらく前であるが、本作はNintendo Switch版の発売によりふたたび脚光を浴びたようだ。レビュー集計サイトMetacriticの「The Best Switch Games of 2021」のトップに、『ファタモルガーナの館 -DREAMS OF THE REVENANTS EDITION-』が躍り出たのだ。こちらは、2021年中に発売されたNintendo Switch向け作品を、メディアレビューの集積によって形成されるメタスコア順にランク付けしトップに輝いた。また、同部門は2位に『Tetris Effect: Connected』が、3位に『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』がランクインしており、人気作を押さえての首位となっている。ちなみに、本作は全プラットフォームを合わせても、2021年リリース作品のうちで第2位のメタスコアを獲得している。
ただし、同サイトで集計された本作メディアレビューは10件と比較的少ない。例として、『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』などの大作では100件以上のメディアレビューが集計されている。つまり、大作と比べるとサンプル件数が少ないことには留意したい。一方で、本作のMetacriticには一般ユーザー評価も604件寄せられており、ユーザースコアは10点満点中8.4点と高い。メタスコアを抜きにしても、一定の評価を得ているといえるだろう。また本作はSteamでもPC版が発売されている。そちらのユーザーからの評価も高く、Steamユーザーレビューでは記事執筆現在で2036件のレビュー中96%が好意的な「圧倒的に好評」ステータスだ。
では一体、何がそれほどウケているのだろうか。批評家およびユーザーによるレビューでは、まずノベルゲームの核となる物語を評価する声が多い。例として、海外メディアNintendo LifeのKate Gray氏は、本作の物語が長大かつペースがゆっくりである点を指摘。選択肢も少なく、その点を考慮して遊ぶ必要があるとしている。一方で、愛や喪失をテーマとした幻想的な物語を高く評価し「最高のビジュアルノベルのひとつ」と称賛した。また、質の高いサウンドデザインや、イラストレーターの靄太郎氏による耽美的で緻密なビジュアルなども複数の批評で好評を得ているようだ。実をいえば、筆者も本作のプレイヤーのひとりだ。時代を超えて急展開を見せる、プレイヤーの情緒を揺さぶるストーリーは強く印象に残っている。今回の栄誉は、そうした物語が国境を超えて批評家およびプレイヤーたちの心に響いた結果だろう。本作のシナリオ/ディレクションを手がけた縹けいか氏を始め、制作に携わった皆様に賛辞を送りたい。
『ファタモルガーナの館 -DREAMS OF THE REVENANTS EDITION-』は、Nintendo Switch/PlayStation 4向けに発売中。オリジナル版である『ファタモルガーナの館』はPC(Steam/GOG.com/DLsite)向けに配信中だ。