『DOOM』を「ダイヤル式電話」でプレイする猛者が登場。レトロ電話機でFPSの傑作が実現、操作性は最悪
さまざまな媒体への移植が実現されてきたFPSの傑作『DOOM』。そうしたなか、回転ダイヤル式電話機(以下、ダイヤル式電話)を改造して『DOOM』をプレイする海外ユーザーがあらわれた。このデバイスを制作したのは、カナダのカルガリーに在住するプログラマーであるGreg Smith氏。海外フォーラムのRedditに投稿された動画からは、ダイヤル式電話で『DOOM』をプレイする様子が確認できる。
*このユニークなデバイスに、『DOOM』原作者の一人であるJohn Romero氏がおもわず反応。
かつて1993年にリリースされたFPS黎明期の代表作『DOOM』は、ゲームのソースコードが公開されており、ソフトウェアの互換性が高いことで知られている。その影響からか、熱心なファンやプログラマーによって、あらゆる媒体に同作が移植されてきた。たとえば、iPodやピアノ、ATMや冷蔵庫などへの移植に加え、中にはFPSをプレイしているとは言い難い、妊娠検査キットに同作を移植するなどの例もある(関連記事)。これらの現象は、「どれだけ多くのデバイスで『DOOM』をプレイできるか」という試みを総称する、「It Runs DOOM」と呼ばれるインターネット・ミームと化した。
そうしたなか、今度はダイヤル式電話が移植のターゲットとなった。仕組みとしてはこうだ。まず『DOOM』のシンプルな操作を、ダイヤル式電話のそれぞれのボタンにマッピングしていく。ダイヤル式電話のダイヤル操作を知らない読者に向けて補足すると、まずこのデバイスの本体には回転式円盤が備え付けられている。奥に数字が書かれた穴に指を入れ、指止めの位置まで右回りに回す。指を離すと回転ダイヤルが戻り、このときに選択した番号の一桁が入力されるという仕組みだ。なお、数字が小さいほどダイヤルの回転が少ない。
上記の特性から、Greg Smith氏はマッピングに際して、移動が2~5ボタン、射撃のような緊急性の高い操作を、最も速い入力が可能な1ボタンに配置した。ダイヤル式電話の構造上、各入力はほんの一瞬しか動作しない。つまり、簡単な移動の動作でさえも、続けて入力をしなければいけないのだ。次のボタン操作を受け入れるまでの待ち時間を考えると、気が遠くなりそうな作業である。制作者のGreg Smith氏も、「とにかくひどい経験だった。お勧めはできない」と公言している。なお、Greg Smith氏による今回のプロジェクトの詳細は、彼が共有したGithubページを参照してほしい。
ファンやプログラマーによる『DOOM』への探求は、発売して約29年経った今でも衰える様子はなさそうだ。海外フォーラムRedditでは「Will it run DOOM?」というサブレディットがあり、『DOOM』が動作するかもしれないデバイスに関する情報交換が日々おこなわれている。「そもそもプレイして楽しいのか」を度外視した飽く無き探求精神からは、ある種の芸術的側面すら感じる。今後現れるであろう『DOOM』をプレイできる新たなデバイスの登場を楽しみにしたい。