任天堂、英国にて違法ROM配布サイトへのインターネット接続の遮断を勝ち取る。裁判を通じて大手ISPに命令下る
任天堂は近年、違法ROM配布サイトに対して法的措置を講じており、イギリスにてまた新たな動きがあったようだ。高等法院衡平法部は12月21日、任天堂の訴えを受け、特定のROM配布サイトへのインターネット接続をブロックするよう、インターネットサービスプロバイダ(ISP)数社に対し命じたという。海外メディアTorrentFreakが報じている。
今回任天堂により問題視されたのは、NSW2UおよびNSWROMという2つのROM配布サイトだ。いずれもNintendo Switch向けゲームのROMデータを無償配布しており、NSW2UについてはPCやPS4、Xbox 360向けゲームなども扱っている模様。不法にROMを配布していることは明らかだろう。
任天堂の欧州法人はイギリスにて今年12月2日、著作権侵害および商標権侵害を理由に、これらのウェブサイトのブロッキングについて高等法院(裁判所)に申請。上述した2サイトおよびそれらの既存・将来のミラーサイトへの、英国のインターネットユーザーによるアクセスの遮断を、BT・Sky・EE・Virgin Mediaなどイギリス国内の大手ISP6社に対して命じるよう求めた。
審問にて任天堂側は、特にNSW2Uは英国内で大きな人気を誇り、今年9月の月間ユニーク訪問者数は約4万人にのぼると主張。また同月の総アクセス数は43万4000回に達し、訪問者数は増加傾向にあるとした。こうした情報を含む証拠に触れ裁判所は、対象のウェブサイトにて任天堂のゲームを違法にダウンロードできること、そしてそのユーザーの多くは英国人であると推測することは合理的であると判断。権利侵害行為を防ぐ目的として正当であるとし、任天堂の要求どおりに、ISP各社に対し両サイトへのアクセスを遮断するよう命じた。サンセット条項により、当面は今後2年間の期限付きとなる。
先述したように、任天堂は違法ROM配布サイトに対しては厳しい態度で臨んでおり、イギリスでのインターネット接続の遮断を勝ち取ったのは今回が初めてではない。2019年9月には、Nintendo Switch本体をハックし海賊版ゲームを起動可能にするツールを製造・販売するTeam Xecuterの関連ウェブサイトについて、同様に大手ISPがアクセスを遮断するに至っている(関連記事)。ちなみに、Team Xecuterについては主要メンバーが逮捕され、裁判を経て巨額の賠償金が課せられている(関連記事)。
また米国においても、別の違法ROM配布サイトの閉鎖および権利侵害行為の永久的差止命令が出されている(関連記事)。ほかにも、任天堂とサイト管理者が和解する例もあるが、その場合にも巨額の和解金支払いが条件となることが多い模様。いたちごっこの側面はあるかもしれないが、ひとつひとつ閉鎖に追いやっている状況だ。任天堂のこうした対応は、年をまたいでも継続していくものと思われる。