あらゆるものをFPSの如く再装填する「なんでもリロードおじさん」に注目集まる。意味不明なのにリロード感満点

Image Credit: Kommander Karl on TikTok

「身近なものをなんでもリロードする男」が、英語圏コミュニティを中心に注目を集めている。銃器とはまったく関係ない日用品などを、FPSゲームさながらに“再装填”するのだ。巧妙な手さばきを見せる投稿者は、ゲーム制作にも関わる人物だった。

Image Credit: Kommander Karl on TikTok


銃器などに弾薬を再装填する「リロード」は、シューター作品ではおなじみのアクションだ。普段のプレイでは見過ごしがちなリロードモーションも、よくよく見れば作り込まれている場合も多い。特に手元が大写しになるFPSゲームでは、雰囲気を盛り上げる大切な要素でもある。そのため、大抵は素早く、格好良いモーションが当てられるのが常だ。そんなリロードモーションを、身の回りの物品で再現してしまう動画がSNS上で人気を集めている。家電やおもちゃなど、銃っぽさなどないアイテムまでもが小気味良くFPS風にリロードされてしまっているのだ。


一連のリロード動画は、ただの一発ネタに思えるが、よく見るとかなり芸がこまかい。アイテムの構え方がいやに自然で、ゲーム画面っぽさを醸し出している。構えた腕が揺れるのは、近年のFPSゲームではよく見るモーション。揺れ具合もかなり的確だ。そして、可動部分の操作方法や効果音もFPSゲームらしさを押さえている印象がある。ただ物を乱暴に扱っているだけなのに、弾が装填されたように見えるから不思議だ。そして、ちらりと見える左腕のタトゥーは傑作FPS『Half-Life』のロゴである。リロードしているのはかなりFPSゲームに造詣が深い人物と見られる。

@kommanderkarl

Reply to @iivurgeii I doubted this one but it actually turned out. #fyp #fps #reloadingthings #gaming #lamp

♬ Elevator Music – Bohoman


リロード動画をアップロードしているのは、「Kommander Karl」なる人物。本名をKarl Schecht氏という。記事執筆現在、自身のTikTokアカウントは約42万フォロワーを誇る人気者だ。同氏がリロードをし始めたのは、今年9月6日頃の電動ドリルが発端と見られる。以降、ダイソンの掃除機バナナNintendo Switchなど数々の物品に次々と装弾。いずれの動画も多数の「いいね」を獲得している。ひとつひとつの物品の持ち味を活かした、クリエイティブなモーションも見どころだ。果ては空気までリロードしており、こうなるともうパントマイムの領域である。

そして、Schecht氏はなにもリロードを生業としているわけではない。実をいうと、同氏はゲーム開発者なのだ。現在はデベロッパーのFree Range Gamesにて、環境アーティストを務めている。同氏のポートフォリオページを見てみると、しっかりとした世界観を3Dグラフィックにて作り上げている。バナナをリロードしている人物とは思えないほどのクオリティだ。ほかにも、精巧に作られた銃器のモデルなども公開している。

さらに、Schecht氏はそのスキルを活かし、自身がリロードした物品の“武器化”にも踏み切っている。動画に登場した日用品たちを、実際に武器として3Dモデル化してしまったのだ。例として、シャープペンシルはロケットランチャーに、トースターはサブマシンガンにされている。前述の動画に登場した幼児向け玩具などは、ショットガンにされてしまった。同氏いわくこのショットガンは、「幼児の知育と近接格闘(CQC)に最適な逸品」とのことだ。武器化された作品は、Sketchfabにて公開されている。また、知育ショットガンについてはサバイバルホラーFPS『Dreadful Wake』にも使用可能な武器として登場予定。こちらはSchecht氏の友人が開発中のゲームとのこと。

@kommanderkarl

Reply to @jloper49 that’s more or less the goal #fyp #foryou #reloadingthings #gaming

♬ original sound – Kommander Karl


やっていることは意味不明ながら、奇妙な魅力を放つリロード動画。ここまで人気になったのも、Schecht氏の着想とゲームへの造詣が噛み合った結果かもしれない。今後、同氏が何をリロードしてくれるのか楽しみにしたい。またFPSプレイヤーとしては、同氏が制作したトンデモ武器の使用感も気になるところだ。